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ハンマーフェロー編Ⅰ 開幕の章
4 女の闘い
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〈はぁ~、今日も疲れたぁ〉
俺は更衣室のロッカーの前で、脱いだドレスを丁寧にハンガーへ掛けながら声には出さずそう呟いた。
キャバクラの仕事は思ったほどの苦行ではないけれど、やはり冒険者とは勝手が違う。あと何日、こんな生活を続ければ良いのだろうか。
駆け出しの黒曜級とはいえ、折角、セレスに鍛えられた成果が発揮できないのは淋しい。ましてや黄金級の冒険者であれば尚更だろう。
だが、彼女は何も不平を言わない。今も隣で同じように着替えつつ、ギリルさんに何か買って帰ろうか、と屈託なく話しかけてくる。
「あの人、放って置くと何も食べずに研究に没頭しちゃうものね。贅沢されないのは助かるけど、それはそれで困りものだわ」
「あの、セレス……」
俺は申し訳なさでついそう声を掛けた。
「何、ユウキ?」
「そのぉ、冒険者に戻りたかったらそうしてくれて構わないよ。ギリルさんの借金ならあとは私一人で何とか返せると思うから」
セレスは一瞬怪訝そうな表情をして、次に呆れたように言った。
「はああ、今更ね。そりゃ、冒険者として活動できないのは辛いわよ。でも必要なことなんだし、我慢しているのはユウキだって同じでしょ?」
「私は仕方がないよ。元はと言えば自分の装備を手に入れるためなんだし、それだって本当に上手くいくなんて保証はない。そんなあやふやなことにセレスまで付き合う必要はなかったんじゃないかって」
そう話した途端、セレスは俺の頬を両手で思い切り挟み込んだ。
「ぜれず? ごりは……だんの……まででひょう?(セレス、これは何の真似でしょう?)」
「いいこと、ユウキ。私はね、あなたと冒険がしたいのよ。一人でじゃない、ましてや他の誰かとでもない。そうじゃなきゃ、とっくにコンビなんか解消しているわ。今だってあなたのやろうとしていることに興味が尽きない。今度は何を思い付くんだろうってね。だから、これは私のためでもあるの。大体こんな経験、普通に冒険者をしていたらできなかったもの。確かにずっと続けるのはアレだけど、未知のものに挑むという意味ではこれだって立派な冒険でしょ? それだけでも価値があったと思うわ。さすがにそろそろ飽きてきたけどね。だからさっさと借金なんて返し終えて、とっとと冒険者に戻りましょう。ハンマーフェローの近くには『死者の迷宮』っていう有名なダンジョンがあるのよ」
それだけ言うと、ようやく俺を開放した。セレスの手に包まれていた両頬が思いの外、熱く感じられたのは思い過ごしではなかろう。
「わかった……ありがとう、セレス」
照れ臭くて正面を向いたまま口にした俺の耳許に、聞こえるか聞こえないかの声でセレスの呟きが届く。
「礼を言うのはこっちの方よ」
その時、背後に人の立つ気配が感じられた。
「今の話、聞いたかい? こんな仕事はやってられないとさ。さすが黄金級冒険者様はおっしゃることが違うよな」
「あたしらが必死に稼いでいることなんか眼中にないんだろ」
「そうそう。何せ、貴族のお嬢様だそうだからね。お遊びに違いないよ」
振り向かなくてもわかる。俺達がこの店で働き出すまで売り上げ上位を誇っていたドワーフ族のキャバ嬢三人組だ。
元々はトップを競るライバル同士だっただけにあまり仲は良くなかったそうだが、セレスの人気を前に危機感を募らせて結託したみたい。
事あるごとに三人でよく突っかかってきていた。
俺達は基本、無視していたんだけどね。
その彼女達に今の会話を聞かれてしまったようだ。
