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卒業編
試験
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―――筋肉痛も無事に治り、俺と晴樹は実習を再開する。麗奈さんには俺のことを
ちゃんと話し、事情を把握してもらった。
泊まりでの実習だと言われ行った先が霧ヶ山で、天狗さんと狗神に麗奈さんが謝られ
ていたり、家族で出掛けている最中だった和正と晃さんに偶然出会って、二人を巻き
込んで妖討伐したり・・・。
そしてあっという間に時は流れ、3月。
「卒業試験やだなー・・・」
ある日の朝、寮の部屋で誠がそう言いながら制服を着る。
「これで落ちたらどうなるんだろうな」
ネクタイを締めながら俺が言うと、誠が嫌そうな顔をして言った。
「学力試験の方、自信ないんだって!そういうこと言わないで!!」
「ごめんって。・・・というか、誠ちゃんと勉強してただろ」
「したよ、したけどさあ・・・。静くんは心配にならないの?」
「え?俺は別に」
「良いなあ・・・」
そんな会話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。
扉を開けると、そこには晴樹と和正が立っていて。晴樹は俺を見てニッコリと
笑うと言った。
「静兄、一緒に行こ!」
「誠も早くしろよ、遅れるぞー」
和正がそう言ってベッドに腰掛けている誠を見る。
誠は溜息を吐くと渋々立ち上がり、鞄を持った。
「そんな心配しなくても、何とかなるって!」
俺がそう言って笑うと、誠の耳が垂れ下がった。
そう、今日は卒業試験。俺達が卒業できるかどうかを決める、大事な試験の日だ。
―――午前の学力試験が終わり、午後の異能力系の試験を前に緊張した空気が
流れる。そんな中、俺達はいつも通り屋上で昼食を食べていた。
「誠、大丈夫か・・・?」
静かにモソモソとパンを食べる誠に、和正が話し掛ける。
「大丈夫、多分大丈夫・・・」
不安そうな顔でそう答えた誠に、苦笑いを浮かべる。
「午後の試験って、何するんでしょうね?」
清水さんがそう言って首を傾げると、彩音が言った。
「確かに、何するのか伝えられてないわよね。・・・まさか、妖討伐とか?」
「有り得なくはないね・・・」
晴樹はお茶を飲みながらそう言うと、俺を見た。
「静兄、また無理して暴走なんてしないでね?」
晴樹の言葉に、皆が不安そうな顔をする。
まあ、あんなの見せられたらそうなるよな・・・なんて思いつつ、俺は頷いて
言った。
「大きな怪我しなきゃ大丈夫だろうって雨谷も言ってたし、それだけ気を付けるよ」
「何かあったら言ってね、すぐ治しに行くから!」
誠がそう言ってニッコリと笑う。何だか申し訳ない気持ちになっていると、和正が
言った。
「ちゃんと頼れよ、友達だろ?」
うんうんと皆が頷く。
ありがとうと俺は笑って、唐揚げを口に放り込んだ。
ちゃんと話し、事情を把握してもらった。
泊まりでの実習だと言われ行った先が霧ヶ山で、天狗さんと狗神に麗奈さんが謝られ
ていたり、家族で出掛けている最中だった和正と晃さんに偶然出会って、二人を巻き
込んで妖討伐したり・・・。
そしてあっという間に時は流れ、3月。
「卒業試験やだなー・・・」
ある日の朝、寮の部屋で誠がそう言いながら制服を着る。
「これで落ちたらどうなるんだろうな」
ネクタイを締めながら俺が言うと、誠が嫌そうな顔をして言った。
「学力試験の方、自信ないんだって!そういうこと言わないで!!」
「ごめんって。・・・というか、誠ちゃんと勉強してただろ」
「したよ、したけどさあ・・・。静くんは心配にならないの?」
「え?俺は別に」
「良いなあ・・・」
そんな会話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。
扉を開けると、そこには晴樹と和正が立っていて。晴樹は俺を見てニッコリと
笑うと言った。
「静兄、一緒に行こ!」
「誠も早くしろよ、遅れるぞー」
和正がそう言ってベッドに腰掛けている誠を見る。
誠は溜息を吐くと渋々立ち上がり、鞄を持った。
「そんな心配しなくても、何とかなるって!」
俺がそう言って笑うと、誠の耳が垂れ下がった。
そう、今日は卒業試験。俺達が卒業できるかどうかを決める、大事な試験の日だ。
―――午前の学力試験が終わり、午後の異能力系の試験を前に緊張した空気が
流れる。そんな中、俺達はいつも通り屋上で昼食を食べていた。
「誠、大丈夫か・・・?」
静かにモソモソとパンを食べる誠に、和正が話し掛ける。
「大丈夫、多分大丈夫・・・」
不安そうな顔でそう答えた誠に、苦笑いを浮かべる。
「午後の試験って、何するんでしょうね?」
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「有り得なくはないね・・・」
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「静兄、また無理して暴走なんてしないでね?」
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まあ、あんなの見せられたらそうなるよな・・・なんて思いつつ、俺は頷いて
言った。
「大きな怪我しなきゃ大丈夫だろうって雨谷も言ってたし、それだけ気を付けるよ」
「何かあったら言ってね、すぐ治しに行くから!」
誠がそう言ってニッコリと笑う。何だか申し訳ない気持ちになっていると、和正が
言った。
「ちゃんと頼れよ、友達だろ?」
うんうんと皆が頷く。
ありがとうと俺は笑って、唐揚げを口に放り込んだ。
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