十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第七章 最愛の人に求婚されました

百二十三話

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―俊太郎、お元気ですか?

 俺はバンドを解散し、ソロで活動していくことになりました。

 くるみんとの一件で離れたファンもいたけれど、残ってくれたファンもいて、なんとか活動を続けられています。

 くるみんと別れて、俺、気づいたんだ。

 俊太郎がそばにいてくれたこと、支えてくれたことの大切さを。

 初めて出会った牛丼屋でのバイトで、二人で深夜回したこと。

 クリスマスの翌日、俊太郎が残業終わりで買ってきたコンビニのケーキを食べたこと。

 そんな些細なことが、どれも愛おしいかけがえのないものだったんだ。

 男とか女とか関係ない、そばにいて、支えてくれた俊太郎こそ、俺の運命の人だったんだ。

 そんな俊太郎のことを思って書きました。

 聴いてください、『女々しくてごめん』



「ん?通知来てる……げ」

「どうしたの?」

「見ろよこれ。作って放置してたインスタのアカウントにDM来たんだよ、雄介から」

「ああ、あの人ね」

「『俊太郎、もしこれを読んだら連絡してほしい。読んでなくても、俺の歌を聴いてほしい』だってさ」

「歌?あ、なんか動画がついてる」

「とりあえず聞くだけ聞くか」

「しゅん兄ちゃんは優しいね。放っておいてもいいのに」

「まあ、聞いた上で鼻で笑ってやるけどな」


「……なんか、どっかで聞いたような言葉の羅列だな」

「流行った曲を無理やり繋げたみたいな曲だね」

「ま、でもいいや、これで綺麗さっぱり、俺が好きだった『熊井雄介』はこの世からいなくなったんだ」


 そう言いながら、俺はブロックボタンを押した。



 

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