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三章.雪豹の青年

85.雪豹の青年と交わる熱(★)

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 熱い塊が内壁を押し広げ、最奥を抉る。

「ぁああっ!」

 頭が真っ白になり、身体がガクガクと震えた。快感が溢れて止まらない。前からは白濁が零れ続けていた。

「ッ……ふぅ……」

 陶然とした息を吐き、アークが身を屈めてスノウの耳に口づける。
 ようやく腰を進める動きは止まったけれど、中に埋まったものの存在感は圧倒的で、スノウは浅い呼吸を繰り返した。
 痛みは全くない。ただ、際限なく快感が押し寄せてきて、甘やかな苦しさがある。

「ん、ぁ……ふぁ……」

 宥めるように背を撫でられるけれど、今のスノウの身体はどこもかしこも敏感で、その仕草にさえ快感を覚えてしまう。

「スノウ、動くぞ」
「あぅ、……だめ……っ」

 首の後ろを舐めながら囁かれ、スノウは必死に首を振った。でも、アークは甘えるような声で言葉を続ける。

「このままもつらいだろう? ほら、奥にもっとほしいって、中がうねってる――」
「ああっ!」

 アークがほんの僅かに腰を引いて押し込む。
 たったそれだけの動きに、スノウは悲鳴のような声を上げて、シーツに爪を立てた。
 怖いくらいの快感。もう逃げたくてたまらない。

「……スノウ。逃げるなと、言っただろう」

 不意にアークの声が低くなった。スノウの言葉にしなかった意思を察したのだ。
 咎めるように首が舐められ、吸われる。そのすぐ後に、硬く尖ったものが触れた。

「アーク……? っ、あぁああっ!」

 疑問に思った瞬間、首がカッと熱くなる。目の前がチカチカとして、何も考えられない。身体が作り変えられていくような感覚。

 アークからブワッと支配的な香りが襲ってくる。それを吸い込み、スノウは更に追い詰められていった。

 間髪をおかず、腰が力強く打ち付けられる。感じるところを擦り、抉ってきて――スノウは、もうわけが分からず揺さぶられ啼くだけ。

「あうっ……は、ぁあっ……!」
「はっ……スノウ、愛してる……」

 首を舐められながら、ガツガツと貫かれる。陶然としたアークの吐息にさえ、スノウは啼いて感じ入った。

 再び首を噛まれ、最奥を抉られる。目の前が真っ白になりながら、熱いものが中を満たすのを感じた。

(アークの……僕が、ほしかったもの……)

 スノウはぱちりと目を瞬かせた。満足感と幸福感、疲労感に目蓋が重くなっていく。
 最奥にしっかり行き渡らせるように、アークの腰が揺れ、イッたばかりの敏感な内壁が擦られて、スノウは反射的に喘いだ。

「あぅっ……ん……ふ、ぅ……」
「スノウ。愛しい運命。――正真正銘、お前は俺の番だ」

 アークが幸せそうに囁く。
 お腹いっぱいにご飯を食べたときのように、満足げな雰囲気だった。そう思った自分に、スノウは小さく笑う。

(……たくさん食べたのは、僕なのに……)

 まだ腹の中を満たすアークのもの。吐き出されたものまで愛おしい。噛まれた首の熱さを意識した。

(正真正銘、番……。僕は、アークの、番……)

 幸せでたまらない。身体は重く、呼吸はまだ荒くて苦しいけれど、全て幸せな疲労感だった。
 微笑みながら、スノウは必死にお腹に手を伸ばす。そこは最初よりも僅かに膨らんでいる気がした。

 ふと、書物で知った知識が頭をよぎる。子どもは、男女の交合により生まれるのだと。
 もしかして、交合とはこのことなのではないだろうか。
 お腹を撫でる手に愛しさが籠った。

「――……赤ちゃん……できるかなぁ……」
「っ」

 息を飲むような音。
 アークの顔を見たくて、振り返ろうとすると、コロリと身体を転がされる。後孔からずるりと抜けた感覚に、スノウは思わず「ああっ」と悲鳴のような声を上げた。

 正面から見たアークの顔は、いつもより上気していて、汗で髪が張り付いていた。それを除けることさえしていないから、スノウは息を整えながら、手を伸ばして耳にかけてあげる。

「……アーク、いっぱい、ありがとう」

 お腹を片手で撫でながら微笑むと、アークが奥歯を噛み締めた。眼差しが鋭さを増した気がして、スノウは戸惑ってしまう。
 アークの手がスノウのお腹を這った。その動きに、スノウは身体をビクビクと震わせる。まだ快感の波が去っていないのだ。

「ありがとうは、俺の台詞だな」
「っ! ……うん、分かったから、アーク、今は触らないでっ」

 ペシペシと腕を叩いて訴えるも、アークはうっとりと微笑むだけ。
 そればかりか片脚を抱えられ、アークの肩に掛けられる。大きく開脚する形になり、スノウは恥ずかしさでブワッと顔が熱くなった。

「――アーク、やだっ……ぁああっ!?」

 再び後孔にアークのものが埋まり、スノウは目を見開いてのけ反った。散々弄られ、アークの形に慣らされたそこは、一切アークを拒まず、むしろ歓喜に溢れてアークを包み込んでいた。

「スノウ……赤ちゃんを作るには、まだ足らないみたいだ……。もっと頑張ろうな?」

 目を細めたアークの楽しげな囁き声に、スノウは必死に首を振る。でも、その意思表示はアークを止めるには足りなかったようだ。
 力強く貫かれ、スノウは力なくアークの背を引っ掻くしかない。

 頭がおかしくなりそうな熱は、まだまだ始まったばかりだった。

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