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後編
15.続く幸福な日々
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水族館でアザラシの水槽の前からギルベルトはずっと動かなかった。左手でエリーアスの右手をずっと握り締めている。水槽の水の張っていない場所には、白いふわふわのアザラシの赤ん坊が転がっている。水の中を泳いだ母親のアザラシが、時々赤ん坊に近寄って母乳をあげている。
「エリさん、白い。ふわふわだ」
「可愛いですね」
「転がったぞ!? 水に落ちないか?」
「お母さんが助けてくれるんじゃないですかね」
手を繋いでずっとアザラシの水槽の前から動かない成人男性二人を、周囲がどう見ていたかなんてギルベルトには全く気にならなかった。満足するまでアザラシを見て、帰ろうとするとエリーアスが水族館の売店に寄ってくれる。
そこには等身大のアザラシの赤ん坊のぬいぐるみが置いてあった。
「ど、どうしよう、エリさん……」
「欲しかったら買ったらいいのでは?」
「キリンのぬいぐるみもあるのにいいのか?」
「ソファのクッションにもなりそうないいサイズですね」
キリンのぬいぐるみは自立するタイプで、子どもならば背中に乗れると銘打ってあったが、抱き締めるには若干大きすぎる。等身大のアザラシの赤ん坊のぬいぐるみならば、エリーアスが座るソファのクッション代わりになるかもしれない。
白くてふわふわのアザラシのぬいぐるみをクッション代わりにしてソファで寛ぐエリーアスを想像すると、ギルベルトはなんとしてもそのぬいぐるみを買わなくてはいけない使命に駆られていた。
「タオルもありますね。エコバッグもありますよ」
「エリさん、俺はどうすればいいんだ」
「買ったらいいと思いますよ」
あっさりと許すエリーアスに、ギルベルトは聞いてみたいことがあった。部屋に戻ると、キリンのシャツを持って来て、エリーアスに突き付ける。
「正直に言ってくれ。エリさんは俺がキリンのグッズやアザラシのグッズを集めることをどう思っているんだ? キリンのシャツを着てる俺と歩いて、恥ずかしくないのか?」
真剣に問いかけると、エリーアスが水色の目を見開いている。
「そんなことを気にしていたのですか」
「そんなことって……俺には大切なことだ」
軽いことのように言われてしまうが、ギルベルトにとってはエリーアスがどう思っているかはとても大切なことだった。優しいからエリーアスは言えないだけで、ギルベルトのことを恥ずかしいと思っていたらどうしよう。一緒に歩きたくないと思われていたら、ギルベルトはキリンのシャツを処分することまで考えていた。
「ギルベルトは、小さい頃、自分の服を自分で選びましたか?」
「いや、与えられたのを着てただけだ」
「軍に入ってからはずっと制服で、その後もユストゥスに選んでもらっていたでしょう? 私は、あなたが自分の選んだものを身に着けて、自分の選んだものに囲まれて生きて欲しいと思っています」
そこにエリーアスの好みは関係ない。
冷たくも感じられるかもしれないが、エリーアスらしいギルベルトの意志を尊重する発言にギルベルトは感動していた。
「ギルベルトは、私を気にせずに、今まで選べなかった分だけ、自分で欲しいものを選んでいいと思うのです。幸せそうなギルベルトを見ていると、私も幸せですよ」
もうすぐ23歳になる大の大人がキリンのシャツを着てキリンのぬいぐるみを愛でて、今度はアザラシの赤ん坊のぬいぐるみを買って、タオルとエコバッグまで揃えてしまった。そんなギルベルトにドン引きすることなく、エリーアスは幼い頃に自分で選べなかったギルベルトが今からでもやり直せるように考えてくれている。
「エリさん……」
「これまでにできなかったことも、これから私と経験して行けばいいではないですか。ギルベルトはもう一度人生をやり直すんですよ」
小さな頃から自分に価値がないと思い込んで、15歳で戦場に出て命を捨てても構わないと思っていた。過去のギルベルトに別れを告げて、ギルベルトはこれからエリーアスと人生をやり直す。
