十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

第六章 突然の別れ

百十五話

　10:17。

　俺は次の目的地へと向かっていた。


「ここか……！」


　到着すると、俺は式場のドアを開けた。

-
　11:02。

「ここも違う、こっちは行った……」


　俺は式場の前のちょっとしたスペースで頭を抱えていた。


「麗音……どこにいるんだ……」


　ブブッ、とスマホが鳴った。

『兎山さん、有栖川さん見つかりましたか？』

　俺は力なく返信する。

『まだです』

『どこまで探されましたか？』

　俺は地図を写真に撮ると鷲見さんに送った。


「あと10件以上……どうすれば……」


　スマホの左上には11:10という数字が出ていた。

　今から全部を周るなんて到底無理だ、正午になっちまう。

　スマホが再び鳴る。

『最短で周れるコースを考えました。この一番奥には向かえませんが、体の悪い社長のことですから、近場を選ぶかと』

　メッセージと共に、鷲見さんがルートを描いた地図を上げてくれた。

『ありがとうございます』

　俺は地図をぼんやりと眺めた。


　この中のどこかに麗音がいる。

　この中のどこか……


「……まさか！」


　俺は走り出すと、とある駅へと向かった。