【完結】Z[zi:] END OF THE WORLD(エンド・オブ・ザ・ワールド)

るさんちまん

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第四部 復活篇

11 帰還

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 対戦車ロケット弾の効果のほどを見届けると、智哉は本来再使用可能なはずのグリップ部を含め、手許に残った全ての装置をその場にて破棄した。二度とあんなものを担いで走るものか、と心に固く決めながら身軽になったその身体で背中に回していた八九式小銃を正面で構え直し、暫く息を潜めて爆発現場の様子を見守る。だが、一向に何の反応も見られなかった。その理由が攻撃が功を奏したからなのか、あるいは既に家の中がもぬけの殻だったのか、ここからでは判別のしようがない。かといって不用意に近付いて生き残りがいた場合、反撃の憂き目に遭うのは避けたいところだ。どうしたものかと決断が付かないまま五分余りが経過し、やっとのことで重い腰を上げた。通りの角からそっと顔を覗かせ、やはり動きがないことを確認すると、意を決して家の方へと歩み寄る。今後のことを考えればこのまま立ち去るという選択肢はあり得なかった。せめて死体の有無だけでも確かめなければならない。智哉は慎重に裏庭の垣根を乗り越え、半壊した家の壁にぴったりと背中を当てて寄り添った。辺りに人の気配がないことを見定め、注意深く家屋に足を踏み入れる。所々で天井が崩落しかけている箇所を避けながら奥へと進み、元はリビングだったと思われる瓦礫が散乱した部屋に辿り着く。そこで一体の真新しい死体を発見した。若い男で腹部に開いた大きな穿孔から腸が垂れ下がり、下半身が辛うじて繋がっているだけの状態だったが、顔は判別できる程度の損傷で、すぐに以前見かけた連中の一人だとわかった。他にも死体がないかと周辺を探ってみるが、それらしいものは見当たらず、覚悟していた少女や若い女の無残な姿を見ずに済んだことには内心ホッとする。もっとも成果としては満足していられない。これしきの爆発で原形を留めないほどバラバラに吹き飛んだとは考えにくいので、与えた損害はこれだけだったようだ。期待していたよりも遥かに少ない。
(あとは大怪我でもしていてくれることを祈るしかないか……)
 果たしてこの程度の被害で自分達を付け狙うのは諦めるだろうか? 却って連中の復讐心を煽っただけになりはしないか? そうなったらまったくの逆効果だ。本来ならそうした反撃の芽を摘む意味でもここは何が何でも追撃したいところだが、ドローンによるサポートを失った現在、下手に深追いすれば今度はこちらが危うくなりかねない。何しろ、数の上での不利な状況はまだ変わっていないのだ。今になって予備のドローンを用意しておかなかった自分の迂闊さが悔やまれる。毒吐いたところで手遅れであることには相違ない。
 いずれにせよ、ここに留まっていても仕方なかった。リビングから玄関へと続く廊下の先は瓦礫で埋まっており通り抜けられそうになかったので、一旦戻って外から回り込むことにする。ロケットの着弾で開いた壁の穴を再び潜り抜け、裏庭に出ると、待ち伏せを警戒して二軒隣の民家を迂回するようにして表通りが見通せる場所まで来た。そこから恐る恐る顔を出した途端、道のど真ん中に佇む女の姿が目に入り、ギョッとする。落ち着いて観察すると、奴らの一員である女子大生風の娘であることに気付いた。それがどこからでも撃ってみろと言わんばかりの無防備さで所在無さげに突っ立っている。辺りをオドオドと見回しているのは演技だろうか。一体これは何の真似だ? 一瞬、智哉は周囲に気を配るのも忘れ、唖然として眺めた。慌てて気を取り直しつつ、とりあえず様子を窺う。すると、女は閑散とした住宅街に響き渡る大声で叫び始めた。
