雪豹くんは魔王さまに溺愛される

asagi

文字の大きさ
上 下
137 / 224
続々.雪豹くんと新しい家族

3-24.愛を確かめる(★)

しおりを挟む
 頭はふわふわと熱に浮かされて、何も考えられない。
 ただひたすらに、愛しい番を求めて手を伸ばす。ガツガツと突かれて貪られることすら嬉しくてたまらないけれど、時には優しい温もりもほしい。

「ふ、あ、ぁ、んっ……アーク、っ」
「っ……どうした、スノウ?」

 アークの低く掠れた声が、甘やかな愛情を滲ませてスノウの名を呼ぶ。
 スノウはアークの声で名を呼ばれるのが好きだ。
 幼い頃に、アークに見つけ出してもらった大切な名前。呼ばれる度に、その時の嬉しさを思い出す。

「ふ、ふふ、っ」
「……随分、余裕だな?」
「ぁあっ!?」

 少しばかり機嫌を損ねたような声の後、入口辺りを掻き混ぜていた剛直が奥を突いてくる。
 トロトロに蕩けた中から痛みが伝わってくることはなく、溢れんばかりの快感が押し寄せスノウを追い詰めた。

「にぃ、あぅ……そんなに、突かれたら、出ていっちゃう、っ」
「またたっぷりと注ぐから問題ない」

 注がれたものが出ていくと淋しくなる。
 それを分かってくれないアークに、スノウはむぅと頬を膨らませた。抗議の意を込めて、背中を軽く引っ掻く。
 アークが喉の奥で笑いながら、中をぐちゅぐちゅと掻き混ぜた。

「んっ、ぁ、ぅ、にぃっ」
「それに、まだたくさん残っているぞ」

 アークに片手を掴まれて、お腹のあたりに押し付けられた。ふっくらと膨れた感触に、スノウは目を丸くする。ぼやけていた視界が少しクリアになった気がした。

「……もう、卵、できた?」
「まだだな。俺が注いだものが残っているだけ」

 どれほどの時間、アークとまぐわっていたのか、スノウはもう分からない。
 でも、アークに与えられた愛情は、たっぷりとこの身に残っているのだと実感できた。

「……そっか。うん、それでも、嬉しい」

 ぱちりと瞬き、微笑む。久しぶりにアークの顔をはっきりと見られた気がした。
 アークは目を丸くしてから、ふっと微笑み返してくれる。

 身体が緩やかに揺すられて、スノウは「ぁん……」と声を零した。小休憩は終わりらしい。
 頬や身体に指先が這う。アークはスノウの快感を煽る天才だ。
 優しく労るような愛撫が心地よくて、スノウはうっとりと目を伏せて感じ入った。

「もっと欲しいだろう?」
「……うん、ほしい。でも、今は、ゆっくりが好き」
「それは残念だ」

 言葉とは裏腹に、穏やかな愛撫が続く。アークも楽しそうだ。
 指先まで甘やかな愛に浸されて痺れているような気がする。スノウは胸元に吸い付くアークの頭を撫でて、ふふっと微笑んだ。

「ぁんっ」

 不意に乳首を噛まれて、思わず声が跳ねる。
 なにごと? と目を開くと、アークに軽く睨まれた。目が悪戯っ子のように輝いている。なんか可愛い。

「……笑うな」
「っ、ふふっ……アーク、大好き、可愛い」
「俺が、可愛い?」

 アークが嫌そうに眉を寄せる。その眉間のしわを指先で辿り、スノウはぽかぽかと温まる胸の内をさらけ出すように、にこにこと微笑んだ。
 アークは可愛くて、かっこよくて、スノウの自慢の愛しい番。

「大好き、って、こと、んっ」

 ぐちゅっ、と奥を突かれて、一瞬目の前が真っ白になった。中がきゅうきゅうとアークを締め付ける。
 高まる熱を持て余して、スノウはアークの首に腕を回して引き寄せた。
 淫蕩な色を滲ませる夕陽のような瞳を覗き込み、ちゅぅ、と唇に吸い付く。すぐに噛みつくような口づけが返ってきて、くぐもった喘ぎ声が漏れた。

「んぅ、ふ、ぁ……っ」
「愛してる。スノウは俺の唯一の運命だ」
「ふふっ、ぁ、ん、っ、アーク、僕も」

 溺れるように口づけを交わしながら、自然と笑みがこぼれる。
 アークの腕に抱かれている瞬間、スノウは世界で一番の幸せ者になれるのだ。スノウの世界はアークで満たされて、これ以上の幸せはきっとこの世に存在しない。

「スノウ、もっとたくさん受け止めてくれ」
「――ああっ! ぅん、ん、ぁ、たくさん、ちょうだい、っ」

 ガツンッと最奥を穿つ熱に、頭が蕩ける。
 考える力はなく、ただひたすらに愛しい番の熱を求めた。

しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。