ある日 森の中

花咲く 森の道

花咲く森の道をヤギとキノコは進む。
キノコが群れは2人じゃ物足りないだろうと言ったところ、ヤギが知り合いを勧誘してみようと言い出したのだ。

「ヤギ、知り合いってどんな奴？」
「どんなって言われても…空飛ぶトマト？」
「トマトって空飛ぶっけ…？」
そんな会話をしながら歩いていると、ふと上から声が聞こえた。
「はーはっはー！空飛ぶトマトは私だけなのですっ！」
「あ。アネゴそんな所に」
ヤギが上を向いて言う。キノコもそれにつられて上を見ると、そこには小さなコウモリの羽を生やしたミニトマトが浮かんでいた。
「…て、あれ？茸の子だ！」
キノコの姿を見たそのミニトマトは、驚いた声を上げる。
「あれ？どこかで…あ、あの時のミニトマト！」
キノコも驚いた声を上げると、今度はヤギが驚いた声で言った。
「えっ？！アネゴとキノコさん知り合い？！！」
頷いたミニトマトは、ふよふよとキノコの周りを飛び回る。
「ヤギと茸の子も知り合いだったんだね！」
「ミニトマト、ヤギとは数日前に知り合ったばかりだよ」
キノコがミニトマトと呼ぶと、ミニトマトはムッとした声で、
「私のことはアネゴと呼んでくださいっ！」
と言った。

ーしばらくお互いの出会った経緯について話をし、その後はのんびり雑談をしていたのだが。
「あ、忘れてた！」
ヤギは突然そう言うと、アネゴに向かって頭を下げる。
「アネゴ、俺達の群れに入ってください！」
「あ、そうだった。私からもお願いします！」
キノコもヤギと共に頭を下げる。それを見たアネゴは少しも悩む素振りを見せずに、
「ヤギとキノコちゃんがいるならいいよ！」
と言ってニコリと笑った。

ーー花咲く森の道、仲間が1人増えた。