遠回りをしてしまったかもしれないが、エリーアスという人生の伴侶に出会って、ギルベルトは生まれ変わったのだ。そう思うと、何でもできる気がしてくる。
「大学に行きたい」
「いいですね。どの学部ですか?」
「調理や栄養学を学びたい」
少し前までなら、エリーアスと一緒に働くために、ギルベルトは医師や薬剤師の資格を取りたがったかもしれない。今はそうではなく、ギルベルト自身がやりたいことが見えて来た。
「栄養学を学んで、エリさんに最高の料理を作りたい」
「大学を調べてみましょうか?」
「エリさんの護衛はできなくなるけど、いいのか?」
運転して研究所に送ることも難しくなるかもしれない。
大学に通い出したらエリーアスの傍にいられなくなるし、送り迎えもできなくなることを気にするギルベルトに、エリーアスが淡く微笑む。
「ギルベルトの車を買いましょう。大学通学に必要でしょう?」
「エリさんは?」
「私も自分で運転できるように練習します。義手も義足も慣れたので、問題なくできると思いますよ」
車を買って、大学を調べて、エリーアスはギルベルトのやりたいことに賛成してくれている。飛び級で士官学校に入ったがそれ以外の学校にはまともに行っていないギルベルトにとっては、大学に行くのが初めての学校生活のようなものだった。
「俺は、それを望んでもいいのか?」
「もっと、したいことがあったら遠慮なく言ってください。できる限りは協力しますよ」
エリーアスの言葉にギルベルトはエリーアスの身体を抱き締める。左側の義手は冷たかったけれど、それ以外は暖かい。
「一生仕事しなくても暮らせる金があるのに、どうしてエリさんが仕事をするのか聞いたとき、エリさんは崇高な魂を持っていると思ったけれど、エリさんはやりたいからやってたんだって、今分かった気がする」
「そうですよ。私は研究が好きなんです」
「俺にもやりたいことをしていいって言ってくれる。エリさんは最高の伴侶だ」
「そんなの当然じゃないですか。ギルベルトのやりたいことを応援するのが、伴侶としての私の役目ですよ」
エリーアスの愛に包まれて、ギルベルトは幸福な気持ちで顔を埋めたエリーアスの肩に涙を零した。
大学への編入試験は問題なく合格することができた。最新式の電気自動車はエリーアスの方に使って欲しかったが、ギルベルトがどれだけ主張してもエリーアスは古い方の電気自動車を使うと言って聞かなかった。
「大学から帰ったら、晩ご飯を用意してエリーアスの帰りを待ってる」
「忙しかったら、冷凍食品でいいですからね」
「俺が作りたいんだ」
出かけるときに今生の別れのようにエリーアスに抱き付くギルベルトを、エリーアスはぽんぽんと背中を叩いて宥めてくれた。
大学では他の生徒よりも若干年齢は高いが、ギルベルトは馴染むことができた。近寄って来る相手には警戒してしまうが、時間をかけて友人もできた。
初夏のギルベルトの誕生日にはユストゥスがケーキを持って訪ねて来てくれた。
「ギルベルトはケーキも作るかと思ったけど、プレゼントだと思って受け取って」
「ありがとう、ユストゥス」
「大学に行き始めたんだってね。いいことだと思うよ。学ぶって楽しいもんね」
笑顔で話しかけてくれるユストゥスからケーキを受け取って、ギルベルトは夕食の最後の仕上げに取り掛かっていた。
メニューは若鶏を一匹丸ごと使ったローストチキンで、これから、食卓で解体が始まる。
「ギルベルト、お誕生日おめでとうございます。お誕生日までギルベルトに料理を作らせてしまって申し訳ないですね」
「エリさんは座っててくれ。俺が作りたくて作ってるんだ」
ローストチキンをオーブンから取り出してお皿の上に乗せて、ギルベルトは肉用のナイフとフォークでもも肉を切り離した。もも肉を一本ずつエリーアスとユストゥスの皿の上に乗せて、ギルベルトは胸肉を切り取る。
マスタードソースをかけたローストチキンは美味しそうにこんがりと焼けていた。
「美味しいですね」
食べて微笑むエリーアスの耳元に、ギルベルトはそっと囁きかける。
「今晩は、エリーアスを美味しくいただくからな」
鶏のもも肉を頬張っていたエリーアスが飲み込んで、脂の付いた指をこれ見よがしにぺろりと舐めた。
「あなたが食べられる方かもしれませんよ?」
