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第二章 俺の幼馴染は御曹司でポンコツで

十一話

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「じゃあ、兎山先輩は俺の言ったところを入力していってください」


 昼食後、俺は麗音と共に見積書の作成に至った。


「おい、本当に大丈夫なのか?初めてだろ見積書とか、」

「大丈夫です!この様式は見たことあるのと似てるので!えーっと、この値は……、あっ、ここの用語だけ確認して良いですか?」


 麗音は人が変わったようにテキパキと動き出した。

 俺は麗音の指示された通りに入力していく。

 新入社員に教えられるなんて、と情けなくもなったが、時々麗音が発注数のミスをしたり、宛先の名前を間違えたりするのでポンコツ具合を感じて少しだけ威厳は保たれた。

 そして、日が傾き始めた頃。

 俺一人では終電までかかっても終えられないような見積書の束が、たった一時間で片付いた。

 これを俺が終わらせたのかと思うと、感慨深かった。


「……すげえ、すげえよ!ありがとう有栖川!」

「いいえ、先輩が頑張っただけですよ」


 麗音がニコリと微笑む。


「それより先輩、この見積書ってどこに出すんですか?」

「あっやべえ、部長に提出しねえと!」


 俺は書類の束を抱えて部長の元へと向かった。
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