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8.キュートアグレッション
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高等学校の四年生になって、リラとラーイは十三歳になっていた。
クラスの他の生徒たちは十五歳なのでリラとラーイはクラスの中では少し幼い姿だった。
高等学校では四年生から専門科目にクラスが分かれる。ラーイは付与魔法の専門課程で縫物をしているし、リラは肉体強化の専門課程で戦いを覚えている。
リラが将来なりたいものは正義の味方だった。
冬にスリーズと雪合戦をしたときのことをリラは思い出していた。スリーズは雪玉を持って燕の姿で突撃してきてリラを負かしたのだ。
「お兄ちゃん、私、思うのよ」
「何を?」
「スリーズちゃん、あの年で私との雪合戦に勝ったでしょう? 将来有望じゃない?」
「スリーズちゃんは将来有望に決まってるよ」
スリーズは将来有望で、可愛い。
それはラーイとリラの共通の認識だった。
話していると聞いていた同じクラスのナンシーが笑っている。
小学校から同じクラスで、ずっと一緒だったナンシーは、今は弟のレオがスリーズと遊んでいるし、家族ぐるみの仲だった。
一時期ナンシーがレオの面倒を見るのが大変で勉強ができていなかったときに、ラーイとリラは高等学校に残ってナンシーと勉強をした。お陰でリラは成績優秀者になったし、ナンシーの成績も上位者になった。
「ラーイくんって、妹のことを可愛がっているのね」
「ナンシーちゃんもレオくんのこと可愛くない?」
「可愛いわ」
弟妹は可愛いものということでナンシーとは共通認識が持てそうだった。
ナンシーは悩んでいることがあるようだ。
「お父さんは普通の人間だから、魔女の森の加護で多少老化が遅くなっているとしても、私が大人になるころには第一線で働けなくなってるかもしれないのよね。私は早くお父さんの力になれるように勉強して、果樹園を継がなきゃ」
「ナンシーちゃんは果樹園を継ぐつもりでいるの?」
「そうよ。将来はレオと一緒に果樹園で働くのよ」
ナンシーは将来のことをもう決めていた。
リラは漠然としたイメージしかないので将来のことを考えてもよく分からない。
「リラは将来何になりたいの?」
「正義の味方!」
ラーイに言われて答えたのだが、リラは正義の味方にどうやってなるのか、なって何をするのか、明確なヴィジョンがなかった。
「リラ、正義の味方ってどうやってお金を稼ぐの?」
「分からないけど、助けたひとがくれたりするんじゃない?」
「それでいいのー!?」
答えが適当になってしまうリラに、ナンシーが助け舟を出してくれる。
「リラちゃんは、魔女族の長を継いだら?」
「え!? そんなことができるの!?」
驚きの声を上げたのはラーイだったがリラもその考えはなくてナンシーの方に身を乗り出していた。
「魔女族の長様は、魔女族の行く末を決定したり、魔女の森の結界を張ったり、魔女の森を守ったりしてくれているわ。それは、正義の味方の仕事ではないかしら?」
「確かに! 正義の味方だわ、ナンシーちゃん!」
「そのお礼に魔女族の長様は魔女族からお礼をもらっているはずなのよ。それなら、リラちゃんも納得する正義の味方の姿じゃない?」
ナンシーに言われてリラは自分の将来がはっきりと見えた気がしていた。
ラーイがリラに問いかける。
「リラ、魔女族の長になる?」
「なってもいいわ! 私、誰にも負けない、強い長になる」
「魔女族の長は結界も張れないとダメなんだよ?」
「そっちも勉強してみるわ」
肉体強化だけでなくて結界の魔法も覚えなければいけないが、それも正義の味方になるためならば頑張れる。