「──誰か聞いている人はいませんか? 聞こえていたらお願いです、助けてください。私はあの人達の仲間じゃありません。脅されていただけなんです。その証拠に……これまでずっと酷い目に遭わされてきました。女が男の人にされる酷いことと言ったら……どういう意味かは口にしなくてもお判りいただけると思います。逆らうなんてできませんでした。そんなことをしたらさらに過酷なことを強要されますから。最悪、ゾンビの餌になっていたかも……。だから、攻撃を受けて混乱した隙に必死で逃げ出したんです。これを逃したらもう自由になる機会はないと思って。どなたか知りませんが、おかげでここまで来ることができました。あの人達はもう近くにはいません。どこかに向かいました。でも、また戻って来るかも知れない。そうならなくてもゾンビに襲われたらひとたまりもありません。その前に私を連れて行ってください。お願いします。あなた達に見放されたら私は生きていけない。聞いていたらどうか姿を見せて──」
 あからさまな罠だ。よくよく見てみれば身なりも取り乱した風を装いながら胸元をわざとらしく開けていたり、スカートを破いて太腿を露出させていたりと不自然さが際立つ。とはいえ、他の奴らと一緒のところを目撃していなければ、絶対に騙されなかったとは言い難い。現に嘘だと確信していながら、真に迫る演技に危うく絆されそうになる。あるいは怯えているのは演技ではなく本心なのかも知れない。問題はその真意だ。あの呼びかけで本当に応じると考えてのことなのか、それとも無視される前提なのか。
(まさかとは思うが彼女を囮にわざと攻撃させてこちらの居所を探る算段じゃないだろうな)
 仲間とはいっても対等とは限らない。どう見ても戦闘向きとは思えない彼女は、損な役回りを押し付けられる立場なのかも知れなかった。それなら確かに気の毒ではあるが、憶測で行動するのは禁物だ。どちらにしろ手出しする気がないことには変わりない。正面に注意を惹き付けて側面や後背に回り込むのはいくさの常套手段と言えるものの、今のところそれらしい気配は微塵も感じられないが──。
「ねえ、もういいでしょ? 言われた通りにしたけど、誰も出て来ないじゃないの。わざわざ服まで破いてさ。これだけ呼びかけても応答がないんだからとっくに逃げ出してるのよ。誰もいないのに大声を張り上げてる私って何だか馬鹿みたい」
 暫く智哉が監視を続行していると、やがて痺れを切らしたように女は背後の茂みに向かってそう愚痴り出した。どうやら真後ろに見える背の高い樹木が生い茂る辺りに仲間が潜んでいるようだ。といっても返事はなく、本当にそこにいるのかは疑わしい。仲間を平然と囮に使うような連中だ。彼女に知らせず移動するくらいのことはやってのけるだろう。迂闊に手を出させるのが真の狙いなのかも知れない。
 さらに程なくしておかしなことが起き始めた。どこからともなくゾンビが湧いてきたのだ。初めは二、三体が通りの角から出現しただけだったが、あれよあれよという間にその数は二十体ほどに膨れ上がった。あれほど大声を上げたなら当然と思えなくもなかったが、タイミングが妙だ。そもそもこれほどの大騒ぎを起こしていて今までゾンビを一匹も見かけなかったことが不自然過ぎる。遅ればせながらそのことに気付いた智哉が尚も息を殺して眺めていると、女は怯えた仕草で後ずさる。その顔には本物の狼狽の色が浮かんでいた。
(ん? どういうことだ? 何故怖がっている? 撃たれる心配ならともかく、ゾンビには襲われないはずだろ? 確かに集まり方は奇妙だが、現にゾンビはのんびりと歩いている。彼女を獲物とは認識していない証だ。不安になる要素がどこにある?)
 そう智哉が考えているうちに、ゾンビはますます女に接近しつつあった。通常ならとっくに跳びかかって行く距離なので、抑制が効いているのは間違いない。そうであるにも関わらず恐怖に引き攣る女の表情は真剣そのものだ。とても偽りとは思えない。本当に襲われるのかと智哉が固唾を飲んで見守る中、遂に堪え切れなくなった様子で女が悲鳴に近い声を上げた。
「止めて、千秋。お願いだから」
 訴えかけるように背後を振り向く。その途端、女に迫っていたゾンビがピタリと動きを止めた。
(何だ、今のは? 何が起きたんだ?)
