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後日談
ライナルトの出産
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ライナルトの妊娠が分かって二か月もしないうちに、エリーアスが子どもを出産した。女の子で、エリーゼと名付けられたその子は、黒髪に緑の目で、髪の色はエリーアスに似ていたが、顔立ちがギルベルトに似ていた。
出産のときにギルベルトは赤ん坊を抱いて号泣してしまったらしい。
「可愛いでしょう? ユストゥスとライナルトの姪ですよ」
「お、俺の姪でもあるのか?」
「ユストゥスと結婚したんだから、当然ライナルトの姪でもありますよ」
暖かな家庭に憧れてエリーアスとギルベルトの家に入り浸っていたライナルトだが、二人の娘が自分の姪になるとは思っていなかった。自分もこの暖かな家庭の輪に入れているのだと考えるだけで感動で胸がいっぱいになる。
男性なので母乳が出ないエリーアスは、エリーゼに哺乳瓶でミルクを与えていた。エリーアスとギルベルトの家に行くたびに、ギルベルトとエリーアスのどちらがミルクを与えていることも、オムツを替えていることもあって、ライナルトは少し驚いていた。
「赤ん坊が生まれたらすぐにどこかに預けるか、ハウスキーパーを雇うんだと思ってた」
「仕事に復帰するときには保育園に預けますが、基本的に私とギルベルトで育てるつもりですよ」
「エリーゼは俺とエリさんを見ると笑うようになったんだ。ものすごく可愛いんだ」
エリーアスもギルベルトも赤ん坊が可愛くて可愛くて堪らない様子だった。可愛がられているのが分かっているのか、エリーゼも二人によく甘えている。ふにゃふにゃと甘え泣きをして抱っこを求めるエリーゼを、エリーアスもギルベルトも喜んで抱っこしていた。
「ライナルトは赤ん坊が生まれたら、ハウスキーパーを雇った方がいい?」
エリーアスとギルベルトの家から帰って、ユストゥスに聞かれて初めてライナルトはそのことを考えた。当然のようにライナルトは保育園に預けられて、迎えに来るのもハウスキーパーで、基本的に両親とは触れ合ったことがない。そもそも体外受精で、人工子宮の中で育ったので、ライナルトは月齢が満ちて人工子宮から取り出されただけで、誰が産んだわけでもない。
子どもというものが親の体内で育てられるという知識はあったが、ライナルトは産科の病院の機械に繋がれた人工子宮の中で育ったので、自分が産むとしてもまだその実感もなかった。
「俺に育てられるんだろうか」
「困ったら兄さんとギルベルトのところもあるし、僕もいるよ」
「ユストゥス、俺はちゃんとした親になれるのか自信がなくなって来た」
マタニティブルーになりそうなライナルトを、ユストゥスが優しく抱き締めてくれる。
「僕も初めてだし、ライナルトもそれは同じ。お互いに努力していい親になろう?」
ユストゥスも経験したことのないことをこれから始める。ライナルトと同じなのだと思えば怖くない気がしてくる。
八か月まで胎内で赤ん坊を育てて、人工子宮がそれ以上は育てられなくなったところで、ライナルトは出産に臨んだ。
麻酔をかけて意識のないうちに帝王切開で赤ん坊を取り出すのだが、赤ん坊に危険がないように強い麻酔は使えないと聞いている。痛みは当然あるのだろうと、ライナルトは恐れおののいていた。
「女性よりも男性は痛みに弱いって言うだろ。俺が死んだら、ユストゥス、俺のことを忘れないで。子どものことは頼む」
「遺言にしないでよ。今の技術だと使える麻酔薬も多くなってきてるから、意識を失ってる間に生まれてるって言うよ。ライナルト、僕は祈っていることしかできないけど、ライナルトと赤ん坊が無事に手術室から出て来るのを待ってる」
「ユストゥス、怖い。一人で手術室に入りたくない」
泣き出してしまったライナルトに、ユストゥスの動きは早かった。産科の医師に交渉して手術室に入れてもらうことにしたのだ。
「僕も医師です。絶対にお邪魔にならないと約束します」
「母体の安心のためにもそれがいいようですね」
