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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

七十九話

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「れ……麗音!?」

「お待たせ、俊太郎さん」


 そこにいたのは。

 純白のスリーピーススーツに白いバラの花束を抱えた麗音だった。


「麗音、そのカッコ……!?」

「俊太郎さん、ライブ無事に終わったんですね、迎えに来ました」


 麗音はうやうやしく頭を下げる。

 雄介と桃澤は口をあんぐりと開けている。


「麗音……この人、お前の知り合い?」

「ち、違う、人違い……」

「この人は、僕の婚約者です」

 
 そう言うとあろうことか麗音は公衆の面前で俺にキスをした。


「ー!!」


 何だ何だと周りも騒ぎ出す。


「な、何なのよあなた……」


 ドン引きした桃澤の声に、麗音が口を離して二人に向き合った。


「僕は有栖川麗音。虎居カンパニーの社長の息子です。そして、兎山俊太郎さんの婚約者です」


 麗音は仰々しく挨拶をする。

 社長の息子、と言う言葉に周りがざわつく。


「と、虎居カンパニー……?聞いたことないぞ、そんな会社」

「いえいえ、私共は皆さんの生活に密接に関わっております。例えばその飲料水。原材料の輸入は虎居が行っております。そして貴方がたが普段食べるであろう食品の原材料の多くに、虎居が関わっております」

「そ、そんなすごい会社に勤めてたのか……ただのブラック企業だと……」

 雄介と桃澤がたじろぐ。

 ブラックなのは言い返せないが。


「て、ていうか結婚って言ったわね、男同士で結婚なんて、できるわけ無いでしょ?」

「いいえ。パートナーシップ制度を用いて近日中に結婚予定です。結婚後は勤務の関係で、二人でフランスに移住する予定です」


 麗音の堂々とした態度にまごつく二人を見て、俺も気が大きくなった。


「そういうことだ、雄介。お前はもう、俺の友人でも何でもない、住む世界の違う赤の他人だよ、じゃあな、せいぜいお幸せに」

「ああ、それと熊井さん」


 麗音が雄介の目の前に立ち、耳元で何かを囁いた。

 雄介の顔がみるみる青ざめていく。


「……?」

「では、お幸せに」


 ニコリと微笑んだ麗音は俺の手を取り、道路へと向かった。

 そこには、リムジンが停められていた。



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