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中編『狩人と護人』
二話
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―――結局討伐対象は見つからず、報酬金は半分に。おまけに怪我をするという
状況に、朝から静也は機嫌が悪かった。
「静兄、腕大丈夫・・・?」
朝食を食べながら、晴樹が心配そうに聞く。
「大丈夫」
静也はそれだけ言うとさっさと朝食を食べ終え、食器を片付けるため立ち上がる。
機嫌悪そうだな・・・なんて晴樹は思いながら、ご飯を口に運んだ。
「・・・今日、ちょっと出掛けてくる」
ふと、静也が言う。
「何処行くの?」
そう晴樹が聞くと、静也は昨夜斬られた腕に手を当てて言った。
「狗神のとこ」
―――携帯で天春を呼び出し、静也は狗神家へ向かう。
扉をノックすると顔を出したのは誠で、静也を見て不安そうな顔をする。
「狗神居るか?」
静也がそう聞くと、誠は頷いて言った。
「今日はちゃんと居るよ!」
こっち!と言って歩き出した誠に付いて行く。
少し歩いた先にあった本殿の扉をノックして、誠は言った。
「お祖父ちゃん、静くん来たー」
本殿の扉がガラリと開く。中から出て来た狗神が、静也を見てボソリと言った。
「随分と不機嫌じゃの・・・」
「・・・うるせえ」
まあ入れと言われ、静也は本殿に足を踏み入れる。
誠も中へ入ると、静也に言った。
「静くん、何があったの?血のニオイがするんだけど・・・」
静也は袖を捲り、昨夜斬られた腕の傷を狗神と誠に見せる。狗神に治癒術を掛けて
もらいながら、静也は言った。
「・・・昨日、妖刀狩りって名乗る人間に襲われたんだ。妖刀使いを殺すのが目的
なのと、何らかの異能力者ってのは分かったんだけど・・・」
動機がさっぱり。そう言った静也に、誠は心配そうな顔をする。
「結局、その妖刀狩りはどうしたんじゃ?」
「攻撃当たらなくて、俺達が逃げた。俺と晴樹の能力は通用してたみたいだけど、
何なんだあいつ・・・」
治療を終え手を離した狗神の言葉に静也はそう言うと、溜息を吐く。
「攻撃当たらないって、避けられたってこと?」
誠がそう聞くと、静也は首を横に振って言った。
「避けられたというよりは、すり抜けてたんだよ。銃弾も刀も蹴りも当たらない、
おまけに目の前に居るのに気配が消えるし・・・」
「・・・中々に厄介そうじゃの」
狗神はそう言うと、立ち上がる。そして扉を開けると、屋根の方を見て言った。
「盗み聞きするくらいなら中へ入れ」
静也が首を傾げると、屋根から誰かが跳び下りる。スタッと綺麗に着地した者の
姿を見て、静也は言った。
「雷羅!」
「やあやあ静也、久しぶりだね!」
雷羅はニコニコと笑いながら手を振る。
本殿の中へと入ってきた雷羅は、静也の頭をポンポンと撫でながら言った。
「大変だったようだね。良ければさっきの話詳しく聞かせてくれないかい?ぼくが
情報を集める手伝いをしてあげるよ!」
ニッコリと笑った雷羅に、静也は機嫌を直したのかありがとうと笑顔で言った。
―――静也は三人に昨夜のことを事細かに伝える。話を聞き終わった雷羅が去って
いった後、狗神が言った。
「山霧の。情報を集めるのは良いが、それからどうするつもりなんじゃ」
「あいつ、また襲ってきそうな気がするんだよな。情報集めて、捕らえるなり説得
するなりして・・・まあ、後は天狗さんにでも任せようかなって」
「妖使いが荒いのも父親譲りじゃの・・・」
静也の言葉に狗神はそう言って溜息を吐く。
「静くん、必要な時は呼んでね!ボクも手伝うから!!」
