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三章.雪豹の青年
67.雪豹の青年と甘い戸惑い
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「――ふぁ、っ……」
抵抗する気もなくなるくらい嬲られて、スノウがベッドにぐったりと四肢を投げ出した頃に、ようやくキスから解放された。
溢れた唾液で汚れた口周りを、アークがペロッと舌で拭う。
「……慣れそうか?」
「むり……」
愉悦の笑みを浮かべるアークを、潤んだ眼差しで睨む。もっと抗議したいけれど、上手く舌が動かない。アークにたくさん嬲られて、疲れてしまったのだ。
「ふっ……まだ、最初だからな。繰り返して慣れていけばいい」
「やぁだぁ……!」
顔中にキスを降り注がれながら、ムスッと唇を尖らせる。唇が腫れている気がする。アークのせいだ。
「少しずつステップアップしような」
スノウの言葉なんてひとつも気にしない素振りで、アークがご機嫌に抱き締めてくる。そのままごろりと寝転んで、いつもの寝るときの体勢になった。
慣れた体温と体勢に、ようやくホッと心が安らぐ。逞しい胸に額をぐりぐりと押し付けた。ちょっとは痛がって反省してほしい。そして、スノウの抗議を聞き入れるといい。
「ふはっ……擽ったいな。良い子だから、そろそろ寝ろ」
「……ぼくは、もう、こどもじゃない!」
成人の祝いをしたというのに、アークは「悪い子」とか「良い子」とか、子ども扱いしすぎだ。それに、スノウが眠れないのは、アークのせいだ。身体がムズムズして熱くて、いつものように眠れる気がしない。
「そうだな。子どもじゃないからこんなこともできるわけだし」
顎に指がかかり、クイッと顔を上げさせられる。ちゅ、と唇に降ってきたキスに驚いて、スノウは手を突っ張って距離をとろうとした。
「もう、しない!」
「今日は終わりだな」
「っ……そう! もう寝るの!」
二度としたくないなんて、口が裂けても言えそうになくて、スノウは再びアークの胸に額を擦り付けて目を瞑った。
アークの指先が、スノウの髪を優しく梳かす。
「閨のことはゆっくり教えよう」
「……うん」
「スノウ、愛してる」
甘い声音に、スノウの胸が幸福感で満たされる。
逃げたくなるほど苦しいのも恥ずかしいのも、スノウが許してしまうのは、それがアークの愛情表現だと分かっているからだ。スノウだってそれくらいアークを愛している。
「……アーク、大好きだよ。でもね、もっとゆっくりでもいいと思う」
真剣に言ったら、アークが吹き出して笑った。失礼だ。
背に回した手で爪を立てると、宥めるように頭を叩かれる。
「十分すぎるくらいゆっくりだと思うんだがな」
「アークはそうでも、僕はそうじゃないの!」
「そうか。……俺は今すぐ丸ごと食ってやりたい気分なのに」
「みっ!?」
低い声で囁かれて、耳に息がかかる。ぞわりと背に震えが走った。
「仕方ないな……おやすみ、愛しい運命」
耳の先を僅かにかじられて、身体のムズムズ感が強くなった。これでは一向に眠れないではないか。
スノウは無言で手を伸ばした。ぐいぐいとアークの顔を押し退けると、押し殺しきれない笑い声が聞こえる。
あんまりしつこいと、スノウだって本気で怒るから気をつけてほしい。
抵抗する気もなくなるくらい嬲られて、スノウがベッドにぐったりと四肢を投げ出した頃に、ようやくキスから解放された。
溢れた唾液で汚れた口周りを、アークがペロッと舌で拭う。
「……慣れそうか?」
「むり……」
愉悦の笑みを浮かべるアークを、潤んだ眼差しで睨む。もっと抗議したいけれど、上手く舌が動かない。アークにたくさん嬲られて、疲れてしまったのだ。
「ふっ……まだ、最初だからな。繰り返して慣れていけばいい」
「やぁだぁ……!」
顔中にキスを降り注がれながら、ムスッと唇を尖らせる。唇が腫れている気がする。アークのせいだ。
「少しずつステップアップしような」
スノウの言葉なんてひとつも気にしない素振りで、アークがご機嫌に抱き締めてくる。そのままごろりと寝転んで、いつもの寝るときの体勢になった。
慣れた体温と体勢に、ようやくホッと心が安らぐ。逞しい胸に額をぐりぐりと押し付けた。ちょっとは痛がって反省してほしい。そして、スノウの抗議を聞き入れるといい。
「ふはっ……擽ったいな。良い子だから、そろそろ寝ろ」
「……ぼくは、もう、こどもじゃない!」
成人の祝いをしたというのに、アークは「悪い子」とか「良い子」とか、子ども扱いしすぎだ。それに、スノウが眠れないのは、アークのせいだ。身体がムズムズして熱くて、いつものように眠れる気がしない。
「そうだな。子どもじゃないからこんなこともできるわけだし」
顎に指がかかり、クイッと顔を上げさせられる。ちゅ、と唇に降ってきたキスに驚いて、スノウは手を突っ張って距離をとろうとした。
「もう、しない!」
「今日は終わりだな」
「っ……そう! もう寝るの!」
二度としたくないなんて、口が裂けても言えそうになくて、スノウは再びアークの胸に額を擦り付けて目を瞑った。
アークの指先が、スノウの髪を優しく梳かす。
「閨のことはゆっくり教えよう」
「……うん」
「スノウ、愛してる」
甘い声音に、スノウの胸が幸福感で満たされる。
逃げたくなるほど苦しいのも恥ずかしいのも、スノウが許してしまうのは、それがアークの愛情表現だと分かっているからだ。スノウだってそれくらいアークを愛している。
「……アーク、大好きだよ。でもね、もっとゆっくりでもいいと思う」
真剣に言ったら、アークが吹き出して笑った。失礼だ。
背に回した手で爪を立てると、宥めるように頭を叩かれる。
「十分すぎるくらいゆっくりだと思うんだがな」
「アークはそうでも、僕はそうじゃないの!」
「そうか。……俺は今すぐ丸ごと食ってやりたい気分なのに」
「みっ!?」
低い声で囁かれて、耳に息がかかる。ぞわりと背に震えが走った。
「仕方ないな……おやすみ、愛しい運命」
耳の先を僅かにかじられて、身体のムズムズ感が強くなった。これでは一向に眠れないではないか。
スノウは無言で手を伸ばした。ぐいぐいとアークの顔を押し退けると、押し殺しきれない笑い声が聞こえる。
あんまりしつこいと、スノウだって本気で怒るから気をつけてほしい。
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