 智哉が呆気に取られているうちに、ゾンビの群れは静かに女から離れて行く。次々と細い脇道に枝分かれして、あっという間に視界に入る路上からは完全にいなくなった。僅か数分間の出来事だ。これが偶然で起こり得るはずがない。一人取り残された女はこれにて役目は終えたとばかりに疲れた足取りで茂みの奥へと向かう。仲間の下に戻るつもりなのだろう。智哉は後を追おうか迷った。たった今、目にしたことの異質さが脳裏にこびり付いて離れない。何か重要な示教がある気がして、直ちに戻って検討すべきではないか、そんな声が頭の片隅から聞こえる。そのせいだろう、周囲への警戒が疎かになって死角となった植え込みの陰から何かが跳び出して来たのに気付くのが一瞬遅れた。咄嗟に銃口を向けるが間に合わず、銃身を掴まれた上、もつれるように地面に転がる。突き放すこともできないまま銃だけは絶対に手放すまいと握った両手に力を籠め、砂塵を舞い上げながら二転三転した結果、馬乗りに圧し掛かられた智哉が見上げた先には凶暴さを絵に描いたような男の顔があった。全身の至る所が煤けており、焼け焦げてボロボロになった衣装から覗く肌のあらゆる部分に火傷や裂傷を負って、顔の半分を真っ赤に染めるほどの出血をしていたが、眼だけは異様なほどの輝きを放つその面容には見憶えがあった。先程死体になっていた若い男と一緒に居た奴だ。どうやら爆風を浴びはしたものの、致命傷とはならずに助かったらしい。その表情が怒りに駆られている。只でさえ粗暴な人相が復讐心のせいで悪鬼の如く歪む。男は低い唸り声に似た言葉を発した。
「こうなったら終わりだぜ、てめえに勝ち目はねえよ」
(確かにこの状況は不味い)
 智哉もそう認める。所謂、組み技系格闘技におけるマウントを取られた状態というやつだ。必死に抜け出そうともがくが、両脇をがっちりと太腿で挟み込まれ、握った小銃は相手に掴まれたままビクともしない。この体勢から逃れるには銃を手放すしかなさそうだが、それこそ向こうの思う壺だろう。上腿に装着したレッグホルスターから拳銃を抜こうにも奴の脚が邪魔になっていて困難だ。せめてもの救いはあちらも両手が塞がっているため、殴られそうにはないことくらいか。ただし、どちらかが僅かでも気を抜けばその瞬間、銃は相手のものとなることは請け合いだ。それ故、大の男達が命懸けのやり取りをしているにも関わらず、傍目には子供同士が玩具の取り合いをしているとしか思えない滑稽な様相を呈している。無論、当人達は至って真剣に他ならない。自分達がどう映るかなど考えている余裕はない。智哉は気付かないうちに首筋や脇の下にびっしょりと汗を掻いていた。何とか状況を打開しようと、咄嗟に思い付いた言葉を口にした。
「いいのか、仲間が狙っているぞ」
「あん? 何言ってるのかわかんねえよ。てめえにやられたせいで耳が聞こえなくなってんだよ」
 どうやら鼓膜が破れているらしい。それでは会話で気を惹くのは無理ということになる。糞っ、と呟き、力任せに銃を引っ張るが、当然ながらそんなことで男の手が外れるはずはない。
「おっ、何だ? 力比べしようっていうのか? いいぜ、付き合ってやっても。けど、その前にっと──」
 鼠を捉えた、こっちに来い、と男は叫んだ。仲間に知らせるためなのは考えるまでもないだろう。今、この状況で他の奴らにやって来られたら万事休すだ。
(頼む。連中の耳に入らないでくれ)
 先刻の態度からして既にこの近傍より立ち去ったと願う外なかった。しかし、それなら男の方も焦って良さそうなものだが──。
(そうか。耳が聞こえないんだったな。さっきの女の呼びかけも知らないのか)
 それならばまだ近くに仲間が潜んでいると誤解していてもおかしくはない。幸いにも男は自分の声が掠れて聞こえにくくなっていることにも気付いていないようだ。だが、これ以上叫ばれるのは得策ではない。
 不意に先程の光景が甦る。突如現れたゾンビの群れ、怯えた女の表情、思わず口走った千秋という名前、直後に止んだゾンビの動き。それらが意味するものは何か。そんなことはこの場を切り抜けてから考えれば良いという理性の声を無視するほどに、圧倒的な疑問を以て思考を覆い尽くす。そしてある想像が閃いた。
(まさか、そんなことがあり得るのか? しかし、もしそうなら一連の行動にも説明は付く……)
 その時、男が何かを思い出したように智哉に向かって呟いた。
「そういやお前、何でここまで来れたんだ?」
