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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで
二十一話
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「おはようしゅん兄ちゃん!もう少しでご飯できるよ!」
見ると、二人分の目玉焼きとトーストが用意されていた。
「簡単なのしか作れないけど……」
「……いや、ありがとう、麗音、いつも作ってんのか?」
「たまにね。今日は早く目が覚めちゃったから」
そう返しつつ、麗音はベーコンを皿に乗せた。
「あっ、自分の分は持ってってね!」
「わーったよ」
俺は少しだけ形の崩れたほうを手に取ろうとした。
すると、麗音がその手を遮った。
「違う!しゅん兄ちゃんのはこっち!」
はい!と渡されたのは、もう一つの綺麗に焼き上がったほう。
「これはしゅん兄ちゃんの為に焼いたんだから、こっち食べて!」
「え、いや、俺は」
いいから、と強引に皿を交換させられた。
そのままテーブルに着く。
「はい、いただきます!」
「い、いただきます」
目玉焼きを箸で切り分け、一口食べる。
「……麗音、お前味付けしたか?」
「えっ?」
目玉焼きは素材そのままの味だった。
「ごめん!塩こしょう持ってくるね」
ドタドタとキッチンに戻る麗音。
私生活でも抜けてんだなあ、と思いつつ淹れてくれたコーヒーを飲むと。
「……にっが!!お前これ、コーヒーの苦さじゃねえぞ!」
「えっ、俺はそれくらいが一番好きなんだけど」
麗音が俺の目玉焼きに塩こしょうを振りながら答えた。
どうやら、二十年の空白を埋めるのは予想以上に時間がかかりそうだ。
「はいお待たせ、これで大丈夫なはず」
「ああ、ありがとう、色々いって悪かった」
「ううん、大丈夫だよ」
そうして俺達は朝食を再開した。
-
食事が終わり、麗音が薄めてくれたコーヒーを飲む。
まだ出勤時間まで余裕がある。
こんな朝は初めてだ。
俺の向かいでコーヒーを飲んでいた麗音がカップを置いた。
「しゅん兄ちゃん、お話があります」
思わず俺も姿勢を正す。
「……俺と、一緒に暮らしてください!」
「……はああ!?」
見ると、二人分の目玉焼きとトーストが用意されていた。
「簡単なのしか作れないけど……」
「……いや、ありがとう、麗音、いつも作ってんのか?」
「たまにね。今日は早く目が覚めちゃったから」
そう返しつつ、麗音はベーコンを皿に乗せた。
「あっ、自分の分は持ってってね!」
「わーったよ」
俺は少しだけ形の崩れたほうを手に取ろうとした。
すると、麗音がその手を遮った。
「違う!しゅん兄ちゃんのはこっち!」
はい!と渡されたのは、もう一つの綺麗に焼き上がったほう。
「これはしゅん兄ちゃんの為に焼いたんだから、こっち食べて!」
「え、いや、俺は」
いいから、と強引に皿を交換させられた。
そのままテーブルに着く。
「はい、いただきます!」
「い、いただきます」
目玉焼きを箸で切り分け、一口食べる。
「……麗音、お前味付けしたか?」
「えっ?」
目玉焼きは素材そのままの味だった。
「ごめん!塩こしょう持ってくるね」
ドタドタとキッチンに戻る麗音。
私生活でも抜けてんだなあ、と思いつつ淹れてくれたコーヒーを飲むと。
「……にっが!!お前これ、コーヒーの苦さじゃねえぞ!」
「えっ、俺はそれくらいが一番好きなんだけど」
麗音が俺の目玉焼きに塩こしょうを振りながら答えた。
どうやら、二十年の空白を埋めるのは予想以上に時間がかかりそうだ。
「はいお待たせ、これで大丈夫なはず」
「ああ、ありがとう、色々いって悪かった」
「ううん、大丈夫だよ」
そうして俺達は朝食を再開した。
-
食事が終わり、麗音が薄めてくれたコーヒーを飲む。
まだ出勤時間まで余裕がある。
こんな朝は初めてだ。
俺の向かいでコーヒーを飲んでいた麗音がカップを置いた。
「しゅん兄ちゃん、お話があります」
思わず俺も姿勢を正す。
「……俺と、一緒に暮らしてください!」
「……はああ!?」
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