十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

七十九話

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「れ……麗音!?」

「お待たせ、俊太郎さん」


 そこにいたのは。

 純白のスリーピーススーツに白いバラの花束を抱えた麗音だった。


「麗音、そのカッコ……!?」

「俊太郎さん、ライブ無事に終わったんですね、迎えに来ました」


 麗音はうやうやしく頭を下げる。

 雄介と桃澤は口をあんぐりと開けている。


「麗音……この人、お前の知り合い?」

「ち、違う、人違い……」

「この人は、僕の婚約者です」

 
 そう言うとあろうことか麗音は公衆の面前で俺にキスをした。


「ー!!」


 何だ何だと周りも騒ぎ出す。


「な、何なのよあなた……」


 ドン引きした桃澤の声に、麗音が口を離して二人に向き合った。


「僕は有栖川麗音。虎居カンパニーの社長の息子です。そして、兎山俊太郎さんの婚約者です」


 麗音は仰々しく挨拶をする。

 社長の息子、と言う言葉に周りがざわつく。


「と、虎居カンパニー……?聞いたことないぞ、そんな会社」

「いえいえ、私共は皆さんの生活に密接に関わっております。例えばその飲料水。原材料の輸入は虎居が行っております。そして貴方がたが普段食べるであろう食品の原材料の多くに、虎居が関わっております」

「そ、そんなすごい会社に勤めてたのか……ただのブラック企業だと……」

 雄介と桃澤がたじろぐ。

 ブラックなのは言い返せないが。


「て、ていうか結婚って言ったわね、男同士で結婚なんて、できるわけ無いでしょ?」

「いいえ。パートナーシップ制度を用いて近日中に結婚予定です。結婚後は勤務の関係で、二人でフランスに移住する予定です」


 麗音の堂々とした態度にまごつく二人を見て、俺も気が大きくなった。


「そういうことだ、雄介。お前はもう、俺の友人でも何でもない、住む世界の違う赤の他人だよ、じゃあな、せいぜいお幸せに」

「ああ、それと熊井さん」


 麗音が雄介の目の前に立ち、耳元で何かを囁いた。

 雄介の顔がみるみる青ざめていく。


「……?」

「では、お幸せに」


 ニコリと微笑んだ麗音は俺の手を取り、道路へと向かった。

 そこには、リムジンが停められていた。



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