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クーベルタン市編Ⅲ 交流の章
3 冒険者談義 その二
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「そうだ。これまでどんな依頼があったんですか? 言える範囲で構わないので、聞かせて貰えませんか?」
何となく白けた場の雰囲気を変えようと、俺はわざと明るくそう言ってみた。それに冒険者の話を直に聞ける機会なんて滅多にないことだろう。折角異世界を訪れたんだから、ここならではの話が聞きたい。
おう、いいぜ、と即座にフィオナ嬢が応じた。彼女もこの空気をどうにかしたかったみたいだ。
ただし、続けて出た言葉が俺には理解不能だった。
「この前なんかエリュマントスを狩ってやったぜ」
〈……えーと、それって凄いことなんだろうか?〉
鼻高々な彼女に思わず心の中でそう洩らす。
「狩ったのはあなたじゃないでしょ。ほとんどセレス一人で引き受けていたじゃない。ヴァレリーやナゼルさんは取り巻きの対処で精一杯だったし」
「へぇんだ。あたしは斥候だからな。獲物の下まで案内するのが仕事なんだよ。戦闘は得意な奴に任せるさ」
「また、そんな調子のいいことを言って」
聞くところによると、エリュマントスは体高が三メートルを超える大猪の魔物だそうだ。巨大な体躯と牙を活かした突進が脅威で、まともに喰らえば大盾を構えた重装戦士でも防げないらしい。ワイルドボアというひと回り小さい眷属の魔物を引き連れており、エリュマントスばかりに気を取られていると、そちらにやれられることも珍しくないとか。
「それにしてもあの時のセレスさんの立ち回りは見事でしたねぇ」
ナゼル氏が思い出したのか、心底感心したといった口調で呟く。エリュマントスの突進を華麗に避けて、的確に急所へダメージを与えていった様子を詳しく語ってくれた。
「そんなに凄かったんですか? 是非見てみたかったですね」
俺は本心からそう口にした。
「惜しかったわね。もう一年早く来ていれば、武術大会の予選の様子がここでも見られたでしょうに。もっとも予選程度ではセレスの圧勝過ぎてつまらなかったかも知れないけど」
去年、王都で開かれた本選で準優勝したという大会のことだろう。
「一対一ならあいつの独壇場だからな。何しろ、あいつには──」
「フィオナ、喋り過ぎよ」
うっかり口を滑らせそうになったフィオナ嬢に、脇からイングリッド嬢の鋭い叱責が飛ぶ。どうやら話してはいけないことに触れそうになったらしい。
恐らく、彼女の強さに関するスキルか切り札的なことだろう。
「おっと、悪い。今のは無しで。ちょっと飲み過ぎたかな」
フィオナ嬢が素直に反省の弁を述べる。
それを見たイングリッド嬢が、呆れながらも俺に向かって言った。
「気を悪くしたらごめんなさい。今のフィオナの発言もそうだけど、たぶんセレスがどうしてパーティーを抜けたかも気になっているわよね? でも、個人の事情に関わることだからそれを私達の口から言うわけにはいかないの。どうしても知りたければ本人に確かめて頂戴」
個人の事情──というのは、やはり家柄にまつわることだろうか? イングリッド嬢は知りたければと言ったが、そこまで深入りする気はさらさらない。
図らずも関わって厄介事に巻き込まれるのは御免だ。
俺が望むのは安全安心な異世界紀行であって、権謀術数渦巻く貴族の権力闘争などでは断じてない。
なんて思っていたのだが──。
ダンッ、と突然、テーブルに杯を叩き付ける音がした。
見れば静かに飲んでいたはずのヴァレリー青年が、いつの間にか目を血走らせて手元を睨んでいる。
〈何か剣呑そうな雰囲気だな〉
その予感は的中して、とんでもないことを彼は言い出した。
「だいたいランベールの野郎が俺達に──」
「ちょっ、馬鹿、お前。こんなところで何てことを言いやがる」
