191 / 224
続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-21.久しぶりの熱(★)
しおりを挟む
覆いかぶさってくるアークを迎え、その背に腕を回す。温かな重みが心地よく、思わずうっとりと目を細めた。
「アーク、キスして」
「ふ……ようやく番の感覚を思い出したか?」
「そもそも忘れてないよ」
顔をのぞき込まれて、鼻を擦り付け合う。
間近で瞬く瞳に滾る熱も、花のような甘やかな香りも、アークの全てがスノウの熱をあげさせるものだ。番を欲しがる本能を忘れたことなんて一度もない。
ただ、子どもへ意識が向いていると、なかなか番にまで気が回らなかっただけ。
「そうとは思えないくらい放って置かれたがな」
「……拗ねてるの?」
「そうかもしれない」
密やかな囁きには笑みが滲んでいた。言葉遊びのようなものだ。
スノウも思わずふふっと笑う。
アークの言葉は嘘ではないのだと分かっていた。
子どもに嫉妬して、スノウを独占したいと思う心を、アークが必死に抑え込んでいたことを理解している。そんな優しい番のことが、スノウは大好きなのだ。
「ん……じゃあ、今夜は、たくさんする?」
軽く触れ合うキスの合間に、悪戯な笑みを浮かべて提案すると、アークから伝わる熱が如実に温度を上げたのが分かった。
狙ってしたことだけれど、アークは意外と単純だ。
「する」
「ん、ふふ……」
「笑うな」
「んぅ!」
唇に噛みつかれるようにキスされた。はむはむと食まれて、熱い舌が這う感覚に、背中が甘く痺れるような刺激が走る。
こうしてじっくりと味わうのは久しぶりだからか、随分と感じやすくなっている気がした。
「——アーク、もっと……」
「スノウの望みのままに」
とろりと蕩けた眼差しでねだると、アークが嬉しそうに微笑む。
歯列を割る熱い舌を受け入れて、スノウも舌を絡めた。粘膜が擦り合う感覚が気持ちよくて、どんどん熱が高まるのを感じる。
そんなスノウの変化を反映して、香りも強く放たれていった。
キスの合間に、アークがその香りを取り込むように深呼吸して、陶然とした眼差しになる。
スノウがアークの香りを好きで堪らないのと同じで、アークもスノウの香りを愛しているのだ。この香りが運命の番の証でもあるのだから。
「いい香りだ」
「うん、アークのも」
ちゅ、とアークの唇にキスを贈る。すぐさま食いつかれて、また口内をかき乱された。まじわる唾液すら甘く感じるほどに、周囲に香りが満ちている。
「ん、ぅ……ぁん」
「ミルクが出なかったのは残念だな?」
いつの間にかはだけられていた胸元に、アークの手が這っていた。ちょこんと主張している尖りを硬い指先で嬲られて、スノウは身動ぎしながら喘ぐ。
「今、子どもたちのこと思い出させるの、ダメ」
「そうか。とられるのは俺も嫌だな」
詰るように見つめたら、頷かれた。
そういう意味で言ったわけではなかったのだけれど、アークが納得したのならそれでもいいか。
「んっ! や、そこばっかり……!」
胸の尖りを柔く噛まれて、思わず背中が仰け反る。反対の胸も指先で弄られて、甘く痺れるような刺激がお腹に溜まっていくような心地がした。
気持ちいい。でも、なんだか物足りなくもある。まだキスもしたりない。
そんなスノウの思いが声に滲んだのか、アークが微かに笑うような気配があった。
「みっ! かじらないで、っ」
「気持ちいいだろう?」
「ん、んぅ……キスも、ほしい……」
焦らすような態度のアークに、我慢できなくなったのはスノウだ。
両手でアークの頬を包み、キスをねだる。
「分かった」
「ん……ぁ……ふ、ぅ」
再び熱い息がまじり合った。
大好きな夕陽色の瞳を見つめながら、互いを食べ合うようなキスを交わすのは、幸せが身体の中に満ち溢れるような心地がする。
スノウより冷たい手が身体を這い、胸やお腹を撫でるのを感じる。その気持ちよさに、勝手に身体がビクビクと震えた。
下肢を覆う服を取り払われて、後孔を撫でられる。
「……随分と濡れている。スノウも待ち遠しかったんだな」
くちゅ、と淫らな音がするのを聞いて、スノウは頬を熱くした。
アークを求めているのは分かっていたけれど、ここまで分かりやすい反応に気付かされるのは恥ずかしさもある。
「アーク、いじめないで」
今夜は随分とおしゃべりな番の口を封じるため、スノウは再びアークの顔を引き寄せて、キスをねだった。
「アーク、キスして」
「ふ……ようやく番の感覚を思い出したか?」
「そもそも忘れてないよ」
顔をのぞき込まれて、鼻を擦り付け合う。
間近で瞬く瞳に滾る熱も、花のような甘やかな香りも、アークの全てがスノウの熱をあげさせるものだ。番を欲しがる本能を忘れたことなんて一度もない。
ただ、子どもへ意識が向いていると、なかなか番にまで気が回らなかっただけ。
「そうとは思えないくらい放って置かれたがな」
「……拗ねてるの?」
「そうかもしれない」
密やかな囁きには笑みが滲んでいた。言葉遊びのようなものだ。
スノウも思わずふふっと笑う。
アークの言葉は嘘ではないのだと分かっていた。
子どもに嫉妬して、スノウを独占したいと思う心を、アークが必死に抑え込んでいたことを理解している。そんな優しい番のことが、スノウは大好きなのだ。
「ん……じゃあ、今夜は、たくさんする?」
軽く触れ合うキスの合間に、悪戯な笑みを浮かべて提案すると、アークから伝わる熱が如実に温度を上げたのが分かった。
狙ってしたことだけれど、アークは意外と単純だ。
「する」
「ん、ふふ……」
「笑うな」
「んぅ!」