泣きじゃくるライナルトを見て、産科の医師もユストゥスの意志を尊重してくれた。
麻酔が入って行く間、ライナルトは手術着に着替えて全身消毒したユストゥスに手を握ってもらっていた。
目が覚めたら下腹に引き攣るような痛みが走って、ライナルトは起き上がれなかった。周囲を見回すと病室に戻っていて、ユストゥスが産着を着た赤ん坊を抱っこして揺らしている。
「ライナルト、目が覚めた? 傷の痛みは?」
「痛い……けど、我慢できる範囲だ。その子が?」
「うん、そうだよ。僕とライナルトの息子だよ」
生まれてきたのは男の子だったとそこでライナルトは初めて聞かされた。
「名前は考えてあるんだ」
「どんな名前だ?」
「エリーアス! 世界で一番いい名前だと思わない?」
兄のエリーアス第一主義のユストゥスからしてみれば、同じ名前をつけるのは当然のことのように思えた。ライナルトもエリーアスとギルベルトの二人は大好きだったので異存はない。
「いい名前だな。エリーアス・ジュニアかな」
「そうだね、エリーアス・ジュニアだ」
普通それは父親の名前をもらった息子が呼ばれるのだということを、その場に誰もいなかったので突っ込まれることはなかった。
赤ん坊が生まれて七日間入院しなければいけなかったのだが、ライナルトは一人の病室に耐えられずに毎日のように眠らずに夜中にユストゥスに携帯端末で連絡を取っていた。あまりにも眠らないので傷の治癒が遅くなるとして、無理やり睡眠薬で眠らされそうになったが、産後の身体に強い睡眠薬は使えず、睡眠薬が切れるとまた起きてくるライナルトに匙を投げた産科の医師は、予定よりも早くライナルトを退院させた。
育児休暇を取っているユストゥスに迎えに来てもらって、ライナルトは赤ん坊と一緒に家に戻った。帝王切開の痕があるし、まだあまり動けないライナルトに、ユストゥスが細やかに世話をしてくれる。
食事も冷凍食品を温めたものか、お惣菜だったが、ベッドまで持ってきてくれて、食べ終わると片付けてくれる。赤ん坊はユストゥスがお風呂に入れてくれて、ライナルトのお風呂まで手伝ってくれた。
「赤ちゃんを見せてもらいに来ましたよ」
「男の子だって? エリーゼに弟ができたな」
エリーゼを抱っこしたエリーアスとギルベルトが家にやって来たのは、ライナルトが退院してから二週間後のことだった。少しは動けるようになっていたので、リビングのソファに座って、ライナルトはエリーアス・ジュニアの寝ているベビーベッドを覗いていた。
エリーアス・ジュニアは黒髪に金色のお目目で、顔立ちはどちらに似ているともまだ言えなかった。
「可愛いだろう。僕たちのエリーアス・ジュニアだよ!」
「は?」
「エリーアスの名前をもらうことにしたんだ。ユストゥスが世界一良い名前だっていうから」
「ちょっと待ってください。ジュニアって使い方間違ってません? 他の名前がなかったんですか?」
珍しく取り乱しているエリーアスに、ギルベルトがしみじみと呟く。
「そうだよな。エリさんは最高だからな。分かるよ」
「分かるよじゃないですよ!? なんで、私の名前なんですか!?」
理解できないとばかりに声を上げるエリーアスに、ユストゥスもライナルトも、エリーアスがなんでそんなに取り乱しているか分からず、首を傾げていた。
「結婚したし、親になるのだから、少しは変わったと思っていたのに」
エリーアスの呟きがユストゥスにもライナルトにもギルベルトにも届くことはない。
「エリーゼとエリーアス・ジュニアか。エリーゼ、エリーアス・ジュニアのことを可愛がってやらないとな」
「うー」
生後半年になっているエリーゼは指を舐めながら話が分かっているのか、分かっていないのか分からない表情で唸っていた。
「僕が学会で出張するときには、ライナルトとエリーアス・ジュニアのことをお願いするよ」
「エリーゼも小さいのに申し訳ないけど」
「それは気にしなくていいですよ。ユストゥス、ライナルトとしっかり子育てするのですよ」
「分かってるよ」
「時々食事を差し入れするからな。今後も遠慮なくうちに食事に来てくれ」
