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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

六十話

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 家に帰り、シャワーを浴びてベッドに入る。

(実はぁ、付き合ってもう一年なんですよ~)

 一年。

 一年も二股かけられてたのか。

-
 十二年の間、雄介が女遊びをしたのが無かったわけではない。

 でもそれはどの子とも一度きりで、雄介いわく「ファンへのサービス」で、バンドマンなら誰でもやっていることらしい。

 本当はそれもすごく嫌だったんだけど、雄介の書く歌が本当に好きで、一緒にいて落ち着けたから見ないふりをしていた。

(雄介……)

 俺は悲しみと悔しさの入り交ざった気持ちで、いつしか眠ってしまっていた。


 俺と雄介が出会ったのは十二年前の春、とある牛丼屋でのバイトでだった。

 聞くと別の大学の軽音サークルに所属しており、校内だけでなく外部のライブハウスでも歌っているとのことだった。

 最初はいけ好かないやつだと思っていたが、雄介は要領がよく俺のミスをカバーしてくれることも多かった。

 謝ると「これくらい大丈夫だよ」と優しく笑いかけてくれて、それがとても嬉しかった。

 ある日深夜を二人で回さないといけない時があった。

 その時、酔っぱらいに絡まれた俺を救ってくれたのが雄介だった。

 雄介はバイト開け、近くの神社の階段で歌を歌った。

 登ってくる朝日とその歌声が神秘的で。

 俺は思わず告白していた。

 雄介は目を瞬かせて、その後微笑みながら「こちらこそ、よろしく」と返した。


「しゅん兄ちゃん、ただいま」

 電気の点く音と、麗音の声がした。
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