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第三章 同居開始で溺愛されてます

四十二話

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「俊太郎、俺結婚するんだ」

「ほら、久留美からも挨拶して」

「こんにちは~売れないバンドマンを飼ってたヒモ飼いホモさーん、十歳も年下のピチピチ清純派アイドルに丹精込めて養った彼氏取られた気持ちはどうですか~?三十越えてヒモ飼ってるなんて将来考えてなさそうでかわいそ~♡雄介、こんな雑魚のモサい地味男放っといてさっさと式場行こ~、式始まっちゃうよ~♡」

「そうだね、じゃあ俊太郎、さよなら」


「……雄介っ!!」


 ガバっと飛び起きた俺の全身は冷や汗でびっしょりと湿っていた。

 はぁ、はぁ、と荒い息が止まらない。

 ドタドタと遠くから音がすると思ったら、


「しゅん兄ちゃん!?大丈夫!?」


 エプロンを着けた麗音が飛び込んできた。


「なんか急に叫んだ声が聞こえて……大丈夫?怖い夢見た?」


 ベッドに駆け寄り俺の頭や腕を優しく撫でる麗音。


「……ありがとう、麗音。ちょっと怖い夢見たみてえだ、落ち着いたよ」

「本当?良かった!朝ご飯、もうすぐでできるからね」


 最後に頭をもう一撫ですると、麗音は部屋を出ようとした。

 優しさに心が温かくなるが、それよりも雄介の名前を聞かれてないかのほうが心配だった。


「れ……麗音!」


 俺は確かめたくて思わず呼び止めてしまった。


「ん、なあに?」


 くるりと振り返って微笑みながら首を傾げる。


「……と、えと、俺が何か叫んだか、聞こえたか?」

「ええ?うーん、ご飯作ってたからよく聞こえなかったなあ」

「っ、そ、そっか!じゃあいいんだ、悪かったな呼び止めて」


 うん、と返すと麗音はキッチンへと歩き出した。
 

 
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