こういうドロドロした展開って向こうではドラマの中でしか視たことはなかったけど、異世界でも現実にあるらしい。
気の弱い娘ならこれだけで申し訳なく思ってしまいそうだ。
だが、生憎と俺もセレスもそんな柔な神経は持ち合わせていなかった。
まあ、事情があるとはいえ俺達が片手間でキャバ嬢をやっているのは事実なので、別に反論しようとも思わない。
言いたいことは言わせておけば良い。
どうせ、手は出せないに決まっているのだから。
それを裏付けるようにセレスが剣帯に愛剣を吊るして振り返ると、途端に引き攣った声を上げた。
「な、何よ、暴力に訴える気?」
「そ、そうよ。そんなことしたらすぐに衛士を呼んで来るわよ」
「こ、この店をクビになるだけじゃ済まない。ハンマーフェローを追い出されるんだからね」
〈ビビるなら最初から絡んで来なけりゃいいのに〉
俺は内心で呆れながらも事態の推移を面白おかしく見守る。
セレスは当然、余裕の表情だ。
「あのねぇ、あなた達相手にそんな真似するわけないじゃない。これでも剣を振るう対象は弁えているつもりよ。単に帰ろうと思っているだけだから、そこをどいてくれないかしら? それとも正式に決闘を申し込んでみる?」
ほとんどの国において喧嘩などの流血沙汰は罪に問われるが、正規の手順で申し込まれた果し合いに限り、大怪我を負わせようが殺そうが一切のお咎めは無しなのが普通だという。もちろん、嫌なら相手は拒否することもできる。
セレスはそうするかと訊ねたのだ。それなら自分も遠慮無しに戦う、と。
そんな度胸があるはずがないのは明白だった。
ただし、代わりにこう告げた。
「い、言っておくけどね、私にだって強い男の知り合いくらいいるのよ。私のためなら命をかけてもいいっていうね。それにあんたは黄金級かも知れないけど、そっちのお仲間は黒曜級だっていうじゃない。彼女にだって関係はあるんですからね。そちらを相手にしたっていいのよ」
どうやらセレスには敵わないと見て、俺に狙いを変更するみたいだ。
相手は巌のようなドワーフとはいっても女で、俺の見た目が華奢な少女でも中身は正真正銘の男だ。
古風と言われようと、女性に手を挙げるのは気が進まない。できれば思い直して欲しい。
そんな俺の心情を察したわけではないだろうが、セレスが同情するような口調で言った。
「止めておいた方が良いわよ。決闘ならユウキは私よりも強いもの」
「えっ? 嘘」
〈いや、ちょっと。その言い方だと逆に煽ってませんか、セレスさん〉
彼女の言っていることは魔眼込みでの話だろうが、そんなの公の場で使えるわけがない。
「……本当にこの女が?」
ドワーフの三人は顔を寄せ合い、ひそひそと話し込み始める。しばらくして何やら結論が出たようだ。
「そんなに強いのなら、私達三人と勝負しても平気よね。あ、もちろん殺し合いなんて野蛮な真似はしないわよ。木剣で戦いなさい。それなら喧嘩じゃなくて訓練ですから罪になることもないわ。それで私達が勝ったらこの店から出て行くのよ」
〈はぁ、何言ってんだ、こいつら?〉
そんな俺にとって何のメリットもない勝負を受けるはずがないだろう。
まさか逃げたりしないわよね、と勝手なことをほざいているが、初めから対等な戦いでない以上、臆病者と謗られる謂れはないのだから受ける理由が見当たらない。
何気なく隣に視線を移すと、どこか愉快そうなセレスの表情が目に入った。
〈そんな期待に満ちた眼差しで見たって俺はやらないからな、絶対に〉
断ろうと口を開きかけた、その時だ。
「みっともない真似は止めな」
声のした方を振り向くと、スピナが腕を組んでこちらを見ていた。
「何だい、三対一って。勝負するなら正々堂々と挑みな。大体、あんた達が三人がかりでもこの娘には勝てやしないよ。怪我するのが落ちさ」
「……そんなに強いの?」
「ああ。元冒険者としての私の勘がそう告げている」
買いかぶり過ぎじゃないかという気がしなくもなかったが、確かに魔眼無しでも彼女達相手なら負ける感じはまったくしない。
「黒曜級でそうなら黄金級のセレスは?」
恐々とした様子でそう訊いた三人に、スピナは断言した。
「はっきり言ってバケモンだね。どれくらい強いのか、想像も付かないよ。戦いでなら人面獅子や巨大熊に当たった方がまだマシってもんさ。私だったら一目散に逃げるね。立ち向かおうという気さえ起こさないだろうよ」
そう言われたセレスは複雑な表情で苦笑いを浮かべる。
狂乱猛虎との死闘を見届けた俺からすれば当然過ぎる評価だ。
三人組はスピナにそう言われて、ようやく自分達がどんな相手に喧嘩を売ろうとしたのか理解したようだ。
それでも気丈に言い返すのだから、根性だけは大したものだった。
「だけど、スピナ。あんた、こんなヒト族のシロートに負けて悔しくないの? ここはあたしらドワーフが主役の店だよ」
「悔しいさ。悔しいから売り上げで見返してやるんだ。だってそうだろ。私らは接客のプロだよ。仮に喧嘩で勝てたって、そんなの何の自慢にもならないじゃないか。黄金級の冒険者が何だって言うんだい。酔っ払いどもを喜ばすことに掛けちゃ、こっちは真銀級だってところを見せてやる」
三人組はそう言われて、言葉に詰まる。
スピナのその宣言が利いたのか、そうしたことがあって以降は特に嫌がらせを受けることもなく、彼女達との間にはトラブルらしいトラブルは何も起こらなかった。
そう、三人組との間に限って言えば──。
結局、俺達が働いた最終日までセレスのトップは揺るぎなかったが、最後は僅差まで追いついていたから彼女達も相当に奮闘したと言って間違いない。
おかげで店の売り上げは鰻登りだったそうだ。
要するに一番得したのは何と言ってもオーナーのカミラさんだったというわけ。
彼女がここまで計算して俺達を雇い入れたのか、単なる偶然の産物なのかは今以て計り知れなかった。
俺は更衣室のロッカーの前で、脱いだドレスを丁寧にハンガーへ掛けながら声には出さずそう呟いた。
キャバクラの仕事は思ったほどの苦行ではないけれど、やはり冒険者とは勝手が違う。あと何日、こんな生活を続ければ良いのだろうか。
駆け出しの黒曜級とはいえ、折角、セレスに鍛えられた成果が発揮できないのは淋しい。ましてや黄金級の冒険者であれば尚更だろう。
だが、彼女は何も不平を言わない。今も隣で同じように着替えつつ、ギリルさんに何か買って帰ろうか、と屈託なく話しかけてくる。
「あの人、放って置くと何も食べずに研究に没頭しちゃうものね。贅沢されないのは助かるけど、それはそれで困りものだわ」
「あの、セレス……」
俺は申し訳なさでついそう声を掛けた。
「何、ユウキ?」
「そのぉ、冒険者に戻りたかったらそうしてくれて構わないよ。ギリルさんの借金ならあとは私一人で何とか返せると思うから」
セレスは一瞬怪訝そうな表情をして、次に呆れたように言った。
「はああ、今更ね。そりゃ、冒険者として活動できないのは辛いわよ。でも必要なことなんだし、我慢しているのはユウキだって同じでしょ?」
「私は仕方がないよ。元はと言えば自分の装備を手に入れるためなんだし、それだって本当に上手くいくなんて保証はない。そんなあやふやなことにセレスまで付き合う必要はなかったんじゃないかって」
そう話した途端、セレスは俺の頬を両手で思い切り挟み込んだ。
「ぜれず? ごりは……だんの……まででひょう?(セレス、これは何の真似でしょう?)」
「いいこと、ユウキ。私はね、あなたと冒険がしたいのよ。一人でじゃない、ましてや他の誰かとでもない。そうじゃなきゃ、とっくにコンビなんか解消しているわ。今だってあなたのやろうとしていることに興味が尽きない。今度は何を思い付くんだろうってね。だから、これは私のためでもあるの。大体こんな経験、普通に冒険者をしていたらできなかったもの。確かにずっと続けるのはアレだけど、未知のものに挑むという意味ではこれだって立派な冒険でしょ? それだけでも価値があったと思うわ。さすがにそろそろ飽きてきたけどね。だからさっさと借金なんて返し終えて、とっとと冒険者に戻りましょう。ハンマーフェローの近くには『死者の迷宮』っていう有名なダンジョンがあるのよ」
それだけ言うと、ようやく俺を開放した。セレスの手に包まれていた両頬が思いの外、熱く感じられたのは思い過ごしではなかろう。
「わかった……ありがとう、セレス」
照れ臭くて正面を向いたまま口にした俺の耳許に、聞こえるか聞こえないかの声でセレスの呟きが届く。
「礼を言うのはこっちの方よ」
その時、背後に人の立つ気配が感じられた。
「今の話、聞いたかい? こんな仕事はやってられないとさ。さすが黄金級冒険者様はおっしゃることが違うよな」
「あたしらが必死に稼いでいることなんか眼中にないんだろ」
「そうそう。何せ、貴族のお嬢様だそうだからね。お遊びに違いないよ」
振り向かなくてもわかる。俺達がこの店で働き出すまで売り上げ上位を誇っていたドワーフ族のキャバ嬢三人組だ。
元々はトップを競るライバル同士だっただけにあまり仲は良くなかったそうだが、セレスの人気を前に危機感を募らせて結託したみたい。
事あるごとに三人でよく突っかかってきていた。
俺達は基本、無視していたんだけどね。
その彼女達に今の会話を聞かれてしまったようだ。
こういうドロドロした展開って向こうではドラマの中でしか視たことはなかったけど、異世界でも現実にあるらしい。
気の弱い娘ならこれだけで申し訳なく思ってしまいそうだ。
だが、生憎と俺もセレスもそんな柔な神経は持ち合わせていなかった。
まあ、事情があるとはいえ俺達が片手間でキャバ嬢をやっているのは事実なので、別に反論しようとも思わない。
言いたいことは言わせておけば良い。
どうせ、手は出せないに決まっているのだから。
それを裏付けるようにセレスが剣帯に愛剣を吊るして振り返ると、途端に引き攣った声を上げた。
「な、何よ、暴力に訴える気?」
「そ、そうよ。そんなことしたらすぐに衛士を呼んで来るわよ」
「こ、この店をクビになるだけじゃ済まない。ハンマーフェローを追い出されるんだからね」
〈ビビるなら最初から絡んで来なけりゃいいのに〉
俺は内心で呆れながらも事態の推移を面白おかしく見守る。
セレスは当然、余裕の表情だ。
「あのねぇ、あなた達相手にそんな真似するわけないじゃない。これでも剣を振るう対象は弁えているつもりよ。単に帰ろうと思っているだけだから、そこをどいてくれないかしら? それとも正式に決闘を申し込んでみる?」
ほとんどの国において喧嘩などの流血沙汰は罪に問われるが、正規の手順で申し込まれた果し合いに限り、大怪我を負わせようが殺そうが一切のお咎めは無しなのが普通だという。もちろん、嫌なら相手は拒否することもできる。
セレスはそうするかと訊ねたのだ。それなら自分も遠慮無しに戦う、と。
そんな度胸があるはずがないのは明白だった。
ただし、代わりにこう告げた。
「い、言っておくけどね、私にだって強い男の知り合いくらいいるのよ。私のためなら命をかけてもいいっていうね。それにあんたは黄金級かも知れないけど、そっちのお仲間は黒曜級だっていうじゃない。彼女にだって関係はあるんですからね。そちらを相手にしたっていいのよ」
どうやらセレスには敵わないと見て、俺に狙いを変更するみたいだ。
