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春の宴と共に2

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 そして、夕刻となり、陽がもう落ちるということ、再び爛が家を訪ねた。今朝のことは、爛の気まぐれではなかったことに安堵する。彼が中途半端なことをするとは思わないが、何せ常に女の子を周りに連れているような男だ。私は、その女の子の一部に属しているのではないか、女の子を引き連れ私の屋敷に来たらどうしようなどと、実は、不安だったが、現れたのは彼一人だった。

 「本当に来たんだ。」

 そう言うと、爛は呆れ顔になる。

 「僕が、本当にって言うのは、わかるけど、苑は誘われた側だよね。」

 「私、爛のことは少し信頼してないの。」

 「心外だなぁ。」

 「……これでもあの一件以前までは、全くだったのだから喜んでもいいのよ。」

 「褒められた気がしないけど。」

 そう言い、爛家の馬車に乗り込む。馬車は、城までの最短距離を行かないで迂回していく。これは、にぎわう人と馬車の事故を減らすためだ。祭事の際は、こういった交通の整備もされる。普段通れる道もこの日ばかりは通れなくなったりもするので、何も知らなければ、不便をこうむってしまう。初めてこの国に訪れた人は、戸惑うだろう。しかし、上手く利用すれば便利で安全なことこの上ない。

 城下町は、いつもより増して賑わっていた。いつも夕刻に閉まる店もこの祭事の期間中は、夜遅くまで客を呼び込んだり、別の場所に店を出したりと大忙しだ。客として訪れる者も働く者も活気が溢れていた。

 そして、私と先生が生けた花もその宴の渦中にある。

 普段、一般人が城内に出入りすることは少ないが、この日ばかりは違った。城内は、本舞台なのだ。有名な美術品を展示していたり、歌や踊りが披露される。来賓として、他国の著名人が招かれたり、招かれなくともお忍びで訪れる者もいるそうだ。

 私と爛がまず訪れたのは、城だった。そこから南に延びる大通りを歩くのだろう。

 馬車が停止すると、爛は先に降り、私に手を差し出す。迷わずその手を取り、地に足をつける。

 「爛ってこういうの慣れてそうだよね。」

 「男だからこれくらい当り前。無視してさっさと行く男なんて嫌だろ。そんなことより、城内は一周見た方がいいよね。春の宴の醍醐味だろうし。」

 彼は、早々と話を変えてしまう。
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