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運命の悪戯15
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今日が凛太朗と一緒に下校する最後の日だった。
一応、明日も学校へ行くことになってはいるが、それは空港へ行く前のわずかな時間だけで、皆と会ってから旅立ちたいという天音の意向を酌んでのことだ。
そのため、凛太朗と共にこの通学路を歩くことはもうしばらくはない。
伝えられることは、ちゃんと伝えておこう。時間には、限りがあった。
「凜ちゃん、今までありがとうね。私、凜ちゃんとずっと学校に通えてすごく楽しかった。高校生になってからは色々あったけどさ……。」
「そうだな。色々あったよ、本当。」
「スイスに行ってもちゃんと連絡するから。」
「……天音さん。」
凛太朗は、そう言うと言葉を区切る。
「何?」
真剣な表情をしている凛太朗を見ると、もしかして、という気持ちが芽生える。彼が次に口にする言葉を足を止め、待つ。
「僕と関わらない方が、いい。」
彼の絞り出した答えに耳を疑う。
「どういうこと。今までずっと関わってきたのに。」
「正直、天音さんがスイスに行くことにホッとしている。人生やり直すじゃないけどさ、危険な目に合わないだろうし。」
「……どうして、凜ちゃんまでそんなこと言うの。私、凜ちゃんだけは、嫌だって言ってくれるって、思ってたのに。」
「ごめん、天音さん。……でも、天音さんのことは―――」
「さよなら、凜ちゃん。」
天音は、凛太朗の言葉を遮り、消え入るような声を絞り出す。そして、振り返ることなく自宅へ駆ける。道沿いには、オレンジ色のマリーゴールドが咲き誇り、運命に引き裂かれた2人を見ているようだった。
一応、明日も学校へ行くことになってはいるが、それは空港へ行く前のわずかな時間だけで、皆と会ってから旅立ちたいという天音の意向を酌んでのことだ。
そのため、凛太朗と共にこの通学路を歩くことはもうしばらくはない。
伝えられることは、ちゃんと伝えておこう。時間には、限りがあった。
「凜ちゃん、今までありがとうね。私、凜ちゃんとずっと学校に通えてすごく楽しかった。高校生になってからは色々あったけどさ……。」
「そうだな。色々あったよ、本当。」
「スイスに行ってもちゃんと連絡するから。」
「……天音さん。」
凛太朗は、そう言うと言葉を区切る。
「何?」
真剣な表情をしている凛太朗を見ると、もしかして、という気持ちが芽生える。彼が次に口にする言葉を足を止め、待つ。
「僕と関わらない方が、いい。」
彼の絞り出した答えに耳を疑う。
「どういうこと。今までずっと関わってきたのに。」
「正直、天音さんがスイスに行くことにホッとしている。人生やり直すじゃないけどさ、危険な目に合わないだろうし。」
「……どうして、凜ちゃんまでそんなこと言うの。私、凜ちゃんだけは、嫌だって言ってくれるって、思ってたのに。」
「ごめん、天音さん。……でも、天音さんのことは―――」
「さよなら、凜ちゃん。」
天音は、凛太朗の言葉を遮り、消え入るような声を絞り出す。そして、振り返ることなく自宅へ駆ける。道沿いには、オレンジ色のマリーゴールドが咲き誇り、運命に引き裂かれた2人を見ているようだった。
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