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第一章 はずれスキル持ちなのだが?
2.ピチピチの18歳なのだが?
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ダメだ。
この二人は良い人過ぎて期待出来ない。
となると、期待出来るのはただ一人。
「レイラとローザだけいれば問題ないのに……」
俺と目を合わせようともせず、そう不貞腐れたように呟くアリアだけだ!
「アリア、失礼だろう?」
アリアの事を諫めようとしてくれたローザを俺は止めた。
「いや
いいんだ。アリアの好きなようにしてくれ」
『さあアリアよ。散々に俺の事を無能と蔑み、出会ったばかりではあるが追放の鉄槌を下すがいい!!』
そう思ったのだが?
流石に初日に追放はギルマスに申し開きが出来ないと思ったのか。
残念ながらアリアはその日、それ以上俺に何かを言ってくれることはなかった。
◇◆◇◆◇
それからしばらくの間、連携の訓練を兼ねて、オレたちは王都周辺のモンスターを四人で狩ってまわる事となった。
「疲れた」
「眠い」
「このネバネバ触りたくない」
「お腹空いた」
「お菓子食べたい」
「喉乾いた」
一見大人し気で口数は少ないものの、アリアはしばしばそんな我儘な子どもの様な事を言った。
そしてそれをレイラが優しく、そして時にローザが厳しく叱ってなだめていたのだが……。
俺はそんなレイラとローザに対し
「まあまあ、アリアもそう言っているんだしいいじゃないか」
と無責任な事をいい、アリアを甘やかせる限り甘やかす事にした。
俺が下手に出てアリアに尽くせば尽くす程、きっとアリアはそれにつけあがり、近いうちに
『アンタみたいなクズ、私のパーティーにはふさわしくないわ!!』
と追放してくれる!
……そう思ったのだが???
「お爺ちゃーーーん」
またレイラに叱られたアリアが、そう言いながら俺の元に駆け寄って来た。
「どうしたアリアや!」
既に毎度おなじみとなった茶番に付き合ってそう返す。
「レイラがご飯の前におやつを食べちゃダメだっていうの! 私、さっきあーんなにがんばったのにぃー」
「そうだ、アリアはさっき大活躍だったもんなぁ。昼食の前にさっき街で買ったクッキー食べるくらいいいよなぁ」
「流石お爺ちゃん! アリアの気持ちを分かってくれるのはお爺ちゃんだけだよ。アリア、お爺ちゃんのこと大好き!!」
「おうおうそうか、お爺ちゃんもアリアの事が大好きじゃよ」
そんな俺とアリアのやり取りを聞いていたローザがやれやれと楽し気に頭を振った。
「無責任に甘やかさないで下さい。私はアリアの体の為を思って言っているんですから」
レイアも口ではそんな事を言っているが表情はどこか楽し気だ。
こんな俺たちのパーティーの事を
『父親役であるローザと母親役のレイア、そして子どものアリアと祖父役のハクタカの一家四人によるほのぼのホームコメディ』
と最初に称したのはどこの誰だっただろうか?
「ホントに。こうして見ていると評判の通り、まるでハクタカさんとアリアさんの関係は日曜の午後六時にやっている国民的人気芝居に出てくるお爺ちゃんと孫の様ですね」
面と向かって顔馴染みとなったギルドの受付嬢にそう言われて以降、なんかしっくり来たらしいアリアが俺の事を
「お爺ちゃーん」
そう呼んで甘えてくるようになってしまった。
『十八のピチピチの青年を捕まえてお爺ちゃんとは何事だ?!』
そう思わないことも無くはなかったが。
……だがまぁ、それはいい。
それより問題は俺のライフプランだ!
アリアにさっさと追放してもらって気楽なスローライフを送るはずだったのに。
「ずっとずっと一緒にいようね、お爺ちゃん」
最初に会った時見た、心を閉ざした堅い表情はどこへやら。
俺の腕にしどけなく寄りかかりながら、年相応に愛らしく、そして酷く無邪気に笑うアリアを見て俺は自業自得ながら、
『この調子では当分追放してもらえそうにないなぁ』
と、深い深い溜息をつくのだった。
この二人は良い人過ぎて期待出来ない。
となると、期待出来るのはただ一人。
「レイラとローザだけいれば問題ないのに……」
俺と目を合わせようともせず、そう不貞腐れたように呟くアリアだけだ!