 唐突な物言いに、即座に意味が掴めなかった。
(何を言っているんだ、こいつ。ドローンが見つけたからに決まっているじゃないか。さっきまで飛んでいただろ)
 偶然出遭ったとでも思っているのか、男の耳が聞こえなくなっていることも忘れ、そう言い返しそうとしてふと気付く。
(そうじゃない。こいつが言いたいのはどうやってゾンビを避けてやって来られたのかってことだ)
 自分達と同じくゾンビに襲われない体質の人間が敵方にもいるとは考えられなかったようだ。
 ──いや、そうではない。自分達と同じ・・・・・・ではないのだ。
 智哉が無言を貫いていると、男は一人で合点したように頷いた。
「何だ、お前も千秋と同類か」
 男が放ったそのひと言で想像が自信へと変わり、推理に確証を得た。
(きっとそうに違いない。だったらこの場を切り抜ける方法が一つだけある)
 ただ、そのことを男に悟らせてはならなかった。智哉は自棄になって遮二無二に銃を奪い返しにいくふりをして男の気を逸らそうと試みる。相手は、無駄な足掻きを、と言いたげな表情で平然と見下ろしてくるが、それで良い。ところが次に向こうが取った行動で智哉は窮地に陥った。男は銃を握ったまま頭を後ろに仰け反らせ、元に戻る反動を利用して頭突きを繰り出してきたのだ。辛うじて顔をずらして真正面から受けることだけは避けたものの、頬骨辺りをしたたかに打ち付けられて思わず苦悶の呻きを洩らす。それでも反射的に銃を手放さないように必死で堪えた。二度三度と耐えるうちに、智哉の顔も真っ赤に染まり始める。自身の鼻血なのか、向こうが滴り落とす鮮血なのかは不明だが、見る間に二人の男は見分けが付かなくなった。
(まだなのか? 早くしてくれ)
 あまりの苦痛に一か八かで手を放し、ホルスターから拳銃を引き抜いて、どちらが銃口を向けるのが早いかの勝負を仕掛けようかと心が揺らぎかけた直後、男の背後に人影が立つのがわかった。男も気配でそれを察したらしい。
「遅かったじゃねえか。今まで何をして──」
 全てを喋り切る前に、振り返ろうとした男の首筋に人影が喰らい付く。引き裂かれた気道から息の洩れ出る音がした。それで男は一切を悟ったに違いなかった。どうしてだ、という驚愕に充ちた眼差しを自分に覆い被さる若い女のゾンビに向けながら、次に現れた男のゾンビにも抱き付かれ、地面に組み伏せられた。智哉は急いで男の股下から脱出する。やっとのことで自由になった銃を男に向けて構え直すが、もはやその必要はなかった。続々と訪れるゾンビが男に圧し掛かる様子を尻目に、這うようにしてその場を離れる。あっという間に男の身体はゾンビに遮られ見えなくなった。そこで漸く息を吐く。
(思い通りになったとはいえ、どう見ても偶然に救われたんだろうな)
 耳が聞こえなくなり仲間の撤退を知らなかったことが男の運の尽きだった。自分が置いて行かれるとは思わなかったのかも知れない。もっとも智哉の推測が間違っていれば時間稼ぎに意味はなく、結果、死んでいたのはこちらだった公算が大きい。分の悪い賭けに勝ったのは良いが、二度とこんな危ない橋を渡るのは御免だ。
(結局、千秋という名前がきっかけだったな。もう一度、落ち着いて検証してみる必要はあるが、そいつがキーパーソンだ)
 気を抜くには早いが、智哉の推察通りなら近くに敵はいないはずである。そのことを確かめるべきか迷っていると、無線に呼び出しがあった。絵梨香からのものだ。どうかしたのか、と応えると、宿の方で問題が起きたようだと伝えられる。できるならすぐに戻って欲しいと言われ、死者まで出ていると聞き及んで即刻帰還の意思を固める。だが、急いでいるからといっていきなり駆け出すような真似はせず、周囲を警戒しながらゆっくりと後退して行く。あくまで念のために、だ。そうして百メートルほど戻った先の建物の陰で三分ほど立ち止まり、追跡者がないかを確認した。誰にも後を付けられていないことを確信すると、漸う少しだけ緊張を解いて近くにあった神社の手水で顔の血と泥を洗い流す。水で冷やした布を患部に当てて腫れを鎮めながら、そこからは速足で冷凍車まで戻った。行きと違い、帰りが天国だったのは言うまでもない。既に帰り支度を整え智哉を待っていた絵梨香達と合流し、不在中は何事もなかったとの報告を受けると、襲撃の成果を告げるのもそこそこに、やっと戻れると安堵の表情を浮かべる英司を含めた三人は急ぎ宿への帰路に就いた。

「柴崎綾音が自殺したとは本当か?」