妖艶に微笑むエリーアスにギルベルトの股間が反応しそうになる。
「もう! そういうのは僕がいないときにやってよね!」
ユストゥスが声を上げて、身体を離したギルベルトとエリーアスはお互いに顔を見合わせて笑い合う。
今夜は熱い夜になりそうだった。
「エリさん、白い。ふわふわだ」
「可愛いですね」
「転がったぞ!? 水に落ちないか?」
「お母さんが助けてくれるんじゃないですかね」
手を繋いでずっとアザラシの水槽の前から動かない成人男性二人を、周囲がどう見ていたかなんてギルベルトには全く気にならなかった。満足するまでアザラシを見て、帰ろうとするとエリーアスが水族館の売店に寄ってくれる。
そこには等身大のアザラシの赤ん坊のぬいぐるみが置いてあった。
「ど、どうしよう、エリさん……」
「欲しかったら買ったらいいのでは?」
「キリンのぬいぐるみもあるのにいいのか?」
「ソファのクッションにもなりそうないいサイズですね」
キリンのぬいぐるみは自立するタイプで、子どもならば背中に乗れると銘打ってあったが、抱き締めるには若干大きすぎる。等身大のアザラシの赤ん坊のぬいぐるみならば、エリーアスが座るソファのクッション代わりになるかもしれない。
白くてふわふわのアザラシのぬいぐるみをクッション代わりにしてソファで寛ぐエリーアスを想像すると、ギルベルトはなんとしてもそのぬいぐるみを買わなくてはいけない使命に駆られていた。
「タオルもありますね。エコバッグもありますよ」
「エリさん、俺はどうすればいいんだ」
「買ったらいいと思いますよ」
あっさりと許すエリーアスに、ギルベルトは聞いてみたいことがあった。部屋に戻ると、キリンのシャツを持って来て、エリーアスに突き付ける。
「正直に言ってくれ。エリさんは俺がキリンのグッズやアザラシのグッズを集めることをどう思っているんだ? キリンのシャツを着てる俺と歩いて、恥ずかしくないのか?」
真剣に問いかけると、エリーアスが水色の目を見開いている。
「そんなことを気にしていたのですか」
「そんなことって……俺には大切なことだ」
軽いことのように言われてしまうが、ギルベルトにとってはエリーアスがどう思っているかはとても大切なことだった。優しいからエリーアスは言えないだけで、ギルベルトのことを恥ずかしいと思っていたらどうしよう。一緒に歩きたくないと思われていたら、ギルベルトはキリンのシャツを処分することまで考えていた。
「ギルベルトは、小さい頃、自分の服を自分で選びましたか?」
「いや、与えられたのを着てただけだ」
「軍に入ってからはずっと制服で、その後もユストゥスに選んでもらっていたでしょう? 私は、あなたが自分の選んだものを身に着けて、自分の選んだものに囲まれて生きて欲しいと思っています」
そこにエリーアスの好みは関係ない。
冷たくも感じられるかもしれないが、エリーアスらしいギルベルトの意志を尊重する発言にギルベルトは感動していた。
「ギルベルトは、私を気にせずに、今まで選べなかった分だけ、自分で欲しいものを選んでいいと思うのです。幸せそうなギルベルトを見ていると、私も幸せですよ」
もうすぐ23歳になる大の大人がキリンのシャツを着てキリンのぬいぐるみを愛でて、今度はアザラシの赤ん坊のぬいぐるみを買って、タオルとエコバッグまで揃えてしまった。そんなギルベルトにドン引きすることなく、エリーアスは幼い頃に自分で選べなかったギルベルトが今からでもやり直せるように考えてくれている。
「エリさん……」
「これまでにできなかったことも、これから私と経験して行けばいいではないですか。ギルベルトはもう一度人生をやり直すんですよ」
小さな頃から自分に価値がないと思い込んで、15歳で戦場に出て命を捨てても構わないと思っていた。過去のギルベルトに別れを告げて、ギルベルトはこれからエリーアスと人生をやり直す。
遠回りをしてしまったかもしれないが、エリーアスという人生の伴侶に出会って、ギルベルトは生まれ変わったのだ。そう思うと、何でもできる気がしてくる。
「大学に行きたい」
「いいですね。どの学部ですか?」
「調理や栄養学を学びたい」
少し前までなら、エリーアスと一緒に働くために、ギルベルトは医師や薬剤師の資格を取りたがったかもしれない。今はそうではなく、ギルベルト自身がやりたいことが見えて来た。