慌ててフィオナ嬢がヴァレリー青年の口許を手で塞ぐ。イングリッド嬢まで蒼い顔をしているところを見ると、先程のフィオナ嬢がしかけた失言とは次元が違ったみたいだ。
幸いにも周囲からそれを咎める声は上らなかった。
聞こえなかったのか、聞こえなかったふりをしてくれたのかは定かではない。
ひと先ずは安心といったところだろう。
「折角、イングリッドが上手くとりなしてくれたのを台無しにしやがって」
フィオナ嬢がカンカンになって怒っているが、正体を失くしたヴァレリー青年には届いていないようだ。
「今の彼の発言は聞かなかったことにしてくれると有り難いのだけれど……」
気を取り直したイングリッド嬢が俺にそう言ってくる。
「何のことでしょうか?」
俺は彼女の意を酌み惚けた。
「……いえ、何でもないわ」
イングリッド嬢には俺の気遣いが正確に伝わったようだ。
それにしてもヴァレリー青年には困ったものだ。普段の彼はここまで酔ったりしないのだとナゼル氏がフォローする。
「余程、これまでの鬱憤が溜まっていたようですね。それとあなたを前にして緊張が重なって飲み過ぎてしまったのでしょう。先程のことは大目に見てやってください」
自分(?)で言うのも何だけど、美人を前にして緊張する気持ちはわからなくもない。何となく彼に親しみを感じてしまうのはそのせいかも知れない。
今夜のところは私が送って行きますよ、あとは女性同士でごゆっくりどうぞ、とナゼル氏が席を立つ。壁際に向かい、大盾を外して抱えると、開いた方の手でヴァレリー青年に肩を貸しながら店を出て行った。
残された俺達三人の間には微妙な空気が流れる。ナゼル氏はああ言ったものの、そもそもが女性陣のみではないので姦しいことにもならない。
「そういえばユウキはこの後どうするつもりなの? 今夜これからという意味ではなくて、明日以降のことだけど。このまま領都で暮らすの? それとも旅を続けるのかしら?」
イングリッド嬢が気を利かせてか、そんなことを訊いてくるが、実はそれこそが目下の悩みの種だった。
無理矢理放り込まれたこの世界でやりたいことが特にあるわけではない。
敢えて目的を挙げるとすれば、この身体を元の持ち主に返すとか、本来の自分の肉体を探すとかだが、具体的なプランは皆無だ。
漠然と王都があるなら行ってみようかというくらいだが、この世界での旅が簡単なものでないのは先刻体験済み。
安全第一に考えるなら街を出ずに、どうにかここで生活の基盤を築くことも選択肢としては有り得たが、果たして外見上は単なる小娘に過ぎず、異世界の知識も経験もない自分にそんなことが可能だろうか。
「実はまだ決めかねているんです。これといって当てもないまま出てきてしまったものですから」
俺は正直に告白した。
わかるぜ、その気持ち、とフィオナ嬢が同感の意を示す。
「あたしらも似たようなものだったしな。ツテもない女が一人で生きていくには安い賃金の下働きで一生こき使われるか、娼館で身体を売るか、あたしらみたいに冒険者にでもなるしかないからな」
「そうね。冒険者が訳あり人間の巣窟って思われては困るけど、出自に関係なく実力次第で上を目指せる数少ない職業なのは確かよ。その分、危険が付きものなのは言うまでもないわね」
やはり、女一人で生きるのは容易ならざることらしい。
もちろん、身体を売るなどは論外だ。
「あの、私でも冒険者になれたりするんでしょうか?」
何となくそう訊ねてみたところ、質問が漠然とし過ぎていたのか、フィオナ嬢とイングリッド嬢が困惑した視線を交わす。先に代表して答えたのはイングリッド嬢だ。
「それはわからないわ。なれるなれないで言えば犯罪者や奴隷でない限り、冒険者の登録に制限はない。けど、ユウキが聞きたいのはそういうことではないでしょ? 私が言えるのは誰でも最初は初心者ということよ。いきなり魔物退治に出て無事に戻って来られる者なんていないわ。あのセレスでもね。腕前だけの問題じゃない。装備一つとっても依頼によって必要な物が変わってくるの。休息の仕方やペース配分を間違えれば標的に辿り着くまでに疲労困憊して返り討ちに遭うなんてことも珍しくない。それを防ぐには経験を積むしかないわ。そして自分の力量に合った依頼を見極めることね。それを誤れば最悪死ぬことになる。でも裏を返せばそうして成長していくことで、いずれは黄金級にだって到達できるかも知れない」
「そうそう。冒険者だからって常に死と隣り合わせの依頼ばかりじゃないからな。最初のうちは薬草採取なんかの危険の少ない仕事を受けることをオススメするぜ。地味で儲からないって一部の奴らは馬鹿にするけど、それだって絶対に魔物に遭わないわけじゃないし、油断していると痛い目を見ることになる。ただ、そういう時は大抵弱い魔物が相手だから経験を積むには打って付けなんだ。討伐依頼じゃないから敵いそうになければ逃げても一向に構わないしな。要はやり方次第ってことさ。冒険者になれるかどうかは」
実際にソロで採取専門にしている冒険者も少数ながら存在するそうだ。極めればそれだけで生活していくことも不可能ではないらしい。
でも、本気で冒険者をするつもりなら王都に行った方が良いぜ、と言われた。
「それはどうしてでしょう?」
「依頼の質も量も他所とは段違いだからさ。あたしやイングリッドは偶然が重なってここに居着くことになっちまったけど、特に理由が無いなら選択の幅が大きい場所の方が自分に合った依頼を見つけやすいだろ? それだけ無事でいられる確率が高まるってことだからな」
「フィオナの言う通りよ。ここでは残念ながら生活していくために多少無理な依頼でも引き受けざるを得ないことがざらにあるわ。依頼の数が限られているからね」
なるほど。冒険者になるなら参考にしよう。
だが結局、この時には結論は出なかった。
そこまで急ぐ話ではないし、そのうちまた彼女達の話を聞く機会もあるだろう。最終的に決めるのはそれからでも遅くはない。
その際は是非、ヴァレリー青年には正気でいて貰いたいものだ。
何となく白けた場の雰囲気を変えようと、俺はわざと明るくそう言ってみた。それに冒険者の話を直に聞ける機会なんて滅多にないことだろう。折角異世界を訪れたんだから、ここならではの話が聞きたい。
おう、いいぜ、と即座にフィオナ嬢が応じた。彼女もこの空気をどうにかしたかったみたいだ。
ただし、続けて出た言葉が俺には理解不能だった。
「この前なんかエリュマントスを狩ってやったぜ」
〈……えーと、それって凄いことなんだろうか?〉
鼻高々な彼女に思わず心の中でそう洩らす。
「狩ったのはあなたじゃないでしょ。ほとんどセレス一人で引き受けていたじゃない。ヴァレリーやナゼルさんは取り巻きの対処で精一杯だったし」
「へぇんだ。あたしは斥候だからな。獲物の下まで案内するのが仕事なんだよ。戦闘は得意な奴に任せるさ」
「また、そんな調子のいいことを言って」
聞くところによると、エリュマントスは体高が三メートルを超える大猪の魔物だそうだ。巨大な体躯と牙を活かした突進が脅威で、まともに喰らえば大盾を構えた重装戦士でも防げないらしい。ワイルドボアというひと回り小さい眷属の魔物を引き連れており、エリュマントスばかりに気を取られていると、そちらにやれられることも珍しくないとか。
「それにしてもあの時のセレスさんの立ち回りは見事でしたねぇ」
ナゼル氏が思い出したのか、心底感心したといった口調で呟く。エリュマントスの突進を華麗に避けて、的確に急所へダメージを与えていった様子を詳しく語ってくれた。
「そんなに凄かったんですか? 是非見てみたかったですね」
俺は本心からそう口にした。
「惜しかったわね。もう一年早く来ていれば、武術大会の予選の様子がここでも見られたでしょうに。もっとも予選程度ではセレスの圧勝過ぎてつまらなかったかも知れないけど」
