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第三章 同居開始で溺愛されてます

五十三話

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 俺のメリットか。

 麗音と暮らせば自分では到底借りられない家に住めるし、家事も楽になるし、

 何より、雄介のことを忘れられる。

 ただ、それをありのまま伝えた所で、麗音が傷つかないだろうか。

 俺に失望しないだろうか。

 それだけが心配だった。


「俺のメリットはだな……まあ家事が楽になること、かな」

「……それだけ?」


 麗音はしょんぼりした表情をこちらに向けた。


「っ、いや、まだあるぞ、麗音のうまい飯が食べられることだな」

「そっか……ありがとね」


 そのまま麗音は寂しそうな表情でアイスを食べ終えた。



 ベッドの中で俺は麗音の表情を思い出していた。

(そっか……ありがとね)

 ……これでいいんだ。

 麗音には真っ当な人生を歩んでほしい。

 そう願って取った行動なのに、俺は言いようのない苦しみを胸に抱えていた。

 寝付くこともできずスマホを開く。

 デフォルトで開くニュースサイトの一文に、全身の血が凍った。


「『キャッチ&ハグ』桃澤久留美 熱愛発覚 お相手はインディーズバンドのボーカル」


 
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