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Ⅱ-ⅱ.あなたを想う
2-22.育てた愛を楽しむ
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夜闇が世界を支配する頃。
天蓋をおろしたベッドで、僕はジル様と密やかな攻防をしていた。
「――駄目ですよ、ジル様。明日のパーティー、万全の体調で参加したいんですから」
「手加減はする」
「んっ」
首筋に口づけられて、抑えきれない声が漏れる。その甘く蕩けた響きに、内心で『あーあ……』と嘆いた。
ジル様に愛されていることを実感できる行為を、どうしても本気で拒めない。
アルファとオメガには元々体力の差があり、僕たちは特にその差が大きいとわかってるのに。
「そうおっしゃって、本当に手加減してくださったことありますか?」
ジル様を止めることを半分諦めながらも、せめて明日きちんと動けることを願って、少し苦情を言ってみた。
僕の顔を覗き込んだジル様が、片眉を上げつつ口元に笑みを浮かべる。
「手加減していなければ、フランは翌日の朝どころかその次の日まで、ベッドを安寧の場所にすることになっていただろうな」
「……え、余計に、手加減を信じられなくなったんですけど」
ジル様の肩を軽く押し、本気で抗議する。
というか、ジル様のこれは冗談ではなく、本当? それほどまでに体力の差があるの?
そっと手を背中にすべらせて、鍛えられた体を感じ取る。
……ジル様って、服を着てると痩せてるように見えるけど、たぶん騎士の方々並みに鍛えてて体格がいい気がする。
これがアルファの特典なのかな。正直羨ましい。
「今夜は、ちゃんと午前中で起きられるようにする」
「……今夜は」
いつもは『手加減する』と言いつつ、昼までベッドの住人にさせるつもりだったってこと?
というか、午前中であっても、朝と言える時間ではないってことかぁ……。
ジトッと見つめると、キスで誤魔化された。
それで絆されてしまいそうになるんだから、何度も思うことだけど、僕ってジル様を好きすぎる。
「ぅん……ん……」
深くキスをしながら、苦しくなる前に呼吸できるようになったのは最近のこと。少しの成長だけど、ジル様の愛を受け取るためには必須だった。
口内を暴れる舌に舌を絡め、吸い付く。
ジル様がピクッと体を震わせるのを感じて、思わずふふっと微笑んだ。それさえもキスに飲み込まれたけど。
「フラン、余裕があるようだな?」
「っ、は、ぁ……そう、見えます、か?」
ちゅ、と唇が離れ、伏せていた目蓋を上げると、熱がこもった眼差しと目が合った。
「あぁ、最初の頃とは違う」
「お嫌ですか?」
「まさか。俺との交わりに慣れた証だろう? 俺好みに育っているようで嬉しい」
慣れた、のだろうか? そう自信を持てるほどではないんだけど。
微笑むジル様を見つめ、曖昧に微笑む。なにはともあれ、ジル様が喜んでくれているなら僕も嬉しい。
纏っていた服を剥ぎ取られ、ジル様から移された熱で赤らむ体に、這うように唇が触れる。
その度に甘い刺激が走り、さらに熱を上げてしまうのだ。
「ん、ぁ、ふ……っ」
慣れた手つきで後孔をほぐされ、緩んだそこに火傷しそうなほど熱い塊が入ってくるのを、震える体で受け止めた。
「っ……フラン、俺を見ろ」
「ぁ、ジル様っ」
背中に回した手に力を込めて、ぎゅっと抱きつく。するとそれ以上の力で抱かれ、最奥を力強く突かれた。
「――ああっ!?」
「ふ、まだ、ここが下りないな」
「んぁ、っ?」
おりない、ってなんだろう?