初夏が来て、リラとラーイは十四歳になった。
渡る神のエイゼンが渡ってくる頃にリラとラーイの誕生日がある。
エイゼンとアマリエを前に先にラーイが将来の話を始めた。
「僕は高等学校を卒業したら、お母さんと仕立て屋をやりたいんだけど、お母さんはそれでいい?」
「私は厳しいし、しっかりと修行してもらうけどラーイはついてこれる?」
「頑張るよ」
社で誕生日を祝ってもらっていたので、ラーイはセイランに向き直る。
「セイラン様と結婚して、僕は魔女の森に働きに出るけど、いいですか?」
「ラーイがそうしたいのならばそうするがいい。私は土地神の仕事をする、ラーイは仕立て屋の仕事をする。それでいいと思う」
「ありがとうございます」
セイランとラーイの間でも話はまとまったようだ。
今度はリラの番だとリラは話し出した。
「お母さん、お父さん、私、魔女族の長を継ぎたいの」
「リラは魔女族の長になりたいのか?」
「魔女族の長は簡単な仕事ではないのよ」
初めて将来のことをアマリエとエイゼンに相談したので、アマリエもエイゼンも驚いている。魔女の長はそんなに簡単に継げるものではないのだろう。
「お母さんのもとで、私もたくさん修行するわ! いい魔女族の長になれるように頑張る! 魔女族の長になれないかしら?」
やる気満々のリラにアマリエは難しい顔をしていたが、厳粛にリラに問いかける。
「私と戦う覚悟はある?」
「お母さんと!?」
魔女の長の継承式は決闘だった。それをリラも忘れていたわけではない。
「修行して出来そうになったら、私に決闘を申し込んできたらいいわ」
「え!? お母さんを倒さないとダメなの!?」
「魔女族の長はそうやって継がれていくのよ」
戦って勝てるようになるには時間がかかるかもしれないが、それまでアマリエの元で修行して強くなればいいだろう。
「レイリ様もそれでいいかしら?」
魔女の長を継ぐことを確認すれば、レイリも頷いてくれた。
「リラの人生です。やりたいことをやってみなさい」
「はい!」
次の春にはスリーズが小学校に入学した。
どうしてもレオと一緒に入学したいということで、本人は前世の記憶があって十歳程度の知能も持っているということで、小学校の校長先生に了承してもらって二年早く入学させてもらったのだ。
入学式を見ながらラーイとリラは話していた。
「レオくんは僕以来の男の子の魔女ってことになるね」
「男の子の魔女ってちょっと変な言い方じゃない?」
「そういえばそうだね」
男の子なのに「魔女」というのは男性と女性が同居していて変な言い方だ。リラが指摘すると、アマリエがしみじみと言う。
「魔女という言い方自体がこれから古くなってくるのかもしれないわね。魔女ではない言い方を考えるべきときが来ているのかもしれないわ」
魔女ではない言い方となるとどうなのだろう。リラとラーイで考えてみる。
「魔法使いはどうかな?」
「お兄ちゃん、ちょっと夢を見過ぎじゃない? それじゃ、絵本みたいよ」
「そうかな? 魔法使いなら、男女どっちでもいい気がするんだけど」
「もっと、格好いいのがいいわよ! グレートマジシャンとか!」
「それはない!」
ラーイに否定されて不満そうなリラに、アマリエが笑っている。
「何かいい呼び名はないか、考えておきましょうね」
魔女が魔女でなくなるのも遠くない未来のようだった。
春の日の夜、妙に冷える日があって、寒くて目を覚ますと隣りのベッドにレイリがいなかった。
起き出してレイリを探すリラは、廊下でラーイと出会った。ラーイはリラが今に入るのを止めて静かにしているように唇に指を当てている。
居間ではレイリとセイランがお酒を飲んでいた。
「私はおかしいのかもしれぬ」
「どうなさったのですか、セイラン兄上」
「ラーイが可愛くて可愛くて、おかしいのだ」
