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第五章 アイドルの企み

八十九話

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「ごちそう様でした!」


 皿を洗う麗音に向かって、俺は口をまごつかせた。

「麗音、あのさ、……」

「ん?どうしたの?」

「……やっぱりいいわ、皿洗い終わってから聞く」


 分かった!と元気よく返す麗音の姿に、胸の奥がズキンと痛んだ。


「終わったよー!しゅん兄ちゃん、さっき聞きたかったことって何?」


 麗音は俺の隣に座り、体をこちらに向けた。


「ん、あのさ……」

「うん?」

「……桃澤への復讐、なんだけど」


 そう言うと麗音は俺の頭を撫でながら言った。


「大丈夫、順調に進んでるよ」


 ああ、まただ。

 麗音はいつもはぐらかしてしまう。

 俺は麗音の腕を掴んで、ゆっくりと下ろした。


「どうしたの、しゅん兄ちゃん」

「あのな、麗音、俺の話を聞いてくれ」


 俺は息を吸った。


「麗音、黙ってないで俺にも復讐計画を教えてくれ」


「……どうしたの」


 麗音は悲しそうな、怒っているような顔をした。


「しゅん兄ちゃん、しゅん兄ちゃんは復讐を気にしなくていいんだよ、俺が全部するから」

「俺は……!」


 俺は麗音を見上げた。

「麗音にばっかり、負担かけたくない……!」
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