 宿に戻った智哉は、帰りの道すがら大まかに聞いた事情を確認するために、集まった美鈴達にそう問いかけた。負傷した智哉を見て一度は面喰った様子の彼女達もすぐに気持ちを切り替えて、説明を始めた。それによると事の顛末はこうだった。
 智哉達が宿を出て暫く経った頃、残った者で防御を固めていると、いつの間にか綾音の姿がどこにも見えなくなっていることに誰かが気付いた。旅館の外に出て行くはずはないから屋内の何処かにはいるだろうと思ったが、心配になり作業を中断して全員で捜索することにした。やがて三階建て建物の屋根に出ている彼女を発見した。何のためにそんな場所にいるのかを予見できなかった者はいなかったそうだ。案の定、中に戻るよう説得を試みようとした皆の眼前で、綾音は一度もこちらに振り返ることもなく、ひと言の弁明も無いまま、まるで見えない空中の回廊に足を踏み出すかのような気楽さであっさりとそこから飛び降りた。中庭の敷石に寝転ぶようにして俯せで倒れていた彼女を診た日奈子によれば、殆ど即死でどうすることもできなかったらしい。状況からして覚悟を決めた上での自死だったのだろう。遺書らしきものが残されていないか探したが、見つからなかったという。
「遺体は私の判断ですぐに荼毘に付して埋めました。了解も取らずに勝手なことをしてすみません」
 そう言って頭を下げる美鈴に智哉は手を振って止めさせた。
「いや、判断は間違っていない。謝る必要はないぞ。今後も俺がいない時は自分達で最善と思える行動を取ってくれ。指示されなきゃ何もできないなんて最悪だからな」
 智哉達を呼び戻したのは遺体の処理が不十分で、万一にもゾンビを招き寄せてしまった場合を想定してのことだったようだ。ざっくりと周囲を検分してみたところ、その心配は杞憂と言えそうだ。
「それで自殺の動機について心当たりがある者はいるのか?」
 智哉の質問に皆が顔を合わせて押し黙る。それで大方の察しは付いたが、誰からも声が上がらないと見るや朋美が一同を代表して答えた。
「元からして神経質そうなタイプではあったんだけど、具体的に思い浮かぶことはないわね。もっとも普段からあまり自己主張するでもなく、周りに合わせているような子だったから気付けなかっただけかも知れない。正直に言うといなくなって初めて変調を知ったくらいよ。たぶん、みんなも似たようなものだと思う」
 ほぼ全員がその言葉に首肯する。智哉にもこれといって思い当たる節はない。というより、彼女について憶えていることが殆どないといった方が正しい。印象に残っていると言えば、せいぜい狙われていることを話した折に辻本晴美の無神経な発言に対して柳眉を逆立てて反論したことくらいだろうか。その程度の記憶しか持たないのが実情だ。今、思えば身勝手な言動で周囲との調和を乱すことがなかった反面、誰とも必要以上に親しくせずに常に全員から一定の距離を置いていた感じがする。それが本来の性格によるものなのか、意図してのことだったのか、もはや謎のままだが、目立たなかった要因の一つであることは間違いないだろう。だからといって自殺の原因を有耶無耶にしておいて良いことにはなるまい。理由がわかるまでとことん追求してやるのが死者への手向けと言えよう。ただし、それは平時であった場合に限る。今は違った。何を置いても優先すべきことは他にある。それを踏まえて智哉は現実的で非情な決断を下すことにした。
「わかった。それならこの件はこれまでとする。彼女には悪いが、俺達には自殺の動機を探っている時間も、感傷に浸っている余裕もない。例え理由が知れたところでこの先、生き残るのに役に立つとも思えんしな。死んだのが誰であろうと同じだ。冷酷なのは承知している。だからこの決定に不服がある者は今申し出てくれ。そのことで非難したり不利益を被ったりしないと約束する。どうだ? 無いなら彼女のことは一旦忘れろ」
 誰の手も挙がらなかった。それも致し方がないことではある。死んだ人間を可哀想だと安易に同情できるのは、自分が同じ目に遭わないと信じて疑わない者だけだ。沈みかけた船に乗り合わせた乗客が、どうしてタイタニック号の悲劇に思いを馳せることができようか。
「みんなは俺が決めたことに従うだけだ。気に病む必要はない。責めるなら俺を責めろ。だが、これからもこの方針を変える気はない。自殺するならそのことを念頭に入れておけ」
