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続々.雪豹くんと新しい家族

3-15.我を忘れる(★)

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「――やっぱり無理だ」
「え……んぅ、ぁっ!」

 優しい微笑みと裏腹の強い眼差しを注がれて、スノウは一瞬言葉を受け取り損ねた。
 きょとんとしている隙を狙ったように、唇に噛みつかれる。それと同時に腰が揺すられて、快感に喘いだ。

「あと、一回だけ」
「も、む、りぃっ」

 うるうると滲む目でアークを見つめて訴える。震える声は唇に飲み込まれ、次第に甘い喘ぎ声に変わった。
 ぐずぐずに蕩けてしまった中を、熱く硬いものが激しく突いてくる。
 アークにしがみつく力さえ失われて、スノウはみゃ、と鳴きながら涙を零した。

「一回だけだから」

 いいだろう? とねだるように囁かれる。
 アークに甘えられたら、叶えてあげたくなるけれど、一回が一回で終わる気がしない。そもそも、その一回すら既にきついのだ。

「スノウ、愛してる。もっと、味わいたい。なぁ、俺に食べさせてくれ、愛しい番――」

 降り注ぐ愛の言葉。どこまでもスノウを求めて縋りつく、憐れささえ感じそうな声音。
 アークはもう、番欠乏症の改善のための行為であることを忘れてしまっているに違いない。

 スノウは自分の体力の限界を感じながらも『仕方ないなぁ……』と心にため息を零した。

 番を愛しているのはスノウも同じ。
 普段はたくさん甘やかしてくれるアークを、スノウも甘やかしてあげたい。

(明日の、お仕事、無理かも……)

 小さく苦笑して、ふ、と息をつく。
 結局こうなるのか、と思った。でも、そんな自分が嫌いじゃない。スノウの一番はアークで、それは自身の望みより優先されるのだ。

(あ、でも、タダで許すのは、もったいない気がする)

 快感に流されて、移ろいゆく思考をなんとかまとめ、スノウはにこ、と微笑んだ。
 それに気づいたアークの動きが止まる。

「アーク、っ」
「……なんだ?」

 用心深くスノウの様子を探るアークに、思わずふふと笑みがこぼれた。
 誰よりも強くてカッコいいアークが、ちっぽけなスノウに右往左往する姿が可愛くて楽しい。

「あのね、次の発情期、赤ちゃんくれるなら、いいよ」
「っ……スノウ、それを今言うか……」
「ふふ……言質を、とるのは、大切なの……」

 荒い息の合間に囁きかける。
 アークはちょっぴり呆れているみたいだ。でも、スノウが望んでいることはアークもよく分かっていて、もう受け入れると決めているはずなのだから、アークが悩む余地はないだろう。
 それだけでこの後の行為を認めるのだから、むしろ喜んでほしい。

「アーク、ね、赤ちゃん……」
「……授かりものだから、絶対とは言えない」
「ん、僕も、それは分かってる」
「……はぁ……まったく、スノウは変なところで強情だ」
「ぁ、んっ……」

 再び腰が揺すられる。
 今度はスノウの方から求めるように、アークに抱きついた。
 口づけの合間に「分かった、約束する」と囁かれて、ぱぁっと笑みを浮かべる。

「ふ、ふふ……楽しみ……っ、んぁ、あ」
「そう言うからには、発情期も覚悟するんだぞ」
「ん? ぅ、みゃ……っ」

 首を傾げる。
 潤み滲んだ視界で、アークがニヤリと口元を歪めるのが見えた。
 その男らしい色気に満ちた淫蕩な笑みに、身体がゾクリと震える。スノウの全てがアークに奪われてしまうような、少し危機感を覚える笑みだった。

(僕は、もう、全部、アークのものなのに)

 怯える必要なんてないはずだと思い直して、スノウは微笑み返す。

「ん、覚悟、する……」
「本当に分かっているのか? ここに孕ませるために、ずっと注ぐんだぞ?」

 お腹を撫でられて、アークの剛直を飲み込んでいるところがきゅん、と蠢いた。
 奥が熱く蕩けて、そこを容赦なく突かれるのが気持ちいい。アークのもので満たされるのは、狂おしいほどの快感だ。

「んぁ……いっぱい、ちょうだい。僕、っ、アークの赤ちゃん、孕むの……ぁあっ!?」

 ガツッと貫かれる。
 視界が真っ白になって、身体がガクガクと震えた。既に吐き出すものもなく、長引く快感はもはや苦痛なほど。
 でも、アークの動きは止まらなくて、悲鳴のような声が溢れる。

「やぁあっ……も、だ、めぇ……っ!」
「……好きなだけ、孕め、っ」
「ひ、ぅっ……!」

 スノウの抵抗なんて、アークを止めるにはあまりにもちっぽけで。
 全身を揺さぶられ、意識を失いかけた頃に、最奥に熱い飛沫を感じた。ダクダクと中を満たし溢れる。

(アーク、なんで、こんなに元気なんだろう……?)

 薄れゆく意識の中で、スノウはこれまでに何度も抱いた疑問を呟いた。

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