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白いポピーに包まれて7 sideS
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そのメッセージを最初に見つけたのは、天音でも昴の父親でもなく、昴だった。
家のポストを手に取る役目を担っていたのは、翼か天音だった。しかし、翼が居なくなってからは、翼からの手紙が入っていないか、昴は自然とポストを覗くことが習慣となっていた。
昴が、日付が変わりそうな時刻にポストを覗くと、名刺が入っているのが見えた。何かのセールスだろうか、そう思い、ポストのロックを解錠し、その名刺を手に取る。そこには、昴のバイト先のバーのショップカードが入っていた。疑問に思い、裏面を見る。
『あまねちゃん 先日のケガはよくなりましたか。横に男を連れても、俺は会いに行くよ。』
暗色の名刺に黒い油性マーカーで見えづらくも確かにそう書かれていた。読み終え、昴は全身が冷えていくのがわかる。誰かが天音を狙っており、天音が怪我をしたと書いている。一体誰がそんなことをしたのか、昴は、一瞬にして、様々な考えを巡らせる。
家に帰ると、室内は暗く、家の者は誰も起きていないことが分かった。天音は、ちゃんと帰っているか、と思い部屋をそっと覗くと、規則正しい寝息が聞こえてきた。昴は、無事を確認すると、安堵する。しかし、このメッセージに書かれている意味を聞けてはいない。
天音にこのことを伝えても良いものか、逆に不安にさせてしまうのではないだろうか、翼ならどうするであろうか、自分の未熟さを実感するのに嫌になった。
翌朝、天音の登校時間に合わせて起きる。リビングに入ると、天音は、椅子に座り、朝食の最中だった。天音は、入って来た昴の姿に驚く。
「おはよう。昴、どうしたの?どこか行くの?」
そう言う天音の声色は、ごく自然で、あのカードに書かれていた言葉は嘘だったのではないだろうかと、疑いたくなった。
しかし、天音のスカートの裾から見える白い両膝に残っている赤黒い痣を見ると、それが現実だったのだと落胆する。
「……なぁ、その膝どうしたの?」
そう聞くと、膝をどうにか隠そうとスカートを引っ張り、急にぎこちない態度になる。
「これ、移動教室の時に、階段で転んだの。手がふさがってて、思いっきり転んじゃった。女の子だから、気を付けないとね。あ、昴もご飯食べる?」
矢継早に言う天音は、明らかに話を逸らしたがっていた。
「あぁ。食う。怪我、気を付けろよ。」
「うん、ありがと。」
そう言ってこの話題は終わってしまった。彼女は、何かを隠しているが、昴は、それを聞き出すことができなかった。彼女をこれ以上追い詰める結果になりかねないからだ。
犯人は、少なくとも1階は店に出入りしたことのある誰かであろう、そんな小さな手掛かりでは犯人を見つけるのは、翼を見つけるのと同様に難しかった。しかし、何もしないよりもこつこつと場を生かし、情報を集めることが何かに繋がるかもしれない、そう思い、あの日、大学の構内で出会った麗に声をかけた。
家のポストを手に取る役目を担っていたのは、翼か天音だった。しかし、翼が居なくなってからは、翼からの手紙が入っていないか、昴は自然とポストを覗くことが習慣となっていた。
昴が、日付が変わりそうな時刻にポストを覗くと、名刺が入っているのが見えた。何かのセールスだろうか、そう思い、ポストのロックを解錠し、その名刺を手に取る。そこには、昴のバイト先のバーのショップカードが入っていた。疑問に思い、裏面を見る。
『あまねちゃん 先日のケガはよくなりましたか。横に男を連れても、俺は会いに行くよ。』
暗色の名刺に黒い油性マーカーで見えづらくも確かにそう書かれていた。読み終え、昴は全身が冷えていくのがわかる。誰かが天音を狙っており、天音が怪我をしたと書いている。一体誰がそんなことをしたのか、昴は、一瞬にして、様々な考えを巡らせる。
家に帰ると、室内は暗く、家の者は誰も起きていないことが分かった。天音は、ちゃんと帰っているか、と思い部屋をそっと覗くと、規則正しい寝息が聞こえてきた。昴は、無事を確認すると、安堵する。しかし、このメッセージに書かれている意味を聞けてはいない。
天音にこのことを伝えても良いものか、逆に不安にさせてしまうのではないだろうか、翼ならどうするであろうか、自分の未熟さを実感するのに嫌になった。
翌朝、天音の登校時間に合わせて起きる。リビングに入ると、天音は、椅子に座り、朝食の最中だった。天音は、入って来た昴の姿に驚く。
「おはよう。昴、どうしたの?どこか行くの?」
そう言う天音の声色は、ごく自然で、あのカードに書かれていた言葉は嘘だったのではないだろうかと、疑いたくなった。
しかし、天音のスカートの裾から見える白い両膝に残っている赤黒い痣を見ると、それが現実だったのだと落胆する。
「……なぁ、その膝どうしたの?」
そう聞くと、膝をどうにか隠そうとスカートを引っ張り、急にぎこちない態度になる。
「これ、移動教室の時に、階段で転んだの。手がふさがってて、思いっきり転んじゃった。女の子だから、気を付けないとね。あ、昴もご飯食べる?」
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「あぁ。食う。怪我、気を付けろよ。」
「うん、ありがと。」
そう言ってこの話題は終わってしまった。彼女は、何かを隠しているが、昴は、それを聞き出すことができなかった。彼女をこれ以上追い詰める結果になりかねないからだ。
犯人は、少なくとも1階は店に出入りしたことのある誰かであろう、そんな小さな手掛かりでは犯人を見つけるのは、翼を見つけるのと同様に難しかった。しかし、何もしないよりもこつこつと場を生かし、情報を集めることが何かに繋がるかもしれない、そう思い、あの日、大学の構内で出会った麗に声をかけた。
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