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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで

十七話

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「お、お前んち?」

「うん!しゅん兄ちゃんの家には行けないんだよね?じゃあ俺んち行こう!」


 なんだそのとんちみたいな理屈は。

 俺は思わず頭を掻く。


「……ねえ、しゅん兄ちゃん、だめ?」


 こてん、と首を傾げた麗音の姿に思わずかわいいと思ってしまう。

 だ、駄目だ俊太郎!
 
 昔から麗音の、お願いする時に首をこてん、とする癖に幾度となくやられてきたか!


「……行くだけだからな」

「やったあ!」


 兎山俊太郎。

 有栖川麗音のお願いに対する戦歴、敗戦を更新した。


 チェーン店の牛丼屋で夕飯を済ませてから、麗音の家に向かった。

 麗音の家は会社の最寄りから二十分程の、そこそこ有名な家賃の高いエリアだった。

 曲がりなりにも社長の御曹司だからか、今の俺の家賃の3倍はするだろうな、というタワマンだった。


「ただいまー」


ぱち、と電気を点けると、ほとんど物のない部屋が露わになった。


「うお、すげえ、ミニマリストってやつ?」

「ううん、最近色々ものが壊れちゃったりとかしてさ、新しく買わないといけないんだよね」


 そう言いつつ麗音はカバンを置き、スーツを脱ぐ。


「あっ、着替えるね」


 そう断りつつ麗音はそのままスラックスを脱ごうとした。


「ちょっ、麗音!頼むから洗面所とかで……」

「え?だって子供の頃は一緒に着替えてたじゃん」

「そうかもしれねえけど、社会人的にだな……」


 むー、と口を尖らせた麗音をなんとか脱衣所に押し込むと、俺は額を拭った。
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