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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言
八十一話
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「有栖川さん、そういうのは二人だけの時間にしてくださいね」
運転席から声がした。
そうだ、この運転手は一体何者なんだ?
「兎山さんも、先輩なんですから後輩の指導はきちんと行ってください。まあ、今はプライベートですので、多目に見なければなりませんが」
「!?何で、俺のこと」
リムジンが路肩に停まる。
運転手がこちらを振り返った。
長い黒髪を一つに束ね、黒縁の眼鏡をかけた女性だった。
「私は鷲見英華(すみ えいか)。兎山さん、あなたが先日呼んだSEですよ」
-
「……え、ええー!!」
何でうちのSEがリムジン運転してんだ、ていうか麗音とどんな関係だったんだ!?
「鷲見さんはこの前迷惑かけちゃったから、俺が何でも手伝います!ってお願いしたの」
「待て、どうしてそれでリムジン運転になるんだよ」
「私は有栖川さんに、『目の覚めるような体験をさせてくれ』と申しました。毎日毎日アホ共の雑魚トラブルに付き合わされてイライラしており、ストレスが限界だったのです。しかも有栖川さんの件は上司である人間が皆ゴシップにうつつを抜かしていた中でのトラブル……私はやけになり有栖川さんに申し出たのです」
「それで、『じゃあゴシップの中心人物に復讐するんで、協力してください!』って頼んだんだ!」
何度か聞いたが全く理解できなかった。
というか、鷲見さんそんなにストレス溜まってたんだな……
「双眼鏡で確認しておりましたが、その様子だと上手く行ったようですね。私はアイドルもお相手も存じ上げませんが、有栖川さんが耳打ちしたときのお相手の顔……ゾクゾクしました」
鷲見さんがうっとりとする。
……これからは絶対、怪しいメールとかサイトは開かないようにしよう。
「あ、ここで大丈夫です、ありがとうございます」
「承知しました。ではまた、目の覚める体験をいつでもお待ちしております」
鷲見さんはそのままリムジンを運転し、夜闇に溶けていった。
-
翌日。
「しゅん兄ちゃん、テレビ見て!」
寝起きの目を瞬かせ、麗音から促されるまま覗き込んだ画面には、雄介の宣材写真と、このようなテロップが出ていた。
「『フィッシュバードベアー』熊井雄介、未成年淫行の疑いで事情聴取」
運転席から声がした。
そうだ、この運転手は一体何者なんだ?
「兎山さんも、先輩なんですから後輩の指導はきちんと行ってください。まあ、今はプライベートですので、多目に見なければなりませんが」
「!?何で、俺のこと」
リムジンが路肩に停まる。
運転手がこちらを振り返った。
長い黒髪を一つに束ね、黒縁の眼鏡をかけた女性だった。
「私は鷲見英華(すみ えいか)。兎山さん、あなたが先日呼んだSEですよ」
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「……え、ええー!!」
何でうちのSEがリムジン運転してんだ、ていうか麗音とどんな関係だったんだ!?
「鷲見さんはこの前迷惑かけちゃったから、俺が何でも手伝います!ってお願いしたの」
「待て、どうしてそれでリムジン運転になるんだよ」
「私は有栖川さんに、『目の覚めるような体験をさせてくれ』と申しました。毎日毎日アホ共の雑魚トラブルに付き合わされてイライラしており、ストレスが限界だったのです。しかも有栖川さんの件は上司である人間が皆ゴシップにうつつを抜かしていた中でのトラブル……私はやけになり有栖川さんに申し出たのです」
「それで、『じゃあゴシップの中心人物に復讐するんで、協力してください!』って頼んだんだ!」
何度か聞いたが全く理解できなかった。
というか、鷲見さんそんなにストレス溜まってたんだな……
「双眼鏡で確認しておりましたが、その様子だと上手く行ったようですね。私はアイドルもお相手も存じ上げませんが、有栖川さんが耳打ちしたときのお相手の顔……ゾクゾクしました」
鷲見さんがうっとりとする。
……これからは絶対、怪しいメールとかサイトは開かないようにしよう。
「あ、ここで大丈夫です、ありがとうございます」
「承知しました。ではまた、目の覚める体験をいつでもお待ちしております」
鷲見さんはそのままリムジンを運転し、夜闇に溶けていった。
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翌日。
「しゅん兄ちゃん、テレビ見て!」
寝起きの目を瞬かせ、麗音から促されるまま覗き込んだ画面には、雄介の宣材写真と、このようなテロップが出ていた。
「『フィッシュバードベアー』熊井雄介、未成年淫行の疑いで事情聴取」
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