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第六章 突然の別れ

百八話

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「うー……ん、あれ、麗音?」


 静けさに違和感を感じて起き上がると、一緒に寝ていたはずの麗音がいなかった。

 あいつは俺よりも早く起きて朝食の用意をするから、それでいないのかと思ったけれども、違う。

 「この家」に、麗音がいないのだ。


「買い物……?でも今日は月曜日だし、まさか先に出社したとか……?」


 いや、ないない。

 あいつは絶対に遅刻グセのある俺を残して出社しない。

 というか今って……


「8:55!? 完全に遅刻だ!」


 俺は慌てて着替えのために自室へ戻った。



 自室のテーブルの上に、何かがあった。


「何だっ……?」


 近づいてみると、それは『しゅん兄ちゃんへ』と書かれた一通の封筒だった。

 俺は急いで封を切り、中身を確認した。


-
 突然、スマホが鳴りだした。


「麗音……!?」


 見ると、知らない番号だった。

 俺は一縷の望みを賭け、その着信に出た。


「もしもし……」

『こうして直接話をするのは初めてかな、兎山俊太郎くん』

「……!?」


 聞いたことの無い、凄味のある低音が鼓膜を響かせた。


『分からないかね、兎山くん。君の会社の社長、虎居一重だよ』

    
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