唇に噛みつかれるようにキスされた。はむはむと食まれて、熱い舌が這う感覚に、背中が甘く痺れるような刺激が走る。
こうしてじっくりと味わうのは久しぶりだからか、随分と感じやすくなっている気がした。
「——アーク、もっと……」
「スノウの望みのままに」
とろりと蕩けた眼差しでねだると、アークが嬉しそうに微笑む。
歯列を割る熱い舌を受け入れて、スノウも舌を絡めた。粘膜が擦り合う感覚が気持ちよくて、どんどん熱が高まるのを感じる。
そんなスノウの変化を反映して、香りも強く放たれていった。
キスの合間に、アークがその香りを取り込むように深呼吸して、陶然とした眼差しになる。
スノウがアークの香りを好きで堪らないのと同じで、アークもスノウの香りを愛しているのだ。この香りが運命の番の証でもあるのだから。
「いい香りだ」
「うん、アークのも」
ちゅ、とアークの唇にキスを贈る。すぐさま食いつかれて、また口内をかき乱された。まじわる唾液すら甘く感じるほどに、周囲に香りが満ちている。
「ん、ぅ……ぁん」
「ミルクが出なかったのは残念だな?」
いつの間にかはだけられていた胸元に、アークの手が這っていた。ちょこんと主張している尖りを硬い指先で嬲られて、スノウは身動ぎしながら喘ぐ。
「今、子どもたちのこと思い出させるの、ダメ」
「そうか。とられるのは俺も嫌だな」
詰るように見つめたら、頷かれた。
そういう意味で言ったわけではなかったのだけれど、アークが納得したのならそれでもいいか。
「んっ! や、そこばっかり……!」
胸の尖りを柔く噛まれて、思わず背中が仰け反る。反対の胸も指先で弄られて、甘く痺れるような刺激がお腹に溜まっていくような心地がした。
気持ちいい。でも、なんだか物足りなくもある。まだキスもしたりない。
そんなスノウの思いが声に滲んだのか、アークが微かに笑うような気配があった。
「みっ! かじらないで、っ」
「気持ちいいだろう?」
「ん、んぅ……キスも、ほしい……」
焦らすような態度のアークに、我慢できなくなったのはスノウだ。
両手でアークの頬を包み、キスをねだる。
「分かった」
「ん……ぁ……ふ、ぅ」
再び熱い息がまじり合った。
大好きな夕陽色の瞳を見つめながら、互いを食べ合うようなキスを交わすのは、幸せが身体の中に満ち溢れるような心地がする。
スノウより冷たい手が身体を這い、胸やお腹を撫でるのを感じる。その気持ちよさに、勝手に身体がビクビクと震えた。
下肢を覆う服を取り払われて、後孔を撫でられる。
「……随分と濡れている。スノウも待ち遠しかったんだな」
くちゅ、と淫らな音がするのを聞いて、スノウは頬を熱くした。
アークを求めているのは分かっていたけれど、ここまで分かりやすい反応に気付かされるのは恥ずかしさもある。
「アーク、いじめないで」
今夜は随分とおしゃべりな番の口を封じるため、スノウは再びアークの顔を引き寄せて、キスをねだった。
105
お気に入りに追加
3,342
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しい少年ジゼの、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です(笑)
本編完結しました!
『伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします』のノィユとヴィル
『悪役令息の従者に転職しました』の透夜とロロァとよい子の隠密団の皆が遊びに来る、舞踏会編はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
舞踏会編からお読みいただけるよう、本編のあらすじをご用意しました!
おまけのお話の下、舞踏会編のうえに、登場人物一覧と一緒にあります。
ジゼの父ゲォルグ×家令長セバのお話を連載中です。もしよかったらどうぞです!
第12回BL大賞10位で奨励賞をいただきました。選んでくださった編集部の方、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです。
心から、ありがとうございます!
事故つがいの夫が俺を離さない!
カミヤルイ
BL
事故から始まったつがいの二人がすれ違いを経て、両思いのつがい夫夫になるまでのオメガバースラブストーリー。
*オメガバース自己設定あり
【あらすじ】
華やかな恋に憧れるオメガのエルフィーは、アカデミーのアイドルアルファとつがいになりたいと、卒業パーティーの夜に彼を呼び出し告白を決行する。だがなぜかやって来たのはアルファの幼馴染のクラウス。クラウスは堅物の唐変木でなぜかエルフィーを嫌っている上、双子の弟の想い人だ。
エルフィーは好きな人が来ないショックでお守りとして持っていたヒート誘発剤を誤発させ、ヒートを起こしてしまう。
そして目覚めると、明らかに事後であり、うなじには番成立の咬み痕が!
ダブルショックのエルフィーと怒り心頭の弟。エルフィーは治癒魔法で番解消薬を作ると誓うが、すぐにクラウスがやってきて求婚され、半ば強制的に婚約生活が始まって────
【登場人物】
受け:エルフィー・セルドラン(20)幼馴染のアルファと事故つがいになってしまった治癒魔力持ちのオメガ。王立アカデミーを卒業したばかりで、家業の医薬品ラボで仕事をしている
攻め:クラウス・モンテカルスト(20)エルフィーと事故つがいになったアルファ。公爵家の跡継ぎで王都騎士団の精鋭騎士。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。