88 / 124
第五章 アイドルの企み
八十八話
しおりを挟む
雄介の報道から二週間、もう誰も雄介の話をすることは無かった。
バンドも事実上解散したようなもので、後の二人には本当に申し訳ないな、とちょっとだけ心の中で謝った。
そして、桃澤から仕掛けてきた日から一週間。
麗音は相変わらず何も作戦を教えてくれない。
「しゅん兄ちゃんは何も心配しなくていいから」
俺が尋ねても、麗音はそう言ってかわしてしまうのだ。
-
梅雨に入る直前の、じめっとした空気の土曜日。
麗音は朝から自室で何かをしていた。
俺はベッドに寝転びながらぼんやりと考えていた。
麗音はなぜ作戦を俺に伝えてくれないのだろうか。
まだ完成していなくても、俺が手伝えることはあるんじゃないか。
もしかして信用されてないのかも……
雄介とのトラウマが顔をもたげそうになったところで急いで首をふる。
だめだ、俊太郎、また悪いループに入ってるぞ。
「しゅん兄ちゃん、お昼食べるー?」
麗音が呼びかけてきたのでリビングに移動する。
今日の昼はペペロンチーノだった。
上機嫌で料理する麗音の横で、俺はどうしたらいいか分からずにいた。
バンドも事実上解散したようなもので、後の二人には本当に申し訳ないな、とちょっとだけ心の中で謝った。
そして、桃澤から仕掛けてきた日から一週間。
麗音は相変わらず何も作戦を教えてくれない。
「しゅん兄ちゃんは何も心配しなくていいから」
俺が尋ねても、麗音はそう言ってかわしてしまうのだ。
-
梅雨に入る直前の、じめっとした空気の土曜日。
麗音は朝から自室で何かをしていた。
俺はベッドに寝転びながらぼんやりと考えていた。
麗音はなぜ作戦を俺に伝えてくれないのだろうか。
まだ完成していなくても、俺が手伝えることはあるんじゃないか。
もしかして信用されてないのかも……
雄介とのトラウマが顔をもたげそうになったところで急いで首をふる。
だめだ、俊太郎、また悪いループに入ってるぞ。
「しゅん兄ちゃん、お昼食べるー?」
麗音が呼びかけてきたのでリビングに移動する。
今日の昼はペペロンチーノだった。
上機嫌で料理する麗音の横で、俺はどうしたらいいか分からずにいた。
85
お気に入りに追加
519
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?


俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました!
※12/14 どうしてもIF話書きたくなったので、書きました!これにて本当にお終いにします。ありがとうございました!

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる