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結局人頼み
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逃げて逃げてとやりたいところだが、マンティコアは常に祐を攻撃しようとする。
ハルカは何か新しい武器を持ち、俺はさっき痛打を与えたライフルを抱えている。多少の意識はしているようだが。もっと何か注意を引くものがないと。ハルカは通らない攻撃を撃ちつつ、俺は抜け殻になったライフルを構えたふりをしながらマンティコアから逃げ回る。
(やっぱり私も出たほうが?)
(だめだ!祐の攻撃を充てるには最後に動きを止めなきゃいけないんだ)
ふと何か鈍い光が目に入る。ハルカが足を止め魔銃を一丁両手に構え、その光は魔銃が発しているものだった。魔銃にマナを大量に込めているのか?
「やめろ、暴発するぞ!」
「今だけ、少しだけでもとめればいいんでしょ」
魔銃がさらにヤバく光りだしている。
「いっけーーーー!ヒャハーーー」
ドウンッ
轟音と共に魔銃がはじけ飛ぶ。
「キャーーー」『ギィヤアアァアァ』
攻撃はたしかに通じたが致命傷にはならない。舐めていた相手から痛撃を受けた事でマンティコアの意識が倒れたハルカに向いてしまった。慌てて意識を俺に向けようと近づいてライフルを構えた振りをしようとした俺に急に向きを変えて襲い掛かってきた。
「なっ、狙ってやってるのか?!」
パイルバンカーを地面に撃ちつけ回避を試みるが、間に合うか?足が痺れ攻撃を受けた衝撃で吹き飛ばされる。
「ぐあって、ギリギリ間に合ったのか?」
マンティコアは?なぜ笑っている?
足元に真っ二つに圧し折れたライフルが転がっている。糞っ、まずい。マンティコアは好機と祐に向かって走り出そうとしている。なにか、なにかないか?
マンティコアに走り寄りながら必死で考える。
「待ちやがれ」『ガルルオォォーン』駆け寄る俺に顔を向けて咆哮を上げてくる。
「くらいやがれ」硬直を避ける為に叫びながら、別荘の風呂用にストックしてある熱湯を、口の中に呼び出してやる。
『グア』大きなダメージがあるわけではないだろうが、また少し時間を稼げた。
チョロチョロと周囲をうろつく小虫に相当いらついたのだろう、完全に俺のほうに向きなおってしまっている。
そして、祐がマンティコアの死角からアイコンタクトを送ってくる。
(M、真正面からかましてやれ!タリホー!)
「イエッサー」マンティコアの正面に飛び出した一式が両手に支えた盾を叩き付ける。
叩き付けられた盾が爆発した。4号盾はリアクティブアーマーを目指して試作された盾だ。使い捨ての盾はもったいないし他にも問題があって倉庫の肥やしになりそうだったのだが。
同時に左側から倒れこんだままハルカがグレネードを発射していた、魔石自身を榴弾にして撃ちだしてしまう為これも、もったいなくて使えないいう罠。
そして回復してチャンスを伺っていたアデリアさんが後ろから尻尾を切り飛ばして
『『『冥塵雷撃葬』』』
右側から祐の三重攻撃魔法がマンティコアを捉える。
「「「「「やったぞ!」」」」」
マンティコアは上方に向かって飛び上がっていた。そう翼があるもんな。そして常に祐を意識してたよな。最大のダメージを与えたのは祐だし、ただの獣さえ銃や火薬の臭いを警戒するっていうしな。つまり俺もわかってたよ。
上に飛び上がったマンティコアは4号盾の爆発に隠れて放り出された珠梨の剣に肩口から後ろ脚まで斜めに切り裂かれていた。
珠梨は見事にマンティコアの上に呼び出された刃渡り5mもある片刃の大剣を掴み取り、大剣の峰に装着された振りを加速する為ジェットギミックを作動させ飛び上がろうとしたマンティコアに叩き付けることに成功していた。
いかに剣の重さを軽減する能力があるとはいえ普通に振り回したのではマンティコアは躱してしまうだろう。当てる事さえできれば倒せるとは思っていたがうまくいってよかった。
振り抜いた大剣の加速ジェットは止まらず、珠梨はあらぬ方向に飛ばされて、ねずみ花火の如くクルクル回っているが。一度作動させると魔石使い切るまで止まらないから没にしてたんだよなぁ。目を回して乙女にあるまじきキラキラをふりまいた珠梨に泣きながら後でボコられたのも生きているからだよね。
しかし凄いもんだ加速ギミックはあるものの、それ以外はほぼただの剣の形した鉄の塊にすぎないのに滅剣士が振るうとあそこまで切れ味が出るものなのかぁ。自分の攻撃力の無さが身に染みるね。
腰が抜けた。皆もさすがに余裕もなく座り込んでしまっている。座り込んだまま、息の根の止まったマンティコアを回収する。
もう無理、さすがにもう一旦撤退だろう。
「見て、奥に上に上がる階段があるわ」
アデリアさんが指し示す方向を見ると、たしかに階段がある。ボスを倒した事で見えるようになったんだろうか?しかし上がる階段ねえ。
「とりあえず態勢を整えてから階段を上がるわよ」
「さすがにもう帰りたいんですけど」アデリアさんに向かって言い返す。
「わかってるわよ、階層上がったらすぐにマーキングだけして撤退よ。またこんな戦闘するのは懲り懲りよ」
たしかにボスクラスがここにリポップするのかどうかはわからないが、マイクに治癒をかけてもらいアデリアさんを先頭に階段をあがっていく。
「どうゆーこと?」
「なんです?」
その階層にはなにもいなかった。
ハルカは何か新しい武器を持ち、俺はさっき痛打を与えたライフルを抱えている。多少の意識はしているようだが。もっと何か注意を引くものがないと。ハルカは通らない攻撃を撃ちつつ、俺は抜け殻になったライフルを構えたふりをしながらマンティコアから逃げ回る。
(やっぱり私も出たほうが?)