 それで智哉は柴崎綾音の一件を打ち切った。皆が納得したかは不明だが、他にどうしようもなかったことは確かなので、これで少しは動揺が収まることを期待したい。その言葉を待っていたかのように、次に孝和が挙手して発言を求めた。彼は綾音とは最も縁遠かったせいもあり、問題がひと区切り付くまで出しゃばるのを控えていたようだ。
「みんなが悲しみに暮れているところを申し訳ないが、一刻も早く確認しておきたくてね。例の連中との接触がどうなったのかを聞かせて欲しい。見たところ、その怪我とも無関係ではなさそうだが、どうかね?」
 実はここに戻る途中で奴らと接触したことだけは伝えてある。顔を見て驚かれると困ると思ったからだ。それ以上のことは無線でする話ではないので、帰ってから報告するとして詳しいことは何も教えていない。恐らく、先程の会話の最中もずっと気になっていたに違いあるまい。智哉としても勿体付ける気はなかったので、前置き抜きに話を始めた。
「予定通りドローンで連中を発見して戦いもした。男一人はロケット砲で斃したが、別の男一人とは肉弾戦になってこの有様だ。もっともそいつもゾンビに殺られてもうこの世にはいない。他の奴らには逃げられた。これでこちらに交戦の意思があることはバレた。もう不意打ちは通用しないと見て間違いない。俺の存在はまだ知られていないと思うが、絶対ではない。勘の良い奴がいれば、どうして近寄れたのか気付いたかもな。敵の人数は減らせたが、見通しはむしろ不透明になったと言って良いだろう。その理由をこれから話すので、みんなの意見を聞かせてくれ」
 そう言って智哉は自身が見てきたことを細部に渡って詳しく語った。突然、奴らの仲間である女が現れて助けを求めてきたこと。その最中にゾンビが女に迫ったこと。彼女が叫んだ千秋という名前と直後に動きを止めたゾンビ。男と戦闘になった際、奴が口走った言葉。智哉としては先入観のない意見を聞きたかったので、できるだけ主観を交えずに話したつもりだが、果たして上手くいったかは定かでない。それでもその話を聞いて彼女達が導き出す答えが自分の立てた推測に近ければ少なくとも独り善がりの思い込みという愚は避けられよう。それが全員に話して聞かせた智哉の狙いである。そして、ここでも真っ先に発言したのは朋美だった。どうやら彼女は元からいた面子では女性陣最年長ということもあってか、自分が率先して口火を切らねばならないとの使命感が芽生えたらしい。
「簡単なところから整理していきましょうか。まずは千秋という名前だけど、男でも女でも通用するものよね。もっと性別がはっきりした名前なら良かったのに。ここから誰を指しているのかを断言するのは困難だわ。ただ、聞いた感じじゃその名前を叫んだ女の人はあまりグループに馴染んでいなさそうだし、凶暴な男共を呼び捨てにできるほど豪胆でもなさそう。となると例のセーラー服の少女の可能性が一番高いと思うけど、みんなの考えはどう?」
 とりあえず確認の意味で口にしたという調子の朋美のその意見には賛同する者が多かった。ただし、断定するのは危険だという慎重論を唱える声もあり、誰が千秋かという結論は先送りとなった。次いで七瀬が「ゾンビに襲われないはずの女の人が怯えていたのはおかしい」と疑問を呈し、「でも無事だったのは事実なんでしょ?」と日奈子が述べ、「例え襲われなくても怖いのは当然なんじゃないか」と英司が己の考えを披露した。でも、それだと叫んだ意味がわからない、と美鈴が三人の意見を受ける形でこう続けた。
「女の人が叫んだ『止めて』という言葉には、千秋という人がけしかけたと受け取れるニュアンスがあります。それと同時にそう言えば止まることも知っていたかのようです。もしその印象が正しければ、千秋という人はゾンビを集めたり、追い払ったりすることができるんじゃないでしょうか?」
 つまり、ゾンビを操っているということかね? と孝和が疑問の残る顔で訊いた。彼にはまだ腑に落ちないことのようだ。だが、美鈴ははっきりと頷いた。
「はい、そういうことになります。都合良過ぎる考え方の気もしますけど、それを言うなら最初に岩永さんからゾンビを無視できると聞かされた時も、そんなのズルい、と思いましたから。それなら女の人が怯えていたことにも、その後で男の人がゾンビに襲われたことにも説明が付きます。当初、私達が推測していた岩永さんと同じ体質であるなら起こり得ないことです」
 確かに実際にそう叫んでゾンビは止まったわけだしね、偶然にしちゃ出来過ぎよね、と朋美が真顔で呟き、ということはつまり、と七瀬が口にして、ええ、私達は大いに勘違いしていたようね、と絵梨香が意見をまとめた。