「それはいつもではありませんか」
レイリとセイランが二人きりで話している姿などほとんど見たことがないので、リラは目を見開いて耳を澄ましてしまう。
「ラーイを見ると、噛み付いてしまいたくなることがある」
「セイラン兄上は昔から穏やかで、子どもの頃もじゃれ合いをしたことがありませんでしたからね」
「昔はレイリの方がやんちゃであったな。近所の子とじゃれ合っておった」
「可愛いものを見ると、噛み付きたくなる衝動が出るのは白虎族の血なのではないですか?」
セイランはラーイに噛み付きたい衝動を抑えるのに悩んでいるようだ。レイリはどうなのだろうとリラは耳を澄ます。
「ならば、レイリはリラに噛み付きたいのか?」
「僕にはそういう衝動はありません。リラを甘やかして、お姫様のように大事にしたいですね」
お姫様のように大事にしたい。
そう言われてリラは胸がときめくのを感じる。
レイリはリラをこんなにも愛してくれている。
「可愛くて可愛くて、食べてしまいたい……そんな狂暴な本能が私にあったとはな」
「セイラン兄上がそれだけラーイを愛しいと思っている証でしょう? ラーイに打ち明けてしまえば、そんな恐怖は消え失せますよ」
「ラーイは私を怖がらないだろうか?」
「ラーイはセイラン兄上のことが大好きですよ」
話が終わりそうな気配を感じ取って、リラは暗がりの中でラーイと頷き合って部屋に戻った。
部屋でベッドに横になるとレイリが戻ってきたのが分かる。リラは起き上がってレイリに飛び付いた。
「リラ、起きていたのですか? もしかして、聞いていましたか?」
「レイリ様、私をお姫様みたいに大事にしたいの?」
「聞いていたんですね」
苦笑されてしまうがリラはレイリに言っておきたいことがあった。
「それなら、レイリ様、私の赤ちゃんを産んで?」
「え? 赤ちゃんはリラが産むのでは?」
「レイリ様が産むのよ」
リラは自分に男性器を生やしてレイリを抱くことを真剣に考え始めていた。
クラスの他の生徒たちは十五歳なのでリラとラーイはクラスの中では少し幼い姿だった。
高等学校では四年生から専門科目にクラスが分かれる。ラーイは付与魔法の専門課程で縫物をしているし、リラは肉体強化の専門課程で戦いを覚えている。
リラが将来なりたいものは正義の味方だった。
冬にスリーズと雪合戦をしたときのことをリラは思い出していた。スリーズは雪玉を持って燕の姿で突撃してきてリラを負かしたのだ。
「お兄ちゃん、私、思うのよ」
「何を?」
「スリーズちゃん、あの年で私との雪合戦に勝ったでしょう? 将来有望じゃない?」
「スリーズちゃんは将来有望に決まってるよ」
スリーズは将来有望で、可愛い。
それはラーイとリラの共通の認識だった。
話していると聞いていた同じクラスのナンシーが笑っている。
小学校から同じクラスで、ずっと一緒だったナンシーは、今は弟のレオがスリーズと遊んでいるし、家族ぐるみの仲だった。
一時期ナンシーがレオの面倒を見るのが大変で勉強ができていなかったときに、ラーイとリラは高等学校に残ってナンシーと勉強をした。お陰でリラは成績優秀者になったし、ナンシーの成績も上位者になった。
「ラーイくんって、妹のことを可愛がっているのね」
「ナンシーちゃんもレオくんのこと可愛くない?」
「可愛いわ」
弟妹は可愛いものということでナンシーとは共通認識が持てそうだった。
ナンシーは悩んでいることがあるようだ。
「お父さんは普通の人間だから、魔女の森の加護で多少老化が遅くなっているとしても、私が大人になるころには第一線で働けなくなってるかもしれないのよね。私は早くお父さんの力になれるように勉強して、果樹園を継がなきゃ」
「ナンシーちゃんは果樹園を継ぐつもりでいるの?」