相手は巌のようなドワーフとはいっても女で、俺の見た目が華奢な少女でも中身は正真正銘の男だ。
古風と言われようと、女性に手を挙げるのは気が進まない。できれば思い直して欲しい。
そんな俺の心情を察したわけではないだろうが、セレスが同情するような口調で言った。
「止めておいた方が良いわよ。決闘ならユウキは私よりも強いもの」
「えっ? 嘘」
〈いや、ちょっと。その言い方だと逆に煽ってませんか、セレスさん〉
彼女の言っていることは魔眼込みでの話だろうが、そんなの公の場で使えるわけがない。
「……本当にこの女が?」
ドワーフの三人は顔を寄せ合い、ひそひそと話し込み始める。しばらくして何やら結論が出たようだ。
「そんなに強いのなら、私達三人と勝負しても平気よね。あ、もちろん殺し合いなんて野蛮な真似はしないわよ。木剣で戦いなさい。それなら喧嘩じゃなくて訓練ですから罪になることもないわ。それで私達が勝ったらこの店から出て行くのよ」
〈はぁ、何言ってんだ、こいつら?〉
そんな俺にとって何のメリットもない勝負を受けるはずがないだろう。
まさか逃げたりしないわよね、と勝手なことをほざいているが、初めから対等な戦いでない以上、臆病者と謗られる謂れはないのだから受ける理由が見当たらない。
何気なく隣に視線を移すと、どこか愉快そうなセレスの表情が目に入った。
〈そんな期待に満ちた眼差しで見たって俺はやらないからな、絶対に〉
断ろうと口を開きかけた、その時だ。
「みっともない真似は止めな」
声のした方を振り向くと、スピナが腕を組んでこちらを見ていた。
「何だい、三対一って。勝負するなら正々堂々と挑みな。大体、あんた達が三人がかりでもこの娘には勝てやしないよ。怪我するのが落ちさ」
「……そんなに強いの?」
「ああ。元冒険者としての私の勘がそう告げている」
買いかぶり過ぎじゃないかという気がしなくもなかったが、確かに魔眼無しでも彼女達相手なら負ける感じはまったくしない。
「黒曜級でそうなら黄金級のセレスは?」
恐々とした様子でそう訊いた三人に、スピナは断言した。
「はっきり言ってバケモンだね。どれくらい強いのか、想像も付かないよ。戦いでなら人面獅子や巨大熊に当たった方がまだマシってもんさ。私だったら一目散に逃げるね。立ち向かおうという気さえ起こさないだろうよ」
そう言われたセレスは複雑な表情で苦笑いを浮かべる。
狂乱猛虎との死闘を見届けた俺からすれば当然過ぎる評価だ。
三人組はスピナにそう言われて、ようやく自分達がどんな相手に喧嘩を売ろうとしたのか理解したようだ。
それでも気丈に言い返すのだから、根性だけは大したものだった。
「だけど、スピナ。あんた、こんなヒト族のシロートに負けて悔しくないの? ここはあたしらドワーフが主役の店だよ」
「悔しいさ。悔しいから売り上げで見返してやるんだ。だってそうだろ。私らは接客のプロだよ。仮に喧嘩で勝てたって、そんなの何の自慢にもならないじゃないか。黄金級の冒険者が何だって言うんだい。酔っ払いどもを喜ばすことに掛けちゃ、こっちは真銀級だってところを見せてやる」
三人組はそう言われて、言葉に詰まる。
スピナのその宣言が利いたのか、そうしたことがあって以降は特に嫌がらせを受けることもなく、彼女達との間にはトラブルらしいトラブルは何も起こらなかった。
そう、三人組との間に限って言えば──。
結局、俺達が働いた最終日までセレスのトップは揺るぎなかったが、最後は僅差まで追いついていたから彼女達も相当に奮闘したと言って間違いない。
おかげで店の売り上げは鰻登りだったそうだ。
要するに一番得したのは何と言ってもオーナーのカミラさんだったというわけ。
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