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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで

二十八話

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『しゅん兄ちゃん、起きてる?』


 続いて、リスのキャラクターが壁からチラッと覗くイラストのスタンプ。


『起きてるよ、どうした?』

『あのね、俺の家来てくれない?』


 「お願いします」と謝るリスのキャラクターのスタンプが送られてきた。


『どうした?何か問題か?』

『問題といえばそうかな、とにかく来てほしいんだ』


 俺は迷った。

 昨日の麗音の落ち込み具合からして、麗音はおそらく俺に会いたいだけなのだ。

 だが、もし本当に何らかのトラブルがあって困っているなら見過ごすわけにはいかない。

 俺はあちこち凝り固まった体をなんとか伸ばして起き上がった。



チャイムを鳴らすと、どたどたと言う音が奥から聞こえてきた。


「いらっしゃい、しゅん兄ちゃん!」


 ドアを開けた瞬間に、満面の笑みの麗音が現れた。


「おう、ライン見たぞ、困ってることって何だ?」


 そう聞くと麗音は下を向いてもじもじしだした。

 どうしたのかと心配になっていると、麗音が顔を上げた。


「あ、あのね、……俺とお出かけ、してほしいんだ!」


 真っ先に出た感想は、「こいつの情緒はどうなってるんだ」だった。

 昨日同居を言い出した時は真っ直ぐな目で見てたのに、お出かけに誘う時にもじもじするなんて。

 勇気の使い所がおかしいだろ、と思っていると、麗音がこちらを覗き込んでいるのに気づいた。


「しゅん兄ちゃん、もしかして、今日何か予定あった?」

「い、いや!なんか家電が壊れたとか、そういう感じの問題だと思ってたから……大丈夫だ、出かけられるぜ」

「本当に!?ありがとう!」


 麗音はその場でぴょんぴょんと跳ねた。

 ……しかし、そういうことならもっといい服着てくるんだったな、と俺は自分の着古したパーカーとジーンズを見つめた。
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