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三章.雪豹の青年

86.雪豹の青年と魔王のわがまま(★)

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 身体が揺さぶられている。包み込む香りは、スノウが心から愛する人のもので、思わず頬が緩んだ。

「ん……ぁ、あ……もっと……」
「ゆっくりがいいんじゃなかったのか?」

 笑みを含んだ声。少しだけ意地悪な口調でアークが何か言っている。スノウはぼんやりと目を開けて、アークを見つめた。
 スノウはアークの腰に跨がり、抱えられていたようだ。

 不意に下から強く突き上げられ、シャボン玉が弾けるように、スノウの意識が微睡みから覚める。

「んあっ!? ああっ、や、あ、なにっ!?」
「ん?」

 ぐちゅぐちゅと音がする。アークを飲み込んだところに力が入って、ぎゅっと締めつけた。アークの硬く大きなものの形を実感してしまい、スノウは更に惑乱する。

「――ああ……香りが薄くなってきたな。もう発情期は終わりか。大体五日……初めてにしては短かったか?」
「んんっ……はつじょうき……っ?」

 スノウの首筋に鼻を寄せ、残念そうに呟かれたアークの言葉を必死に聞き取る。
 その間もアークが身体を下から揺さぶるのを止めてくれないから、スノウは込み上げてくる熱に身体を震わせた。
 全身が筋肉痛のように重くてつらい。

「そうだ。運命の番に出会ったら、一方は定期的に発情期が起こるんだ。それでなくとも、獣人は発情期がある者も多いが。聞いたことがないか?」
「んぁ……ふ、ある……かもっ?」

 里で聞いたような気がする。発情期は子どもができやすい時期だったはずだ。

「――あれ……じゃあ、っ、赤ちゃん、できる……?」

 思わず自分のお腹に触れた。アークを飲み込んだそこはふっくらと膨らんでいるように思える。

(もしかして、もう……?)

 思わず期待で目を輝かせた。疲れた身体に僅かに活力が戻る。

「っ、ふはっ……妊娠してたとしても、さすがにまだ分からないぞ。膨らんでるのはこれのせいだ」

 笑ったアークが、スノウの身体をベッドに押し倒す。膝裏を押し上げられ、後孔からずるりと大きなものが抜けていった。

「ああっ! ん、ふ、ぅん……ぁ?」

 思わずのけ反り、嬌声を上げたと同時に、トロトロと何かが溢れ出す感覚に目を見張る。後孔から白濁が滴っていた。

「――やぁ、でちゃ……!」
「そうだな。もう一回注ぐか」

 再び屹立を挿入され、スノウは身を捩る。お腹が空になるのは寂しいけれど、これ以上突かれるのもつらい。
 でも、逃げられるほどの体力は残っていなくて、されるがままに揺さぶられることになった。

「ぁああっ……も、だめっ……!」
「あと一回だけ、な……」

 スノウの唇に吸いついたアークが、熱い息を吐く。うっとりと目を細め、ゆっくりと腰を動かす仕草がひどく淫らに思えて、スノウはぎゅっと目を瞑った。

 発情期の間の記憶は途切れがちだけれど、たくさん突かれて、揺さぶられ、愛されていたのは覚えている。
 自分が「もっともっと!」とねだった記憶までよみがえってきて、これ以上なく顔が熱くなった。

「――スノウはここが好きだろう?」
「やぁあっ!」

 最奥を突かれ、ガクガクと身体が震えた。閉じていたはずのそこは、ほしがるようにアークの先端に吸いついている。
 無意識の動きが恥ずかしくて、スノウは泣きたくなった。

「ちゃんと覚えたな。偉いぞ。これからたくさんしような」
「も、やだぁ……」

 こんなことをこれから繰り返すのかと思ったら、思わず泣き言が漏れる。本心で嫌なわけではないけれど、恥ずかしくてたまらない。

「ふっ、やだじゃないだろう?」
「ああっ!」

 咎めるように力強く腰を打ち付けられる。ガツガツと突かれて、スノウは再び身体を震わせた。意識が遠退いていく。

(――もう……疲れた……)

 力を失いベッドに横たわるスノウを、アークが心配そうに撫でる。

「大丈夫か?」
「……っ、……つかれた……ぁ」
「んー……俺がイクまで、もうちょっと我慢してくれ」
「みっ!? ぁあっ」

 アークの動きが再開して、スノウはポロポロと涙を溢して、頭を振った。もう休ませてほしい。

「……クッ……は……っ」
「ふぁ、あ……」

 しばらくして、熱い飛沫が内部にかかる。その刺激にさえ感じて身悶えながら、これで終わると分かって、スノウはホッと息をついた。
 ゆっくりと抜ける感覚に込み上げる熱を必死にこらえ、身体の力を抜く。もうベッドから起き上がれない気がするくらい身体が重かった。

「スノウ……愛してる」
「……僕も……」

 掠れた夢現の声でアークに返す。何度もチュッチュッとキスをされて、スノウもキスを返したいけれど、もう一ミリたりとも身体を動かせない。

「ゆっくりおやすみ……起きたらお祝いしような」
「お祝い……?」

 何を祝うのかよく分からないけれど、その答えを聞く前に、スノウの意識は沈んでいった。


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