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強化合宿編
昼休
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―――次の日には、合同授業での出来事が噂を通して広がっていた。
晴樹がキレて誠と殺し合いになりかけたこと、僕と山野がお互いの味方を止めた
こと、いつも喧嘩している僕と山野が珍しく仲良さそうに見えたこと・・・。
多少尾ひれは付いていたが、大方事実通りだった。
「成長したな、静也」
和正がニコニコと笑いながら言う。昼休みの屋上で、僕達は昼食を食べていた。
「・・・別に、あいつと仲良くする気はない」
僕はそう言ってパンを口に運ぶ。
「気持ちは分かるけど、あそこまで息ピッタリだと仲良しって思われても仕方ないと
思うんだよね」
誠がそう言って、ねー?と晴樹を見る。
「僕もあいつ嫌いだけど、流石に静兄みたいに毎回喧嘩するほどじゃないし。
・・・やっぱり逆に仲良いんじゃないの?」
そう言っておむすびを食べる晴樹に、彩音が聞いた。
「あの噂って、やっぱり本当だったの?」
晴樹は大体そうと頷くと、清水さんを見る。
「・・・あの後、放課後まで寝てたけど。大丈夫なの?」
お茶を飲んでいた清水さんはうんと頷くと、苦笑いを浮かべて言った。
「昨日は狗神くんにすぐやられちゃってごめんね。・・・やっぱり、まだまだ
晴樹くんには追い付けないや」
「あれは誠が悪いです」
僕がそう言うと、誠が本当にごめんと清水さんに謝った。
清水さんは大丈夫ですよと笑うと、僕を見る。
「そういえば、お兄さんが狗神くんを止めたんですよね?」
「はい、そうですけど・・・」
「どうやったんですか?!私、狗神くんの攻撃全然見えなくて!!」
僕は、えっと・・・と晴樹を見る。
「・・・何で僕を見るの」
晴樹にジト目で返され、うーん・・・と悩む。
「何を悩んでるのよ」
彩音に聞かれ、僕は困った顔をしながら清水さんに言った。
「どうやったというか、普通に見えてたというか・・・」
「え?!あの速い攻撃をですか?!!」
キラキラとした目で僕を見る清水さんに、晴樹が言った。
「・・・僕も静兄も、昔からもっと速い攻撃見てるから。誠くんぐらいの速さなら、
普通に見える」
「もっと速い攻撃・・・?」
首を傾げた清水さんに、僕と晴樹は頷く。
「大妖怪の攻撃速度は、あれ以上」
晴樹の言葉に、和正と誠があーと声を上げる。彩音もそういえばそうねと頷いて
いた。
一方清水さんはそうなの・・・?と困惑した表情を浮かべる。
「まあ、大妖怪じゃなくても素早い妖はいますけどね。クリスマスパーティーの
ときの中妖怪は速すぎて見えませんでしたし」
僕がそう言うと、清水さんはなるほどと頷いた。
「まあ、慣れとしか言いようがないよね」
誠がそう言うと、清水さんは困った顔をする。そんな清水さんを見て、和正が
言った。
「実際に大妖怪と手合わせすれば慣れるんじゃないか?」
「ええっ?!!」
清水さんの正気かと言いたげなその顔に、和正はキョトンとした顔をして首を
傾げる。
「和正が静也色に染まってる・・・」
そう呟いた彩音に、誠が吹き出す。
「待て、何で僕なんだ」
「だって静也、よく狗神さんと戦ってるじゃない」
僕の言葉に彩音がそう言うと、晴樹が頷いて言った。
「確かに、稽古はつけてもらってる。・・・あと、喧嘩もしてる」
「え、静くんお祖父ちゃんと喧嘩してるの?!」
誠が驚いた顔で僕を見る。いや、その・・・と僕が目を逸らすと、晴樹が言った。
「この前は、狗神さんが静兄の稲荷寿司を勝手に食べて喧嘩に。その前は、狗神さん
が静兄を煽って喧嘩になってた」
「ほぼお祖父ちゃんの所為じゃん・・・」
そう言って頭を抱えた誠に、僕は苦笑いを浮かべる。
「えっと私、狗神さんと会ったことないんですけど・・・」
「そっか、お祖父ちゃんの話はしたけど実際に会ってはいないんだっけ」
清水さんの言葉に誠はそう言うと、僕を見た。
「ねえ静くん、冬休みに強化合宿しない?静くん達の地元で」
「え、晴樹が良いなら良いけど・・・」
僕がそう言って晴樹を見ると、晴樹は清水さんをじっと見て言った。
「・・・清水さんがやる気なら、良いよ」
清水さんは嬉しそうな顔をして、ブンブンと首を縦に振る。
「強くなれるなら、私頑張る!」
そう言って笑った清水さんを見て、晴樹も小さく笑みを浮かべる。
