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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言
七十六話
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それからもライブは続いていく。
アンコールで戻ってきた雄介は、舞台上に一人で座り、ギターの調整をした。
「えー、では、新曲です。愛する人の為を思って書きました、『桃色の恋情』」
全身の血が引く。
桃澤久留美。
あいつの為に書いたのか、お前は。
ふらついた俺の腕を、麗音が掴む。
「しゅん兄ちゃん、外出ようか」
「……うん」
言われるがまま、俺達は会場を後にした。
-
ライブ会場の出入口から少し離れた場所。
自販機で買った水を飲みながら、深呼吸をする。
「……俺、やっぱり来なきゃ良かったかな」
ぽつりと呟くと、麗音が顔を覗き込む。
「雄介に何かやり返したくて頑張って着いてきたけど、計画とか狂っちまうかも……」
「そんな事ない、今のところ順調だよ」
麗音が優しく背中を撫でてくれる。
その温もりで心が満たされる。
ふと、麗音が腕時計を見た。
「……あと少しか」
「へ?」
「しゅん兄ちゃんごめん!俺トイレ行ってくる!」
「え、待て、麗音!」
走り去る麗音を見つめながら、俺は一人取り残されてしまった。
「どうしよう……こんな所にいるって雄介に知られたら」
俺は不安になった。
しかし、よく考えると俺がライブに来ることを雄介は把握していないはず。
なぜなら、これは譲り受けたチケットだし、集客の管理はスタッフがしているからだ。
それに、雄介からすると円満に別れたと思ってるだろうし(友達に戻ろうとか言ってた気がする)、万が一見られてもただ友人として聞きに来たふりをすればいい。
麗音の復讐が始まるまで……
「はあ……考え過ぎかあ~」
「あれ、俊太郎?」
そこには、熊井雄介が立っていた。
アンコールで戻ってきた雄介は、舞台上に一人で座り、ギターの調整をした。
「えー、では、新曲です。愛する人の為を思って書きました、『桃色の恋情』」
全身の血が引く。
桃澤久留美。
あいつの為に書いたのか、お前は。
ふらついた俺の腕を、麗音が掴む。
「しゅん兄ちゃん、外出ようか」
「……うん」
言われるがまま、俺達は会場を後にした。
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ライブ会場の出入口から少し離れた場所。
自販機で買った水を飲みながら、深呼吸をする。
「……俺、やっぱり来なきゃ良かったかな」
ぽつりと呟くと、麗音が顔を覗き込む。
「雄介に何かやり返したくて頑張って着いてきたけど、計画とか狂っちまうかも……」
「そんな事ない、今のところ順調だよ」
麗音が優しく背中を撫でてくれる。
その温もりで心が満たされる。
ふと、麗音が腕時計を見た。
「……あと少しか」
「へ?」
「しゅん兄ちゃんごめん!俺トイレ行ってくる!」
「え、待て、麗音!」
走り去る麗音を見つめながら、俺は一人取り残されてしまった。
「どうしよう……こんな所にいるって雄介に知られたら」
俺は不安になった。
しかし、よく考えると俺がライブに来ることを雄介は把握していないはず。
なぜなら、これは譲り受けたチケットだし、集客の管理はスタッフがしているからだ。
それに、雄介からすると円満に別れたと思ってるだろうし(友達に戻ろうとか言ってた気がする)、万が一見られてもただ友人として聞きに来たふりをすればいい。
麗音の復讐が始まるまで……
「はあ……考え過ぎかあ~」
「あれ、俊太郎?」
そこには、熊井雄介が立っていた。
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