異能力と妖と

彩茸

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妖刀編

証明

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―――次の日の朝。昨日よりも動くようになった体で、僕は建物の周辺をブラブラと
していた。
そんなすぐには治らないか・・・なんて考えながら歩いていると、後ろから声が
掛かる。振り向くと、そこには雨谷が立っていた。

「おはよ~!散歩中?」

 ヘラヘラと笑う雨谷に挨拶を返すと、雨谷は僕に近付いて来る。
 そして懐から灰色の石を取り出すと、僕に差し出した。

「これ、シズちんが持ってなよ」

「何これ・・・?」

 石を受け取り首を傾げると、雨谷は覚えてないの~?と笑う。そして、少し声の
 トーンを落とすと真剣な表情で言った。

「それは『殺生石』。九尾の狐限定の討伐証明だよ」

「え・・・」

「オイラ、シズちんが笑いながら戦ってる最中に目が覚めてね。体動かなくてただ
 眺めるだけだったんだけど・・・君が狐の首を斬った後、夜月で石をつついてたの
 覚えてない?」

 記憶が曖昧だが、言われてみれば確かにそんなことをしていたかもしれない。
 そうだったかもと頷くと、雨谷は少し困った顔をして言った。

「あの状態のシズちん、諸刃の剣なんだよね~。狗神ぐらい治癒に長けた奴が傍に
 いないと、多分シズちん死んじゃうよ?」

「そんなこと言われても・・・」

「・・・あー、じゃあこうしよう」

 雨谷はそう言うと、僕の目をじっと見る。
 また雨谷の目に吸い込まれそうな気分になっていると、彼は言った。

「シズちん、戦ってる最中でって感じたら、すぐに戦闘を止めて。頭が
 暴走の感覚を覚えちゃってるから、ちょっと難しいかもしれないけど・・・
 できる?」

 僕が頷くと、雨谷はニッコリと笑う。
 体が軽くなる感覚と同時に、疑問が湧いてきた。

「そういえば、何で僕が楽しいって思ってるって分かったんだ?」

「実は昨日の夜、狗神と色々話してね~。雷羅だっけ?その子との戦いの話も聞い
 たんだ」

 雨谷はヘラヘラと笑うと、戻ろうかと言って歩き出す。
 僕も隣に並んで歩いていると、雨谷が言った。

「・・・その殺生石、校長先生に直に見せに行きなよ?実践授業みたいに先生に
 見せるだけじゃ信用してもらえないだろうからね~」

「えっ、何で雨谷が実践授業のこと知ってるんだ」

 驚いた僕に、雨谷はキョトンとした顔で言った。

「タケちんから聞いたんだよ」

「何で父さんが学校の話を・・・」

「オイラがタケちんに初めて会いに行ったとき、タケちんまだ学生だったからね。
 ここに遊びに来たとき、学校のことペラペラ喋ってたよ~?」

 思わず溜息を吐く。何で妖に学校のこと話しちゃうかな・・・。

「ね、タケちん結構テキトーでしょ~?」

 そう言って雨谷は笑う。そうだな・・・と僕は呟いて、空を見上げた。
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