あと少しの生命なら

sawa

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この世界には魔法が存在する。
空気中には魔素というものがあって、人がそれを取り込むと魔力に変換され、その魔力を使って魔法を繰り出すという世界の原理だ。
人間には1人1人魔素を取り込める量が決まっていて、1呼吸で限界な人間もいれば、ほぼ無限に取り込める人間もいる。
魔素は簡単に言えば毒のようなものである。摂取量を間違えれば死に至るように、あまり取り込めない人間が無理に取り込もうとすれば体を傷つけることとなった。
この原理は学校では習わず、ただその人の魔力量として教わっていた。
何故そうなるかを考えないほど、当たり前な知識として定着していたのである。

この国、エンジュールに存在する貴族はこぞって魔力が膨大な人間と結婚し、子供を産むことを繰り返していた。魔力が多いから貴族であると平民に知らしめ、貴族と平民の区別を明らかにするためであった。基本的には遺伝通りに魔力が膨大な子供が生まれていたが、中には例外が何件かあった。
遺伝するはずの魔力が遺伝されないのである。

侯爵令嬢であるセシリア・ルシファーもその1人であった。
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