ぱちぱちと瞬いた。それを見て、ジル様が目を笑みで歪ませて、僕の唇に口づけを落とした後、耳元で囁く。
「……子どものできるところ。オメガは発情期になると、子種を求めて、体の構造が変わる。学んだだろう?」
ここだ、と教えるように、また最奥を突かれた。
「ああっ!? 赤ちゃん、の、とこ?」
「っ……ああ、そうだ」
蕩けるような声だった。
優しく下腹部を撫でられて、軽く押されると、きゅっと中が締まったのを自分でも感じ取った。
「ひぁっ、だめ、おさないでぇっ」
「くっ……」
大きくて、硬くて、どれだけ力を込めても跳ね返して居座る。それどころか、今まで以上にグイグイと、襞をかき分け、僕の感じるところばかり刺激してくる。
もうなにも考えられない。ただひたすらにジル様のことが好きでたまらなかった。
「ジルさま、すき……っ」
「俺も、愛してる」
目を合わせ、額をこすりつけ、微笑む。
汗の滲んだ顔も、愛情が溢れ火傷しそうなほどの熱を感じる眼差しも、あなたのすべてが愛おしい。
「んあ、ああっ……!」
迸る快感で白む視界にジル様を探して、ぎゅっと抱きついた。
天蓋をおろしたベッドで、僕はジル様と密やかな攻防をしていた。
「――駄目ですよ、ジル様。明日のパーティー、万全の体調で参加したいんですから」
「手加減はする」
「んっ」
首筋に口づけられて、抑えきれない声が漏れる。その甘く蕩けた響きに、内心で『あーあ……』と嘆いた。
ジル様に愛されていることを実感できる行為を、どうしても本気で拒めない。
アルファとオメガには元々体力の差があり、僕たちは特にその差が大きいとわかってるのに。
「そうおっしゃって、本当に手加減してくださったことありますか?」
ジル様を止めることを半分諦めながらも、せめて明日きちんと動けることを願って、少し苦情を言ってみた。
僕の顔を覗き込んだジル様が、片眉を上げつつ口元に笑みを浮かべる。
「手加減していなければ、フランは翌日の朝どころかその次の日まで、ベッドを安寧の場所にすることになっていただろうな」
「……え、余計に、手加減を信じられなくなったんですけど」
ジル様の肩を軽く押し、本気で抗議する。
というか、ジル様のこれは冗談ではなく、本当? それほどまでに体力の差があるの?
そっと手を背中にすべらせて、鍛えられた体を感じ取る。
……ジル様って、服を着てると痩せてるように見えるけど、たぶん騎士の方々並みに鍛えてて体格がいい気がする。
これがアルファの特典なのかな。正直羨ましい。
「今夜は、ちゃんと午前中で起きられるようにする」
「……今夜は」
いつもは『手加減する』と言いつつ、昼までベッドの住人にさせるつもりだったってこと?
というか、午前中であっても、朝と言える時間ではないってことかぁ……。
ジトッと見つめると、キスで誤魔化された。
それで絆されてしまいそうになるんだから、何度も思うことだけど、僕ってジル様を好きすぎる。
「ぅん……ん……」
深くキスをしながら、苦しくなる前に呼吸できるようになったのは最近のこと。少しの成長だけど、ジル様の愛を受け取るためには必須だった。
口内を暴れる舌に舌を絡め、吸い付く。
ジル様がピクッと体を震わせるのを感じて、思わずふふっと微笑んだ。それさえもキスに飲み込まれたけど。
「フラン、余裕があるようだな?」
「っ、は、ぁ……そう、見えます、か?」
ちゅ、と唇が離れ、伏せていた目蓋を上げると、熱がこもった眼差しと目が合った。
「あぁ、最初の頃とは違う」
「お嫌ですか?」
「まさか。俺との交わりに慣れた証だろう? 俺好みに育っているようで嬉しい」
慣れた、のだろうか? そう自信を持てるほどではないんだけど。
微笑むジル様を見つめ、曖昧に微笑む。なにはともあれ、ジル様が喜んでくれているなら僕も嬉しい。
纏っていた服を剥ぎ取られ、ジル様から移された熱で赤らむ体に、這うように唇が触れる。
その度に甘い刺激が走り、さらに熱を上げてしまうのだ。
「ん、ぁ、ふ……っ」
慣れた手つきで後孔をほぐされ、緩んだそこに火傷しそうなほど熱い塊が入ってくるのを、震える体で受け止めた。
「っ……フラン、俺を見ろ」
「ぁ、ジル様っ」
背中に回した手に力を込めて、ぎゅっと抱きつく。するとそれ以上の力で抱かれ、最奥を力強く突かれた。
「――ああっ!?」
「ふ、まだ、ここが下りないな」
「んぁ、っ?」
おりない、ってなんだろう?
ぱちぱちと瞬いた。それを見て、ジル様が目を笑みで歪ませて、僕の唇に口づけを落とした後、耳元で囁く。
「……子どものできるところ。オメガは発情期になると、子種を求めて、体の構造が変わる。学んだだろう?」
ここだ、と教えるように、また最奥を突かれた。
「ああっ!? 赤ちゃん、の、とこ?」
「っ……ああ、そうだ」
蕩けるような声だった。
優しく下腹部を撫でられて、軽く押されると、きゅっと中が締まったのを自分でも感じ取った。
「ひぁっ、だめ、おさないでぇっ」
「くっ……」
大きくて、硬くて、どれだけ力を込めても跳ね返して居座る。それどころか、今まで以上にグイグイと、襞をかき分け、僕の感じるところばかり刺激してくる。
もうなにも考えられない。ただひたすらにジル様のことが好きでたまらなかった。
「ジルさま、すき……っ」
「俺も、愛してる」
目を合わせ、額をこすりつけ、微笑む。
汗の滲んだ顔も、愛情が溢れ火傷しそうなほどの熱を感じる眼差しも、あなたのすべてが愛おしい。
「んあ、ああっ……!」
迸る快感で白む視界にジル様を探して、ぎゅっと抱きついた。
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