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白いポピーに包まれて11
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昴の声は力なかった。
胃の中のものを全て吐き出せばすっきりするが、口の中が気持ち悪く、どっと疲れるのと同様に、彼は心に留めていたものを出し切ることで急激に年を取ったかのように覇気がなくなってしまっていた。私は、これほどまでに昴を苦しめてしまっていたのか、そう思うと辛くなった。昴は、昴自身が元凶であるかのように語ったが、私自身、そう簡単に事実を受け入れることができなかった。
きっとここにいる3人それぞれが自分自身が悪いと思うことで一連の出来事を解決させようとしているように思えたが、これは結局のところ、偶然と不運が重なった結果なのだ。
「昴、ありがとう。話してくれて。ねぇ、凜ちゃん。」
「うん。僕は、僕で助かっていた。あの時、僕は、目標を見失っていた。あのまま僕が独りだったらどうなっていたかわからない。ただただ言われるままに動いていたけど、僕は今、この未来があったことに少しは感謝している。」
「私は、また元通りになろうよ。あとは、翼が戻ってきてくれたらそれでいいかな。」
凛太朗も私も、心はある程度晴れていた。複雑に絡み合っていたものが、紐解かれていったようだった。
「そうだな、翼、戻るといいな。……天音、何度か危ないって言ったと思うけど、俺らは恨まれることが多い。また、あの頃みたいなことが起きたら……」
昴は、私の安全を絶対に保証する方法を今でも探していた。それもそのはずだろう。彼が全てを隠して、背負い込んでいたのは、私のためにしていたことなのだから、でも私の答えは決まっていた。
「全部理解してる。あの時みたいに黙ってないし、ちゃんと言う。」
「……今度こそ、僕が守るよ。ちゃんと。放り出したりしない。」
凛太朗は、私の言葉を聞き終えてすぐに言う。昴に有無を言わさないようにしているように感じた。
「凛太朗……お前、今でも……いや、まぁいい。俺からは、気を付けろ、これだけしか言えない。天音は、もし誰かに何かを聞かれたとしても俺たちのことは、ただの知人で何も知らないと言え。余計なことを言うと巻き込まれるからな。」
私は、こくりと頷く。凛太朗も私の反応を見ている。彼自身も昴の意見には賛成のようだった。彼らがどんな仕事をして、どんな危険に巻き込まれる可能性があるのかは想像外のことだが、昴の言葉に否定もせず、聞いている凛太朗の様子を見る限りは、簡単にまとめ上げることができる問題ではないことがわかる。
「じゃ、俺、そろそろ帰るわ。目的は、達成できたしな。天音、俺が送って行こうか。」
そう言い、ソファから立ち上がった昴に間髪入れず、凛太朗が答える。
「俺が後で送る。まだ話したいことあるし。」
「わかった。ほどほどにしろよ。俺が居ないからってーーー」
「余計な詮索はやめろ、わかってる。」
凛太朗は、不機嫌気味でいじらしく見えた。
「昴、また、どこかへ連れて行ってね。」
私が玄関に向かう昴にそう言い手を振ると昴は振り向き、「ああ、どこへでも連れて行ってやるよ。」と答えるとすぐに扉を開け出て行く。ガチャン、と閉まった扉の音が静かな部屋に響くと、一定の沈黙が流れた。
胃の中のものを全て吐き出せばすっきりするが、口の中が気持ち悪く、どっと疲れるのと同様に、彼は心に留めていたものを出し切ることで急激に年を取ったかのように覇気がなくなってしまっていた。私は、これほどまでに昴を苦しめてしまっていたのか、そう思うと辛くなった。昴は、昴自身が元凶であるかのように語ったが、私自身、そう簡単に事実を受け入れることができなかった。
きっとここにいる3人それぞれが自分自身が悪いと思うことで一連の出来事を解決させようとしているように思えたが、これは結局のところ、偶然と不運が重なった結果なのだ。
「昴、ありがとう。話してくれて。ねぇ、凜ちゃん。」
「うん。僕は、僕で助かっていた。あの時、僕は、目標を見失っていた。あのまま僕が独りだったらどうなっていたかわからない。ただただ言われるままに動いていたけど、僕は今、この未来があったことに少しは感謝している。」
「私は、また元通りになろうよ。あとは、翼が戻ってきてくれたらそれでいいかな。」
凛太朗も私も、心はある程度晴れていた。複雑に絡み合っていたものが、紐解かれていったようだった。
「そうだな、翼、戻るといいな。……天音、何度か危ないって言ったと思うけど、俺らは恨まれることが多い。また、あの頃みたいなことが起きたら……」
昴は、私の安全を絶対に保証する方法を今でも探していた。それもそのはずだろう。彼が全てを隠して、背負い込んでいたのは、私のためにしていたことなのだから、でも私の答えは決まっていた。
「全部理解してる。あの時みたいに黙ってないし、ちゃんと言う。」
「……今度こそ、僕が守るよ。ちゃんと。放り出したりしない。」
凛太朗は、私の言葉を聞き終えてすぐに言う。昴に有無を言わさないようにしているように感じた。
「凛太朗……お前、今でも……いや、まぁいい。俺からは、気を付けろ、これだけしか言えない。天音は、もし誰かに何かを聞かれたとしても俺たちのことは、ただの知人で何も知らないと言え。余計なことを言うと巻き込まれるからな。」
私は、こくりと頷く。凛太朗も私の反応を見ている。彼自身も昴の意見には賛成のようだった。彼らがどんな仕事をして、どんな危険に巻き込まれる可能性があるのかは想像外のことだが、昴の言葉に否定もせず、聞いている凛太朗の様子を見る限りは、簡単にまとめ上げることができる問題ではないことがわかる。
「じゃ、俺、そろそろ帰るわ。目的は、達成できたしな。天音、俺が送って行こうか。」
そう言い、ソファから立ち上がった昴に間髪入れず、凛太朗が答える。
「俺が後で送る。まだ話したいことあるし。」
「わかった。ほどほどにしろよ。俺が居ないからってーーー」
「余計な詮索はやめろ、わかってる。」
凛太朗は、不機嫌気味でいじらしく見えた。
「昴、また、どこかへ連れて行ってね。」
私が玄関に向かう昴にそう言い手を振ると昴は振り向き、「ああ、どこへでも連れて行ってやるよ。」と答えるとすぐに扉を開け出て行く。ガチャン、と閉まった扉の音が静かな部屋に響くと、一定の沈黙が流れた。
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