十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

五十七話

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「俺のメリットはだな……まあ家事が楽になること、かな」

「……それだけ?」

「っ、いや、まだあるぞ、麗音のうまい飯が食べられることだな」

「そっか……ありがとね」


 思い切って結婚しようと告白したのに、しゅん兄ちゃんは素っ気ない返事だった。

 しゅん兄ちゃんも俺との結婚を望んでいたと思っていたのに。

 俺だけが浮かれてたんだ。

 俺は悲しい気持ちでアイスを食べ終えた。


 布団に入っても上手く眠れなかった。


「しゅん兄ちゃん、俺のこと嫌いなのかな……」


 一度そう思ってしまうととめどなく考えが溢れて、止まらない。


「俺が仕事で迷惑かけてるから、駄目なのかな……」


 ぽた、ぽたと涙が零れる。

 しゅん兄ちゃんの前では泣かないと決めていたけれど、今日だけは、泣かせてほしかった。


 翌朝も気分はすっきりしなかった。


「……しゅん兄ちゃん、おはよう」

「……おう」


 しゅん兄ちゃん、やっぱり昨日の告白、嫌だったんだな。

 普段なら弾む会話も弾まず、俺達はもそもそとパンを食べ皿を片付けた。

 通勤電車の中もお互いに顔を合わせることもできず、俺はスマートフォンをぼんやり眺めていた。

 興味のないゴシップばかりを並べたニュースサイトに、何の価値があるのだろうと思いながら。

 会社の最寄り駅に着いても動かないしゅん兄ちゃんに声をかけて、なんとか出勤した。
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