去年、王都で開かれた本選で準優勝したという大会のことだろう。
「一対一ならあいつの独壇場だからな。何しろ、あいつには──」
「フィオナ、喋り過ぎよ」
うっかり口を滑らせそうになったフィオナ嬢に、脇からイングリッド嬢の鋭い叱責が飛ぶ。どうやら話してはいけないことに触れそうになったらしい。
恐らく、彼女の強さに関するスキルか切り札的なことだろう。
「おっと、悪い。今のは無しで。ちょっと飲み過ぎたかな」
フィオナ嬢が素直に反省の弁を述べる。
それを見たイングリッド嬢が、呆れながらも俺に向かって言った。
「気を悪くしたらごめんなさい。今のフィオナの発言もそうだけど、たぶんセレスがどうしてパーティーを抜けたかも気になっているわよね? でも、個人の事情に関わることだからそれを私達の口から言うわけにはいかないの。どうしても知りたければ本人に確かめて頂戴」
個人の事情──というのは、やはり家柄にまつわることだろうか? イングリッド嬢は知りたければと言ったが、そこまで深入りする気はさらさらない。
図らずも関わって厄介事に巻き込まれるのは御免だ。
俺が望むのは安全安心な異世界紀行であって、権謀術数渦巻く貴族の権力闘争などでは断じてない。
なんて思っていたのだが──。
ダンッ、と突然、テーブルに杯を叩き付ける音がした。
見れば静かに飲んでいたはずのヴァレリー青年が、いつの間にか目を血走らせて手元を睨んでいる。
〈何か剣呑そうな雰囲気だな〉
その予感は的中して、とんでもないことを彼は言い出した。
「だいたいランベールの野郎が俺達に──」
「ちょっ、馬鹿、お前。こんなところで何てことを言いやがる」
慌ててフィオナ嬢がヴァレリー青年の口許を手で塞ぐ。イングリッド嬢まで蒼い顔をしているところを見ると、先程のフィオナ嬢がしかけた失言とは次元が違ったみたいだ。
幸いにも周囲からそれを咎める声は上らなかった。
聞こえなかったのか、聞こえなかったふりをしてくれたのかは定かではない。
ひと先ずは安心といったところだろう。
「折角、イングリッドが上手くとりなしてくれたのを台無しにしやがって」
フィオナ嬢がカンカンになって怒っているが、正体を失くしたヴァレリー青年には届いていないようだ。
「今の彼の発言は聞かなかったことにしてくれると有り難いのだけれど……」
気を取り直したイングリッド嬢が俺にそう言ってくる。
「何のことでしょうか?」
俺は彼女の意を酌み惚けた。
「……いえ、何でもないわ」
イングリッド嬢には俺の気遣いが正確に伝わったようだ。
それにしてもヴァレリー青年には困ったものだ。普段の彼はここまで酔ったりしないのだとナゼル氏がフォローする。
「余程、これまでの鬱憤が溜まっていたようですね。それとあなたを前にして緊張が重なって飲み過ぎてしまったのでしょう。先程のことは大目に見てやってください」
自分(?)で言うのも何だけど、美人を前にして緊張する気持ちはわからなくもない。何となく彼に親しみを感じてしまうのはそのせいかも知れない。
今夜のところは私が送って行きますよ、あとは女性同士でごゆっくりどうぞ、とナゼル氏が席を立つ。壁際に向かい、大盾を外して抱えると、開いた方の手でヴァレリー青年に肩を貸しながら店を出て行った。
残された俺達三人の間には微妙な空気が流れる。ナゼル氏はああ言ったものの、そもそもが女性陣のみではないので姦しいことにもならない。
「そういえばユウキはこの後どうするつもりなの? 今夜これからという意味ではなくて、明日以降のことだけど。このまま領都で暮らすの? それとも旅を続けるのかしら?」
イングリッド嬢が気を利かせてか、そんなことを訊いてくるが、実はそれこそが目下の悩みの種だった。
無理矢理放り込まれたこの世界でやりたいことが特にあるわけではない。
敢えて目的を挙げるとすれば、この身体を元の持ち主に返すとか、本来の自分の肉体を探すとかだが、具体的なプランは皆無だ。
