十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第五章 アイドルの企み

八十八話

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 雄介の報道から二週間、もう誰も雄介の話をすることは無かった。

 バンドも事実上解散したようなもので、後の二人には本当に申し訳ないな、とちょっとだけ心の中で謝った。

 そして、桃澤から仕掛けてきた日から一週間。

 麗音は相変わらず何も作戦を教えてくれない。


「しゅん兄ちゃんは何も心配しなくていいから」


 俺が尋ねても、麗音はそう言ってかわしてしまうのだ。

-
 梅雨に入る直前の、じめっとした空気の土曜日。

 麗音は朝から自室で何かをしていた。

 俺はベッドに寝転びながらぼんやりと考えていた。

 麗音はなぜ作戦を俺に伝えてくれないのだろうか。

 まだ完成していなくても、俺が手伝えることはあるんじゃないか。

 もしかして信用されてないのかも……

 雄介とのトラウマが顔をもたげそうになったところで急いで首をふる。

 だめだ、俊太郎、また悪いループに入ってるぞ。


「しゅん兄ちゃん、お昼食べるー?」


 麗音が呼びかけてきたのでリビングに移動する。

 今日の昼はペペロンチーノだった。

 上機嫌で料理する麗音の横で、俺はどうしたらいいか分からずにいた。
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