エリーアスもギルベルトもライナルトとユストゥスの子育てを手伝ってくれる気満々のようだった。
二つの家庭、二組の夫婦に囲まれて、二人の子どもは大きくなっていく。
お互いを姉弟のように思いながら。
出産のときにギルベルトは赤ん坊を抱いて号泣してしまったらしい。
「可愛いでしょう? ユストゥスとライナルトの姪ですよ」
「お、俺の姪でもあるのか?」
「ユストゥスと結婚したんだから、当然ライナルトの姪でもありますよ」
暖かな家庭に憧れてエリーアスとギルベルトの家に入り浸っていたライナルトだが、二人の娘が自分の姪になるとは思っていなかった。自分もこの暖かな家庭の輪に入れているのだと考えるだけで感動で胸がいっぱいになる。
男性なので母乳が出ないエリーアスは、エリーゼに哺乳瓶でミルクを与えていた。エリーアスとギルベルトの家に行くたびに、ギルベルトとエリーアスのどちらがミルクを与えていることも、オムツを替えていることもあって、ライナルトは少し驚いていた。
「赤ん坊が生まれたらすぐにどこかに預けるか、ハウスキーパーを雇うんだと思ってた」
「仕事に復帰するときには保育園に預けますが、基本的に私とギルベルトで育てるつもりですよ」
「エリーゼは俺とエリさんを見ると笑うようになったんだ。ものすごく可愛いんだ」
エリーアスもギルベルトも赤ん坊が可愛くて可愛くて堪らない様子だった。可愛がられているのが分かっているのか、エリーゼも二人によく甘えている。ふにゃふにゃと甘え泣きをして抱っこを求めるエリーゼを、エリーアスもギルベルトも喜んで抱っこしていた。
「ライナルトは赤ん坊が生まれたら、ハウスキーパーを雇った方がいい?」
エリーアスとギルベルトの家から帰って、ユストゥスに聞かれて初めてライナルトはそのことを考えた。当然のようにライナルトは保育園に預けられて、迎えに来るのもハウスキーパーで、基本的に両親とは触れ合ったことがない。そもそも体外受精で、人工子宮の中で育ったので、ライナルトは月齢が満ちて人工子宮から取り出されただけで、誰が産んだわけでもない。
子どもというものが親の体内で育てられるという知識はあったが、ライナルトは産科の病院の機械に繋がれた人工子宮の中で育ったので、自分が産むとしてもまだその実感もなかった。
「俺に育てられるんだろうか」
「困ったら兄さんとギルベルトのところもあるし、僕もいるよ」
「ユストゥス、俺はちゃんとした親になれるのか自信がなくなって来た」
マタニティブルーになりそうなライナルトを、ユストゥスが優しく抱き締めてくれる。
「僕も初めてだし、ライナルトもそれは同じ。お互いに努力していい親になろう?」
ユストゥスも経験したことのないことをこれから始める。ライナルトと同じなのだと思えば怖くない気がしてくる。
八か月まで胎内で赤ん坊を育てて、人工子宮がそれ以上は育てられなくなったところで、ライナルトは出産に臨んだ。
麻酔をかけて意識のないうちに帝王切開で赤ん坊を取り出すのだが、赤ん坊に危険がないように強い麻酔は使えないと聞いている。痛みは当然あるのだろうと、ライナルトは恐れおののいていた。
「女性よりも男性は痛みに弱いって言うだろ。俺が死んだら、ユストゥス、俺のことを忘れないで。子どものことは頼む」
「遺言にしないでよ。今の技術だと使える麻酔薬も多くなってきてるから、意識を失ってる間に生まれてるって言うよ。ライナルト、僕は祈っていることしかできないけど、ライナルトと赤ん坊が無事に手術室から出て来るのを待ってる」
「ユストゥス、怖い。一人で手術室に入りたくない」
泣き出してしまったライナルトに、ユストゥスの動きは早かった。産科の医師に交渉して手術室に入れてもらうことにしたのだ。
「僕も医師です。絶対にお邪魔にならないと約束します」
「母体の安心のためにもそれがいいようですね」
泣きじゃくるライナルトを見て、産科の医師もユストゥスの意志を尊重してくれた。
麻酔が入って行く間、ライナルトは手術着に着替えて全身消毒したユストゥスに手を握ってもらっていた。
目が覚めたら下腹に引き攣るような痛みが走って、ライナルトは起き上がれなかった。周囲を見回すと病室に戻っていて、ユストゥスが産着を着た赤ん坊を抱っこして揺らしている。
