もう一度大怪盗目指す舞月の怪盗ライフ

#I

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異世界を満喫しよう!

夜ご飯と晩酌

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お互い家が隣同士ということで一旦別れる。一緒に夕飯を食べる約束をした


白米しかない…何か持ってきてもらえるだろうか


とりあえずシャワーを浴びることにする


「あっ、服買ってないじゃん…これから夜ご飯なのに」


今日一日、漫画を読んで夜までゲームをして、思い立ったら直ぐ行動の意気で組事務所へ出撃し武器を盗ってきた。
異世界2日目にして怪盗行為ができたことについては重畳と言うべきだろう


しかし、1回目にして危うく死亡寸前、
この世界に来ていた相棒「エクス・ダスティ・フォード」によって窮地を逃れることができた


私は初見に弱く、後になるほどミスをしないタイプ
エクスは、初見に強いが後々ミスをすることが少し増えるタイプ
真逆だ


今までやってこれたのは知識と経験のおかげだろう


浴室に入りシャワーのハンドルを捻って頭から汗を流していく


「痛っっった!!!」


止血はしていたものの腕から弾丸を抜いていなかった。弾丸を抜く道具も止血しようにも包帯がないので、着ていた服で縛るほかない


指で弾丸を抜く。ズブズブと指が沈んでいき、肉感が生々しい


「…ッ………」


痛みのあまり出る声も掠れる。拳を握って、根性で引き抜く


「よく頑張りました、自分」


数分壁にもたれてぐったりした後風呂を出る


「あなたのお風呂中に一度家に上がらせてもらいました」


エクスが家に入ってきている。鍵の閉め忘れだ


「包帯ある?できれば着替えも欲しい」


「両方持ってきました。今止血します、動かないで」


エクスに手当てをしてもらう


「助かるよ」


「しかしこの家には何もないんですね。家具はおろか、調理器具すら碌に無いのに何故、モニター ゲーム機 炊飯器 布団はあるんですか?」


何も知らない他人から見ると、ふざけているようにしか思えない。「だいたい察しがついていた」と言われトドメを刺されるよりは、自分の口から説明した方がいい


「モニター ゲーム機 炊飯器を買った後に家に行ったら何もなかったんだよね。今日はマンガ読んだりしてて、服買いに行けなかったし」


言い訳する気もない言い方だ


「私の家には揃っていましたけど?」


「ハズレを引いたってこと?」


もしそうだとしても日用品や服、救急キットなどを揃えれば家具はさほど必要ではない


「クローゼットやチェストにあった服は、全て値札がついていましたね。家具も新品なようですし」


前に入居者がいたわけではなさそうだ。となると新しく用意された部屋ということになる


「ご飯食べよなんか家にあった?白米しかない…」


食べ物が白米だけという怪盗。その生活実態はシュールである


「作り置きされていました。お酒もありますよ」


「ご飯の準備しとくから持ってきてー」


手当てと着替えが終わる


エクスにご飯のおかずとお酒を頼んだ。そのうちに 白米の準備


「あ……そうだったね」


エクスがお酒とおかずを持ってきた


「エスク…ごめん…。皿とテーブルないからご飯は床で、白米は釜のまま食べて」


この怪盗はつくづくどうしようもない。取りに帰るのも面倒ということで、このまま夕食へ


「どうやってここまで来た?」


「あなたがゲームしたり漫画読んでる時に、2回目のバトルがあったんです。そして勝って、ゲートを通ってここにいます。この世界に来て初めて立っていた場所は路地裏ですね」


「所持品とこの世界での名前
は?」


次々と尋問のような質問がされていく


「先にそっちが名乗ってくださいよ。質問は一つずつお願いします」


お前が先に名乗れ、というのはどこの世界でも同じみたいだ


「舞月 兎影」


「私の名前は、名波戸 果子
    ナバト カコと言います」


割とよく聞くありふれた名前。この世界に上手く溶け込んでいる


「所持品は身分証明書とスマホだけです。お金は一銭もない」


家具なしの次はお金なし。この先の活動は少し難航しそうだ


「揃ってるのにお金ないんだ、可哀想だね。これだから怪盗は」


「自虐して楽しいですか?喧嘩なら買いますけど?」


雑談でも全く内容が入ってこない。ただの煽り合いと化している


「ご飯美味しいね、お酒もジュース感覚でいけちゃう」


「本当ですね、床で食べるというのもありますが」


確かに床で食べるのは非日常が楽しめるかもしれない


あちらの世界で20歳はとうの昔に越えている。16歳というのはこの世界の設定で身体的には問題ない


「話を戻します。私が路地裏から出たら大きなベルが鳴りました。このことについて何かわかりますか?」


「私の時は宝石店に強盗が入ったよ。その時カバンから宝石がこぼれたから、つい手が出てしまった…」


「悪目立ちしてどうするんですか、怪盗なんですけど」


「エクスも宝石を見たらわかる、本能には抗えない」


わかったことはエクスが路地裏から出た時にベルが鳴ったこと


「聞いた話、火災報知器の誤作動みたいです」


あちらの世界からこの世界へ来る時にはベルが鳴る。


あの4件の騒動のうち1件がエクスということが判明。騒動は4件、つまり後3人この世界に来ているということになる


「後の3件も気になりますが、今後の活動目的を決めましょう」


「もちろん怪盗は続ける、ないなら作るまで。目的は「自分という完全には理解されない芸術をこの世界に叩きつける」こと。より大勢の目と心を魅了して奪う、そして大怪盗にもう一度成る」


確かにこの世界なら多くの人が面白いものを求めてやってくるだろう


「それでこそ師匠です、私もお供しましょう」


「呼び方統一してくれない?どの呼び方でも間違ってはないけどさ」


当然ながら過去に色々あったもので度々、ご主人様や師匠と呼ばれている


「もうダメ、思考が働かない。酔った」


「一緒に寝ましょうか」


「自分の家で一人で寝てくれよ、キミがいると何されるかわからない」


酔っているのをいいことに無理矢理にでも一緒に寝ようとしている。実際押し倒されても何も言えない


「明日は買い物しに行こう!怪盗はその後でやればいいよ!」


人間なのでいつも同じ気持ちであり続けることは容易ではない。思い立ったら直ぐ行動が大切な理由の一つでもある


「枕は私が使います。あなたは私の胸で眠っていてください」


普段は隙を見せない怪盗があられもない姿を晒している。
エクスめ、胸が少し大きいからって…


「電気消しますね、おやすみなさい」


「もうなんでもいい」


そして私の意識は柔らかい胸の中へと落ちていった

















































































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