漠然と王都があるなら行ってみようかというくらいだが、この世界での旅が簡単なものでないのは先刻体験済み。
安全第一に考えるなら街を出ずに、どうにかここで生活の基盤を築くことも選択肢としては有り得たが、果たして外見上は単なる小娘に過ぎず、異世界の知識も経験もない自分にそんなことが可能だろうか。
「実はまだ決めかねているんです。これといって当てもないまま出てきてしまったものですから」
俺は正直に告白した。
わかるぜ、その気持ち、とフィオナ嬢が同感の意を示す。
「あたしらも似たようなものだったしな。ツテもない女が一人で生きていくには安い賃金の下働きで一生こき使われるか、娼館で身体を売るか、あたしらみたいに冒険者にでもなるしかないからな」
「そうね。冒険者が訳あり人間の巣窟って思われては困るけど、出自に関係なく実力次第で上を目指せる数少ない職業なのは確かよ。その分、危険が付きものなのは言うまでもないわね」
やはり、女一人で生きるのは容易ならざることらしい。
もちろん、身体を売るなどは論外だ。
「あの、私でも冒険者になれたりするんでしょうか?」
何となくそう訊ねてみたところ、質問が漠然とし過ぎていたのか、フィオナ嬢とイングリッド嬢が困惑した視線を交わす。先に代表して答えたのはイングリッド嬢だ。
「それはわからないわ。なれるなれないで言えば犯罪者や奴隷でない限り、冒険者の登録に制限はない。けど、ユウキが聞きたいのはそういうことではないでしょ? 私が言えるのは誰でも最初は初心者ということよ。いきなり魔物退治に出て無事に戻って来られる者なんていないわ。あのセレスでもね。腕前だけの問題じゃない。装備一つとっても依頼によって必要な物が変わってくるの。休息の仕方やペース配分を間違えれば標的に辿り着くまでに疲労困憊して返り討ちに遭うなんてことも珍しくない。それを防ぐには経験を積むしかないわ。そして自分の力量に合った依頼を見極めることね。それを誤れば最悪死ぬことになる。でも裏を返せばそうして成長していくことで、いずれは黄金級にだって到達できるかも知れない」
「そうそう。冒険者だからって常に死と隣り合わせの依頼ばかりじゃないからな。最初のうちは薬草採取なんかの危険の少ない仕事を受けることをオススメするぜ。地味で儲からないって一部の奴らは馬鹿にするけど、それだって絶対に魔物に遭わないわけじゃないし、油断していると痛い目を見ることになる。ただ、そういう時は大抵弱い魔物が相手だから経験を積むには打って付けなんだ。討伐依頼じゃないから敵いそうになければ逃げても一向に構わないしな。要はやり方次第ってことさ。冒険者になれるかどうかは」
実際にソロで採取専門にしている冒険者も少数ながら存在するそうだ。極めればそれだけで生活していくことも不可能ではないらしい。
でも、本気で冒険者をするつもりなら王都に行った方が良いぜ、と言われた。
「それはどうしてでしょう?」
「依頼の質も量も他所とは段違いだからさ。あたしやイングリッドは偶然が重なってここに居着くことになっちまったけど、特に理由が無いなら選択の幅が大きい場所の方が自分に合った依頼を見つけやすいだろ? それだけ無事でいられる確率が高まるってことだからな」
「フィオナの言う通りよ。ここでは残念ながら生活していくために多少無理な依頼でも引き受けざるを得ないことがざらにあるわ。依頼の数が限られているからね」
なるほど。冒険者になるなら参考にしよう。
だが結局、この時には結論は出なかった。
そこまで急ぐ話ではないし、そのうちまた彼女達の話を聞く機会もあるだろう。最終的に決めるのはそれからでも遅くはない。
その際は是非、ヴァレリー青年には正気でいて貰いたいものだ。
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