「ライナルト、目が覚めた? 傷の痛みは?」
「痛い……けど、我慢できる範囲だ。その子が?」
「うん、そうだよ。僕とライナルトの息子だよ」
生まれてきたのは男の子だったとそこでライナルトは初めて聞かされた。
「名前は考えてあるんだ」
「どんな名前だ?」
「エリーアス! 世界で一番いい名前だと思わない?」
兄のエリーアス第一主義のユストゥスからしてみれば、同じ名前をつけるのは当然のことのように思えた。ライナルトもエリーアスとギルベルトの二人は大好きだったので異存はない。
「いい名前だな。エリーアス・ジュニアかな」
「そうだね、エリーアス・ジュニアだ」
普通それは父親の名前をもらった息子が呼ばれるのだということを、その場に誰もいなかったので突っ込まれることはなかった。
赤ん坊が生まれて七日間入院しなければいけなかったのだが、ライナルトは一人の病室に耐えられずに毎日のように眠らずに夜中にユストゥスに携帯端末で連絡を取っていた。あまりにも眠らないので傷の治癒が遅くなるとして、無理やり睡眠薬で眠らされそうになったが、産後の身体に強い睡眠薬は使えず、睡眠薬が切れるとまた起きてくるライナルトに匙を投げた産科の医師は、予定よりも早くライナルトを退院させた。
育児休暇を取っているユストゥスに迎えに来てもらって、ライナルトは赤ん坊と一緒に家に戻った。帝王切開の痕があるし、まだあまり動けないライナルトに、ユストゥスが細やかに世話をしてくれる。
食事も冷凍食品を温めたものか、お惣菜だったが、ベッドまで持ってきてくれて、食べ終わると片付けてくれる。赤ん坊はユストゥスがお風呂に入れてくれて、ライナルトのお風呂まで手伝ってくれた。
「赤ちゃんを見せてもらいに来ましたよ」
「男の子だって? エリーゼに弟ができたな」
エリーゼを抱っこしたエリーアスとギルベルトが家にやって来たのは、ライナルトが退院してから二週間後のことだった。少しは動けるようになっていたので、リビングのソファに座って、ライナルトはエリーアス・ジュニアの寝ているベビーベッドを覗いていた。
エリーアス・ジュニアは黒髪に金色のお目目で、顔立ちはどちらに似ているともまだ言えなかった。
「可愛いだろう。僕たちのエリーアス・ジュニアだよ!」
「は?」
「エリーアスの名前をもらうことにしたんだ。ユストゥスが世界一良い名前だっていうから」
「ちょっと待ってください。ジュニアって使い方間違ってません? 他の名前がなかったんですか?」
珍しく取り乱しているエリーアスに、ギルベルトがしみじみと呟く。
「そうだよな。エリさんは最高だからな。分かるよ」
「分かるよじゃないですよ!? なんで、私の名前なんですか!?」
理解できないとばかりに声を上げるエリーアスに、ユストゥスもライナルトも、エリーアスがなんでそんなに取り乱しているか分からず、首を傾げていた。
「結婚したし、親になるのだから、少しは変わったと思っていたのに」
エリーアスの呟きがユストゥスにもライナルトにもギルベルトにも届くことはない。
「エリーゼとエリーアス・ジュニアか。エリーゼ、エリーアス・ジュニアのことを可愛がってやらないとな」
「うー」
生後半年になっているエリーゼは指を舐めながら話が分かっているのか、分かっていないのか分からない表情で唸っていた。
「僕が学会で出張するときには、ライナルトとエリーアス・ジュニアのことをお願いするよ」
「エリーゼも小さいのに申し訳ないけど」
「それは気にしなくていいですよ。ユストゥス、ライナルトとしっかり子育てするのですよ」
「分かってるよ」
「時々食事を差し入れするからな。今後も遠慮なくうちに食事に来てくれ」
エリーアスもギルベルトもライナルトとユストゥスの子育てを手伝ってくれる気満々のようだった。
二つの家庭、二組の夫婦に囲まれて、二人の子どもは大きくなっていく。
お互いを姉弟のように思いながら。
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