「最初に六人全員が岩永さんと同類だと思い込んだのがそもそもの誤りだった。なまじ身近に当人がいたから他の可能性に思いが至らなかったのが原因でしょうね。本当は六人である必要はなかった。その中の一人がゾンビを寄せ付けさえしなければ同じように見えるわ。表面上は全員がゾンビに襲われないようにね」
「岩永さんのような特異な存在が六人も集まったと考えるよりはその方が現実的ではないでしょうか? 本当ならそんな重要人物の名前は秘密にすべきでしょうけど、恐怖に駆られて思わず口走ってしまったとしたら納得できます。もしかしたらゾンビに襲われる演出は千秋という人の独断で、女の人にとっては想定外だったのかも知れません。その結果、本気で怯えてしまった」
「それなら『止めて』と叫ぶ気持ちはわかるわね。自分で仕掛けているわけじゃないんだからさ」
 朋美のその感想に、私だったらお芝居だとしても耐えられない、と沙織がぽつりと零した。みんなも似た気持ちだろう。
 それに男の人の科白にも合致する、と美鈴が付け足した。
「もしも岩永さんと同じ体質なら『千秋と同類か』とは言いません。自分と同じと言うはずです。そう言わなかったのは岩永さんや千秋という人のような能力が自分にはないから。即ち、ゾンビを避けられたのは他人のおかげという証明に外なりません」
 その後でゾンビに襲われたのは? と七瀬が訊ねた。
 これは想像に過ぎない、と断った上で、能力が影響を及ぼす範囲が関係しているのではないか、と美鈴は自らの推論を語った。
「距離に関わりなくゾンビを操れるというのは……これまでの経緯からしてちょっと考えられません。そんなことができるのなら、もっと大々的に数千人とか数万人とかのゾンビ軍団を率いているんじゃないでしょうか。そうなれば一人で世界を救うことも、征服することも思いのままです。たぶんですけど、操れる範囲や数には限りがある。岩永さんの説明によれば男の人と戦いになった時、千秋という人を含めて他の人達は離れて行こうとしていたんですよね? だったらそれにより影響範囲から外れたと見るのが妥当だと思います。元々岩永さんはゾンビに襲われませんから、残された男の人だけが犠牲になったのは当然のことです」
 美鈴がそう話し終えると、それまでずっと無言で耳を傾けていた理沙が、思い切ってという感じで口を開いた。
「考え過ぎかも知れないですけど……フェイクということはあり得ないですか? 今言った推測は全てゾンビに迫られた女の人が本当に恐怖に怯えていたということが前提になっています。でも、それが実は演技で、千秋と呼んだのもこちらを混乱させようとわざとしたのかも。ゾンビを集めようと思えば遺体の一部でも所持していれば可能ですから。その後、何らかの手段でそれを処分して解散させたとは考えられませんか? それにはもちろん、当初の推察通りに女の人が岩永さんと同じ体質であることが絶対条件ですけど。ゾンビを操れると思わせるためのミスリードかも知れません」
「でも、それだと男の人が口走ったことやその後でゾンビに襲われたことと辻褄が合わないんじゃない?」
 日奈子がもっともな疑問を口にする。それに対する理沙の回答は、そこまではわからないというものだった。
「予定外のことが起きたのかも知れませんし、最初から男の人は犠牲にするつもりだったのかも知れません。ただ、そういう可能性も考えに入れた方が良いんじゃないかと思っただけで……。私も本気で信じているわけじゃありませんから。根拠のない憶測でも構わないということだったので言ってみただけです。的外れと思われるなら忘れてください」
 そんなことはないわ、と絵梨香が即座に否定の意を示す。みんなが一つの意見に拘泥しかけている時に別の見方ができるのは貴重だと感心した様子で告げた。それには智哉も同意する。だが、この場合、理沙が言ったことの可能性は低いだろう。直接向き合った者だからこそわかる感覚だ。無論、理沙の意見も頭の片隅に刻んでおく。
 私も自分の意見が絶対に正しいとは思いませんが、そう美鈴は前置きしつつも、ずっと気になっていたことがあったのだと打ち明けた。