「栄養学を学んで、エリさんに最高の料理を作りたい」
「大学を調べてみましょうか?」
「エリさんの護衛はできなくなるけど、いいのか?」
運転して研究所に送ることも難しくなるかもしれない。
大学に通い出したらエリーアスの傍にいられなくなるし、送り迎えもできなくなることを気にするギルベルトに、エリーアスが淡く微笑む。
「ギルベルトの車を買いましょう。大学通学に必要でしょう?」
「エリさんは?」
「私も自分で運転できるように練習します。義手も義足も慣れたので、問題なくできると思いますよ」
車を買って、大学を調べて、エリーアスはギルベルトのやりたいことに賛成してくれている。飛び級で士官学校に入ったがそれ以外の学校にはまともに行っていないギルベルトにとっては、大学に行くのが初めての学校生活のようなものだった。
「俺は、それを望んでもいいのか?」
「もっと、したいことがあったら遠慮なく言ってください。できる限りは協力しますよ」
エリーアスの言葉にギルベルトはエリーアスの身体を抱き締める。左側の義手は冷たかったけれど、それ以外は暖かい。
「一生仕事しなくても暮らせる金があるのに、どうしてエリさんが仕事をするのか聞いたとき、エリさんは崇高な魂を持っていると思ったけれど、エリさんはやりたいからやってたんだって、今分かった気がする」
「そうですよ。私は研究が好きなんです」
「俺にもやりたいことをしていいって言ってくれる。エリさんは最高の伴侶だ」
「そんなの当然じゃないですか。ギルベルトのやりたいことを応援するのが、伴侶としての私の役目ですよ」
エリーアスの愛に包まれて、ギルベルトは幸福な気持ちで顔を埋めたエリーアスの肩に涙を零した。
大学への編入試験は問題なく合格することができた。最新式の電気自動車はエリーアスの方に使って欲しかったが、ギルベルトがどれだけ主張してもエリーアスは古い方の電気自動車を使うと言って聞かなかった。
「大学から帰ったら、晩ご飯を用意してエリーアスの帰りを待ってる」
「忙しかったら、冷凍食品でいいですからね」
「俺が作りたいんだ」
出かけるときに今生の別れのようにエリーアスに抱き付くギルベルトを、エリーアスはぽんぽんと背中を叩いて宥めてくれた。
大学では他の生徒よりも若干年齢は高いが、ギルベルトは馴染むことができた。近寄って来る相手には警戒してしまうが、時間をかけて友人もできた。
初夏のギルベルトの誕生日にはユストゥスがケーキを持って訪ねて来てくれた。
「ギルベルトはケーキも作るかと思ったけど、プレゼントだと思って受け取って」
「ありがとう、ユストゥス」
「大学に行き始めたんだってね。いいことだと思うよ。学ぶって楽しいもんね」
笑顔で話しかけてくれるユストゥスからケーキを受け取って、ギルベルトは夕食の最後の仕上げに取り掛かっていた。
メニューは若鶏を一匹丸ごと使ったローストチキンで、これから、食卓で解体が始まる。
「ギルベルト、お誕生日おめでとうございます。お誕生日までギルベルトに料理を作らせてしまって申し訳ないですね」
「エリさんは座っててくれ。俺が作りたくて作ってるんだ」
ローストチキンをオーブンから取り出してお皿の上に乗せて、ギルベルトは肉用のナイフとフォークでもも肉を切り離した。もも肉を一本ずつエリーアスとユストゥスの皿の上に乗せて、ギルベルトは胸肉を切り取る。
マスタードソースをかけたローストチキンは美味しそうにこんがりと焼けていた。
「美味しいですね」
食べて微笑むエリーアスの耳元に、ギルベルトはそっと囁きかける。
「今晩は、エリーアスを美味しくいただくからな」
鶏のもも肉を頬張っていたエリーアスが飲み込んで、脂の付いた指をこれ見よがしにぺろりと舐めた。
「あなたが食べられる方かもしれませんよ?」
妖艶に微笑むエリーアスにギルベルトの股間が反応しそうになる。
「もう! そういうのは僕がいないときにやってよね!」
ユストゥスが声を上げて、身体を離したギルベルトとエリーアスはお互いに顔を見合わせて笑い合う。
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