晴樹は清水さんに心を開いたんだなあと思いながら、僕は2つ目のパンの袋を
開けた。
晴樹がキレて誠と殺し合いになりかけたこと、僕と山野がお互いの味方を止めた
こと、いつも喧嘩している僕と山野が珍しく仲良さそうに見えたこと・・・。
多少尾ひれは付いていたが、大方事実通りだった。
「成長したな、静也」
和正がニコニコと笑いながら言う。昼休みの屋上で、僕達は昼食を食べていた。
「・・・別に、あいつと仲良くする気はない」
僕はそう言ってパンを口に運ぶ。
「気持ちは分かるけど、あそこまで息ピッタリだと仲良しって思われても仕方ないと
思うんだよね」
誠がそう言って、ねー?と晴樹を見る。
「僕もあいつ嫌いだけど、流石に静兄みたいに毎回喧嘩するほどじゃないし。
・・・やっぱり逆に仲良いんじゃないの?」
そう言っておむすびを食べる晴樹に、彩音が聞いた。
「あの噂って、やっぱり本当だったの?」
晴樹は大体そうと頷くと、清水さんを見る。
「・・・あの後、放課後まで寝てたけど。大丈夫なの?」
お茶を飲んでいた清水さんはうんと頷くと、苦笑いを浮かべて言った。
「昨日は狗神くんにすぐやられちゃってごめんね。・・・やっぱり、まだまだ
晴樹くんには追い付けないや」
「あれは誠が悪いです」
僕がそう言うと、誠が本当にごめんと清水さんに謝った。
清水さんは大丈夫ですよと笑うと、僕を見る。
「そういえば、お兄さんが狗神くんを止めたんですよね?」
「はい、そうですけど・・・」
「どうやったんですか?!私、狗神くんの攻撃全然見えなくて!!」
僕は、えっと・・・と晴樹を見る。
「・・・何で僕を見るの」
晴樹にジト目で返され、うーん・・・と悩む。
「何を悩んでるのよ」
彩音に聞かれ、僕は困った顔をしながら清水さんに言った。
「どうやったというか、普通に見えてたというか・・・」
「え?!あの速い攻撃をですか?!!」
キラキラとした目で僕を見る清水さんに、晴樹が言った。
「・・・僕も静兄も、昔からもっと速い攻撃見てるから。誠くんぐらいの速さなら、
普通に見える」
「もっと速い攻撃・・・?」
首を傾げた清水さんに、僕と晴樹は頷く。
「大妖怪の攻撃速度は、あれ以上」
晴樹の言葉に、和正と誠があーと声を上げる。彩音もそういえばそうねと頷いて
いた。
一方清水さんはそうなの・・・?と困惑した表情を浮かべる。
「まあ、大妖怪じゃなくても素早い妖はいますけどね。クリスマスパーティーの
ときの中妖怪は速すぎて見えませんでしたし」
僕がそう言うと、清水さんはなるほどと頷いた。
「まあ、慣れとしか言いようがないよね」
誠がそう言うと、清水さんは困った顔をする。そんな清水さんを見て、和正が
言った。
「実際に大妖怪と手合わせすれば慣れるんじゃないか?」
「ええっ?!!」
清水さんの正気かと言いたげなその顔に、和正はキョトンとした顔をして首を
傾げる。
「和正が静也色に染まってる・・・」
そう呟いた彩音に、誠が吹き出す。
「待て、何で僕なんだ」
「だって静也、よく狗神さんと戦ってるじゃない」
僕の言葉に彩音がそう言うと、晴樹が頷いて言った。
「確かに、稽古はつけてもらってる。・・・あと、喧嘩もしてる」
「え、静くんお祖父ちゃんと喧嘩してるの?!」
誠が驚いた顔で僕を見る。いや、その・・・と僕が目を逸らすと、晴樹が言った。
「この前は、狗神さんが静兄の稲荷寿司を勝手に食べて喧嘩に。その前は、狗神さん
が静兄を煽って喧嘩になってた」
「ほぼお祖父ちゃんの所為じゃん・・・」
そう言って頭を抱えた誠に、僕は苦笑いを浮かべる。
「えっと私、狗神さんと会ったことないんですけど・・・」
「そっか、お祖父ちゃんの話はしたけど実際に会ってはいないんだっけ」
清水さんの言葉に誠はそう言うと、僕を見た。
「ねえ静くん、冬休みに強化合宿しない?静くん達の地元で」
「え、晴樹が良いなら良いけど・・・」
僕がそう言って晴樹を見ると、晴樹は清水さんをじっと見て言った。
「・・・清水さんがやる気なら、良いよ」
清水さんは嬉しそうな顔をして、ブンブンと首を縦に振る。
「強くなれるなら、私頑張る!」
そう言って笑った清水さんを見て、晴樹も小さく笑みを浮かべる。
晴樹は清水さんに心を開いたんだなあと思いながら、僕は2つ目のパンの袋を
開けた。
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