「岩永さんから話を伺っていて、どうしてもしっくりこないことがあって。中学生くらいの子や若い女性がそんな凶暴な集団にいることがそうですけど、といっても無理矢理に従わされているわけではないという、これまでの見解を覆すわけではありません。むしろ、その逆で聞けば聞くほど彼女達が中心的役割を果たしているように感じられて。でも、それっておかしいですよね? 暴力的な男の人達が力で劣る少女や女性に従うなんて。けれど、もしも先程言ったように二人のうちのどちらかが──この場合、少女である可能性の方が高いわけですが──ゾンビを操っているとしたら、それも不思議じゃなくなる。逆らうなんてできっこない。私にはやはりセーラー服の少女が千秋だと思えます」
 その美鈴の言葉を聞いて、同世代の娘を持つ親として私には到底信じられない、と孝和が呻くように反対意見を表明する。しかし、その主張は当の娘である沙織によって、私だってそんな能力があれば似たことはしていたよ、との反論であっさりと退けられた。
 それからも議論は続いたが、粗方の意見は出尽くしたようで、これ以上新しい考えは生まれそうになかった。そろそろ頃合いだと感じて智哉は皆に言う。
「みんなの意見はよくわかった。俺も大半の者が予想したように千秋なる人物がゾンビを操れるという説に賛成だ。その正体がセーラー服の少女ということも含めて、大体は俺が考えていた通りだったから自分だけの思い込みじゃないと知れて安心したよ。もちろん、間違っている可能性も完全には捨てない。ただ、全ての可能性を網羅して行動するのは不可能だ。なので、この先は少女がゾンビを操る千秋であるという仮定で進める。そうなると対決の構図は至ってシンプルだ。その少女を排除できるかどうかということに懸かってくる。少女さえいなくなれば残った連中はゾンビから身を護る術を失くしてこちらを襲うどころじゃなくなるだろう。見方を変えれば奴らは何が何でも少女を隠そうとするはずだ。我々の射程内にいてくれれば楽だが、向こうもそこまで考え無しではないだろうしな。もしまだ奴らが諦めていなくて、今後も狙ってくるとしたらだが。楽観的に捉えるわけにはいかない。最悪の事態を考慮して対策を立てる必要がある。その際、鍵となるのはどの程度の距離までゾンビを操れるかということだ。女子大生風の女が立ち去ってから男がゾンビに襲われるまでのタイムラグを考えると、何キロも後方からということにはならないだろうが、少なくとも目の前のゾンビしか操れないということはあるまい。つまり、数百メートルから一キロ程度の距離にいる可能性が高い。要するに基本的な戦術はこれまで通りで良いということだ。襲撃があれば皆には攻撃を惹き付けてもらい、俺が一人で外に出て奴らの居場所を突き止める。標的が少女一人に変わったに過ぎない。無論、見つければ全力で排除するつもりだが、もし俺以外の誰かが少女を発見したら……その時は躊躇わずに撃て。外見に惑わされるな。罪悪感は捨てろ。本当に生き延びたいならな」
 そこまで言うと、話すことはなくなった。これについての異議は認めない、最後にそう付け加えて智哉は話を締め括った。表情に戸惑いや逡巡を浮かべる者も少なくなかったが、敢えてそのことには触れずにおく。特に娘と同じ年頃の少女を殺すという決定に、孝和や晴美は嫌悪感を隠し切れない様子だったが、あとは彼らの問題だ。智哉自身はとっくに覚悟を固めていた。最初に少女を見かけた時の違和感がここに来て黒幕は彼女に違いないとの確信に繋がったからに他ならない。だが、それを見ていない者に心底理解させるのは不可能だろうとも心得ている。だから自分が殺るしかない、そう思い定めていた。
 それからの五日間は何事もなく平穏に過ぎた。さすがにその時分になると、やれることは粗方済ませてしまっており、さりとていつ襲撃があるかわからない状況では外出するわけにもいかず、智哉などは手持無沙汰でいることが多くなった。日中は主に寝て過ごし、真夜中に起きていることが退屈さに拍車を掛けたことも否めない。奴らが最も恐れるのはロケット砲による反撃だろうから、明るいうちは手出しし辛いと考えたのだ。結果、夜間の監視は厳重になった一方、昼の警戒は手薄にならざるを得なかったが、こればかりは限られた人数でのトレードオフなので致し方がないと言えた。
 こうした状況がひと月も続いていればこちらが先に参っていただろうが、幸いにもそうはならなかった。連中もそこまで待ち切れなかったらしい。そうして訪れた六日目の明け方近く。まだ東の空も白み始めていない薄暗がりの中で、予想外の攻撃が智哉達を襲った。
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