誠がそう言ってニッコリと笑う。
「うん、ありがとう」
静也はそう言うと、優しく笑った。
状況に、朝から静也は機嫌が悪かった。
「静兄、腕大丈夫・・・?」
朝食を食べながら、晴樹が心配そうに聞く。
「大丈夫」
静也はそれだけ言うとさっさと朝食を食べ終え、食器を片付けるため立ち上がる。
機嫌悪そうだな・・・なんて晴樹は思いながら、ご飯を口に運んだ。
「・・・今日、ちょっと出掛けてくる」
ふと、静也が言う。
「何処行くの?」
そう晴樹が聞くと、静也は昨夜斬られた腕に手を当てて言った。
「狗神のとこ」
―――携帯で天春を呼び出し、静也は狗神家へ向かう。
扉をノックすると顔を出したのは誠で、静也を見て不安そうな顔をする。
「狗神居るか?」
静也がそう聞くと、誠は頷いて言った。
「今日はちゃんと居るよ!」
こっち!と言って歩き出した誠に付いて行く。
少し歩いた先にあった本殿の扉をノックして、誠は言った。
「お祖父ちゃん、静くん来たー」
本殿の扉がガラリと開く。中から出て来た狗神が、静也を見てボソリと言った。
「随分と不機嫌じゃの・・・」
「・・・うるせえ」
まあ入れと言われ、静也は本殿に足を踏み入れる。
誠も中へ入ると、静也に言った。
「静くん、何があったの?血のニオイがするんだけど・・・」
静也は袖を捲り、昨夜斬られた腕の傷を狗神と誠に見せる。狗神に治癒術を掛けて
もらいながら、静也は言った。
「・・・昨日、妖刀狩りって名乗る人間に襲われたんだ。妖刀使いを殺すのが目的
なのと、何らかの異能力者ってのは分かったんだけど・・・」
動機がさっぱり。そう言った静也に、誠は心配そうな顔をする。
「結局、その妖刀狩りはどうしたんじゃ?」
「攻撃当たらなくて、俺達が逃げた。俺と晴樹の能力は通用してたみたいだけど、
何なんだあいつ・・・」
治療を終え手を離した狗神の言葉に静也はそう言うと、溜息を吐く。
「攻撃当たらないって、避けられたってこと?」
誠がそう聞くと、静也は首を横に振って言った。
「避けられたというよりは、すり抜けてたんだよ。銃弾も刀も蹴りも当たらない、
おまけに目の前に居るのに気配が消えるし・・・」
「・・・中々に厄介そうじゃの」
狗神はそう言うと、立ち上がる。そして扉を開けると、屋根の方を見て言った。
「盗み聞きするくらいなら中へ入れ」
静也が首を傾げると、屋根から誰かが跳び下りる。スタッと綺麗に着地した者の
姿を見て、静也は言った。
「雷羅!」
「やあやあ静也、久しぶりだね!」
雷羅はニコニコと笑いながら手を振る。
本殿の中へと入ってきた雷羅は、静也の頭をポンポンと撫でながら言った。
「大変だったようだね。良ければさっきの話詳しく聞かせてくれないかい?ぼくが
情報を集める手伝いをしてあげるよ!」
ニッコリと笑った雷羅に、静也は機嫌を直したのかありがとうと笑顔で言った。
―――静也は三人に昨夜のことを事細かに伝える。話を聞き終わった雷羅が去って
いった後、狗神が言った。
「山霧の。情報を集めるのは良いが、それからどうするつもりなんじゃ」
「あいつ、また襲ってきそうな気がするんだよな。情報集めて、捕らえるなり説得
するなりして・・・まあ、後は天狗さんにでも任せようかなって」
「妖使いが荒いのも父親譲りじゃの・・・」
静也の言葉に狗神はそう言って溜息を吐く。
「静くん、必要な時は呼んでね!ボクも手伝うから!!」
誠がそう言ってニッコリと笑う。
「うん、ありがとう」
静也はそう言うと、優しく笑った。
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