「アリア、失礼だろう?」
アリアの事を諫めようとしてくれたローザを俺は止めた。
「いや
いいんだ。アリアの好きなようにしてくれ」
『さあアリアよ。散々に俺の事を無能と蔑み、出会ったばかりではあるが追放の鉄槌を下すがいい!!』
そう思ったのだが?
流石に初日に追放はギルマスに申し開きが出来ないと思ったのか。
残念ながらアリアはその日、それ以上俺に何かを言ってくれることはなかった。
◇◆◇◆◇
それからしばらくの間、連携の訓練を兼ねて、オレたちは王都周辺のモンスターを四人で狩ってまわる事となった。
「疲れた」
「眠い」
「このネバネバ触りたくない」
「お腹空いた」
「お菓子食べたい」
「喉乾いた」
一見大人し気で口数は少ないものの、アリアはしばしばそんな我儘な子どもの様な事を言った。
そしてそれをレイラが優しく、そして時にローザが厳しく叱ってなだめていたのだが……。
俺はそんなレイラとローザに対し
「まあまあ、アリアもそう言っているんだしいいじゃないか」
と無責任な事をいい、アリアを甘やかせる限り甘やかす事にした。
俺が下手に出てアリアに尽くせば尽くす程、きっとアリアはそれにつけあがり、近いうちに
『アンタみたいなクズ、私のパーティーにはふさわしくないわ!!』
と追放してくれる!
……そう思ったのだが???
「お爺ちゃーーーん」
またレイラに叱られたアリアが、そう言いながら俺の元に駆け寄って来た。
「どうしたアリアや!」
既に毎度おなじみとなった茶番に付き合ってそう返す。
「レイラがご飯の前におやつを食べちゃダメだっていうの! 私、さっきあーんなにがんばったのにぃー」
「そうだ、アリアはさっき大活躍だったもんなぁ。昼食の前にさっき街で買ったクッキー食べるくらいいいよなぁ」
「流石お爺ちゃん! アリアの気持ちを分かってくれるのはお爺ちゃんだけだよ。アリア、お爺ちゃんのこと大好き!!」
「おうおうそうか、お爺ちゃんもアリアの事が大好きじゃよ」
そんな俺とアリアのやり取りを聞いていたローザがやれやれと楽し気に頭を振った。
「無責任に甘やかさないで下さい。私はアリアの体の為を思って言っているんですから」
レイアも口ではそんな事を言っているが表情はどこか楽し気だ。
こんな俺たちのパーティーの事を
『父親役であるローザと母親役のレイア、そして子どものアリアと祖父役のハクタカの一家四人によるほのぼのホームコメディ』
と最初に称したのはどこの誰だっただろうか?
「ホントに。こうして見ていると評判の通り、まるでハクタカさんとアリアさんの関係は日曜の午後六時にやっている国民的人気芝居に出てくるお爺ちゃんと孫の様ですね」
面と向かって顔馴染みとなったギルドの受付嬢にそう言われて以降、なんかしっくり来たらしいアリアが俺の事を
「お爺ちゃーん」
そう呼んで甘えてくるようになってしまった。
『十八のピチピチの青年を捕まえてお爺ちゃんとは何事だ?!』
そう思わないことも無くはなかったが。
……だがまぁ、それはいい。
それより問題は俺のライフプランだ!
アリアにさっさと追放してもらって気楽なスローライフを送るはずだったのに。
「ずっとずっと一緒にいようね、お爺ちゃん」
最初に会った時見た、心を閉ざした堅い表情はどこへやら。
俺の腕にしどけなく寄りかかりながら、年相応に愛らしく、そして酷く無邪気に笑うアリアを見て俺は自業自得ながら、
『この調子では当分追放してもらえそうにないなぁ』
と、深い深い溜息をつくのだった。
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