「そうよ。将来はレオと一緒に果樹園で働くのよ」
ナンシーは将来のことをもう決めていた。
リラは漠然としたイメージしかないので将来のことを考えてもよく分からない。
「リラは将来何になりたいの?」
「正義の味方!」
ラーイに言われて答えたのだが、リラは正義の味方にどうやってなるのか、なって何をするのか、明確なヴィジョンがなかった。
「リラ、正義の味方ってどうやってお金を稼ぐの?」
「分からないけど、助けたひとがくれたりするんじゃない?」
「それでいいのー!?」
答えが適当になってしまうリラに、ナンシーが助け舟を出してくれる。
「リラちゃんは、魔女族の長を継いだら?」
「え!? そんなことができるの!?」
驚きの声を上げたのはラーイだったがリラもその考えはなくてナンシーの方に身を乗り出していた。
「魔女族の長様は、魔女族の行く末を決定したり、魔女の森の結界を張ったり、魔女の森を守ったりしてくれているわ。それは、正義の味方の仕事ではないかしら?」
「確かに! 正義の味方だわ、ナンシーちゃん!」
「そのお礼に魔女族の長様は魔女族からお礼をもらっているはずなのよ。それなら、リラちゃんも納得する正義の味方の姿じゃない?」
ナンシーに言われてリラは自分の将来がはっきりと見えた気がしていた。
ラーイがリラに問いかける。
「リラ、魔女族の長になる?」
「なってもいいわ! 私、誰にも負けない、強い長になる」
「魔女族の長は結界も張れないとダメなんだよ?」
「そっちも勉強してみるわ」
肉体強化だけでなくて結界の魔法も覚えなければいけないが、それも正義の味方になるためならば頑張れる。
初夏が来て、リラとラーイは十四歳になった。
渡る神のエイゼンが渡ってくる頃にリラとラーイの誕生日がある。
エイゼンとアマリエを前に先にラーイが将来の話を始めた。
「僕は高等学校を卒業したら、お母さんと仕立て屋をやりたいんだけど、お母さんはそれでいい?」
「私は厳しいし、しっかりと修行してもらうけどラーイはついてこれる?」
「頑張るよ」
社で誕生日を祝ってもらっていたので、ラーイはセイランに向き直る。
「セイラン様と結婚して、僕は魔女の森に働きに出るけど、いいですか?」
「ラーイがそうしたいのならばそうするがいい。私は土地神の仕事をする、ラーイは仕立て屋の仕事をする。それでいいと思う」
「ありがとうございます」
セイランとラーイの間でも話はまとまったようだ。
今度はリラの番だとリラは話し出した。
「お母さん、お父さん、私、魔女族の長を継ぎたいの」
「リラは魔女族の長になりたいのか?」
「魔女族の長は簡単な仕事ではないのよ」
初めて将来のことをアマリエとエイゼンに相談したので、アマリエもエイゼンも驚いている。魔女の長はそんなに簡単に継げるものではないのだろう。
「お母さんのもとで、私もたくさん修行するわ! いい魔女族の長になれるように頑張る! 魔女族の長になれないかしら?」
やる気満々のリラにアマリエは難しい顔をしていたが、厳粛にリラに問いかける。
「私と戦う覚悟はある?」
「お母さんと!?」
魔女の長の継承式は決闘だった。それをリラも忘れていたわけではない。
「修行して出来そうになったら、私に決闘を申し込んできたらいいわ」
「え!? お母さんを倒さないとダメなの!?」
「魔女族の長はそうやって継がれていくのよ」
戦って勝てるようになるには時間がかかるかもしれないが、それまでアマリエの元で修行して強くなればいいだろう。
「レイリ様もそれでいいかしら?」
魔女の長を継ぐことを確認すれば、レイリも頷いてくれた。
「リラの人生です。やりたいことをやってみなさい」
「はい!」
次の春にはスリーズが小学校に入学した。