(だめだ!祐の攻撃を充てるには最後に動きを止めなきゃいけないんだ)
ふと何か鈍い光が目に入る。ハルカが足を止め魔銃を一丁両手に構え、その光は魔銃が発しているものだった。魔銃にマナを大量に込めているのか?
「やめろ、暴発するぞ!」
「今だけ、少しだけでもとめればいいんでしょ」
魔銃がさらにヤバく光りだしている。
「いっけーーーー!ヒャハーーー」
ドウンッ
轟音と共に魔銃がはじけ飛ぶ。
「キャーーー」『ギィヤアアァアァ』
攻撃はたしかに通じたが致命傷にはならない。舐めていた相手から痛撃を受けた事でマンティコアの意識が倒れたハルカに向いてしまった。慌てて意識を俺に向けようと近づいてライフルを構えた振りをしようとした俺に急に向きを変えて襲い掛かってきた。
「なっ、狙ってやってるのか?!」
パイルバンカーを地面に撃ちつけ回避を試みるが、間に合うか?足が痺れ攻撃を受けた衝撃で吹き飛ばされる。
「ぐあって、ギリギリ間に合ったのか?」
マンティコアは?なぜ笑っている?
足元に真っ二つに圧し折れたライフルが転がっている。糞っ、まずい。マンティコアは好機と祐に向かって走り出そうとしている。なにか、なにかないか?
マンティコアに走り寄りながら必死で考える。
「待ちやがれ」『ガルルオォォーン』駆け寄る俺に顔を向けて咆哮を上げてくる。
「くらいやがれ」硬直を避ける為に叫びながら、別荘の風呂用にストックしてある熱湯を、口の中に呼び出してやる。
『グア』大きなダメージがあるわけではないだろうが、また少し時間を稼げた。
チョロチョロと周囲をうろつく小虫に相当いらついたのだろう、完全に俺のほうに向きなおってしまっている。
そして、祐がマンティコアの死角からアイコンタクトを送ってくる。
(M、真正面からかましてやれ!タリホー!)
「イエッサー」マンティコアの正面に飛び出した一式が両手に支えた盾を叩き付ける。
叩き付けられた盾が爆発した。4号盾はリアクティブアーマーを目指して試作された盾だ。使い捨ての盾はもったいないし他にも問題があって倉庫の肥やしになりそうだったのだが。
同時に左側から倒れこんだままハルカがグレネードを発射していた、魔石自身を榴弾にして撃ちだしてしまう為これも、もったいなくて使えないいう罠。
そして回復してチャンスを伺っていたアデリアさんが後ろから尻尾を切り飛ばして
『『『冥塵雷撃葬』』』
右側から祐の三重攻撃魔法がマンティコアを捉える。
「「「「「やったぞ!」」」」」
マンティコアは上方に向かって飛び上がっていた。そう翼があるもんな。そして常に祐を意識してたよな。最大のダメージを与えたのは祐だし、ただの獣さえ銃や火薬の臭いを警戒するっていうしな。つまり俺もわかってたよ。
上に飛び上がったマンティコアは4号盾の爆発に隠れて放り出された珠梨の剣に肩口から後ろ脚まで斜めに切り裂かれていた。
珠梨は見事にマンティコアの上に呼び出された刃渡り5mもある片刃の大剣を掴み取り、大剣の峰に装着された振りを加速する為ジェットギミックを作動させ飛び上がろうとしたマンティコアに叩き付けることに成功していた。
いかに剣の重さを軽減する能力があるとはいえ普通に振り回したのではマンティコアは躱してしまうだろう。当てる事さえできれば倒せるとは思っていたがうまくいってよかった。
振り抜いた大剣の加速ジェットは止まらず、珠梨はあらぬ方向に飛ばされて、ねずみ花火の如くクルクル回っているが。一度作動させると魔石使い切るまで止まらないから没にしてたんだよなぁ。目を回して乙女にあるまじきキラキラをふりまいた珠梨に泣きながら後でボコられたのも生きているからだよね。
しかし凄いもんだ加速ギミックはあるものの、それ以外はほぼただの剣の形した鉄の塊にすぎないのに滅剣士が振るうとあそこまで切れ味が出るものなのかぁ。自分の攻撃力の無さが身に染みるね。
腰が抜けた。皆もさすがに余裕もなく座り込んでしまっている。座り込んだまま、息の根の止まったマンティコアを回収する。
もう無理、さすがにもう一旦撤退だろう。
「見て、奥に上に上がる階段があるわ」
アデリアさんが指し示す方向を見ると、たしかに階段がある。ボスを倒した事で見えるようになったんだろうか?しかし上がる階段ねえ。
「とりあえず態勢を整えてから階段を上がるわよ」
「さすがにもう帰りたいんですけど」アデリアさんに向かって言い返す。
「わかってるわよ、階層上がったらすぐにマーキングだけして撤退よ。またこんな戦闘するのは懲り懲りよ」
たしかにボスクラスがここにリポップするのかどうかはわからないが、マイクに治癒をかけてもらいアデリアさんを先頭に階段をあがっていく。
「どうゆーこと?」
「なんです?」
その階層にはなにもいなかった。
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