どうしてもレオと一緒に入学したいということで、本人は前世の記憶があって十歳程度の知能も持っているということで、小学校の校長先生に了承してもらって二年早く入学させてもらったのだ。
入学式を見ながらラーイとリラは話していた。
「レオくんは僕以来の男の子の魔女ってことになるね」
「男の子の魔女ってちょっと変な言い方じゃない?」
「そういえばそうだね」
男の子なのに「魔女」というのは男性と女性が同居していて変な言い方だ。リラが指摘すると、アマリエがしみじみと言う。
「魔女という言い方自体がこれから古くなってくるのかもしれないわね。魔女ではない言い方を考えるべきときが来ているのかもしれないわ」
魔女ではない言い方となるとどうなのだろう。リラとラーイで考えてみる。
「魔法使いはどうかな?」
「お兄ちゃん、ちょっと夢を見過ぎじゃない? それじゃ、絵本みたいよ」
「そうかな? 魔法使いなら、男女どっちでもいい気がするんだけど」
「もっと、格好いいのがいいわよ! グレートマジシャンとか!」
「それはない!」
ラーイに否定されて不満そうなリラに、アマリエが笑っている。
「何かいい呼び名はないか、考えておきましょうね」
魔女が魔女でなくなるのも遠くない未来のようだった。
春の日の夜、妙に冷える日があって、寒くて目を覚ますと隣りのベッドにレイリがいなかった。
起き出してレイリを探すリラは、廊下でラーイと出会った。ラーイはリラが今に入るのを止めて静かにしているように唇に指を当てている。
居間ではレイリとセイランがお酒を飲んでいた。
「私はおかしいのかもしれぬ」
「どうなさったのですか、セイラン兄上」
「ラーイが可愛くて可愛くて、おかしいのだ」
「それはいつもではありませんか」
レイリとセイランが二人きりで話している姿などほとんど見たことがないので、リラは目を見開いて耳を澄ましてしまう。
「ラーイを見ると、噛み付いてしまいたくなることがある」
「セイラン兄上は昔から穏やかで、子どもの頃もじゃれ合いをしたことがありませんでしたからね」
「昔はレイリの方がやんちゃであったな。近所の子とじゃれ合っておった」
「可愛いものを見ると、噛み付きたくなる衝動が出るのは白虎族の血なのではないですか?」
セイランはラーイに噛み付きたい衝動を抑えるのに悩んでいるようだ。レイリはどうなのだろうとリラは耳を澄ます。
「ならば、レイリはリラに噛み付きたいのか?」
「僕にはそういう衝動はありません。リラを甘やかして、お姫様のように大事にしたいですね」
お姫様のように大事にしたい。
そう言われてリラは胸がときめくのを感じる。
レイリはリラをこんなにも愛してくれている。
「可愛くて可愛くて、食べてしまいたい……そんな狂暴な本能が私にあったとはな」
「セイラン兄上がそれだけラーイを愛しいと思っている証でしょう? ラーイに打ち明けてしまえば、そんな恐怖は消え失せますよ」
「ラーイは私を怖がらないだろうか?」
「ラーイはセイラン兄上のことが大好きですよ」
話が終わりそうな気配を感じ取って、リラは暗がりの中でラーイと頷き合って部屋に戻った。
部屋でベッドに横になるとレイリが戻ってきたのが分かる。リラは起き上がってレイリに飛び付いた。
「リラ、起きていたのですか? もしかして、聞いていましたか?」
「レイリ様、私をお姫様みたいに大事にしたいの?」
「聞いていたんですね」
苦笑されてしまうがリラはレイリに言っておきたいことがあった。
「それなら、レイリ様、私の赤ちゃんを産んで?」
「え? 赤ちゃんはリラが産むのでは?」
「レイリ様が産むのよ」
リラは自分に男性器を生やしてレイリを抱くことを真剣に考え始めていた。
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