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強化合宿編
合同
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―――僕と晴樹は帰省し、家でのんびりと過ごす。たまに天春達と遊んだり、狗神と
天狗さんに稽古をつけてもらったり・・・。
気付けば夏休みは終わり、授業が始まった。未だ実践授業は再開されず、合同授業
ばかり行っていた。
ある日の合同授業。今日の相手はB組、晴樹達のクラスだった。
いつも通り代表者決めのゲームが行われ、代表者が発表される。今回は誠がやる気を
出したらしく、C組の代表は僕と誠と笹野くんとなった。
ちらりとB組の方を見ると、代表者を発表している最中だった。晴樹と清水さんが
呼ばれ、あと一人。誰だろうと思っていると、聞きたくない名前が聞こえた。
「最後の代表者は、山野くんです!」
僕が嫌な顔をしていたことに気付いた誠と笹野くんが、苦笑いで僕を見る。
「試合中に喧嘩はしないでくださいね・・・?」
「喧嘩しててもボク止めないからね~」
笹野くんと誠に言われ、僕は無言で頷いた。
―――先生達の合図と共に、試合が始まった。
先手必勝と言わんばかりに、晴樹が能力を発動させ姿を消した。後ろから、カハッと
声が聞こえる。振り向くと、笹野くんが倒れていた。
B組から歓声が上がる。僕と誠が顔を見合わせると、隣から声がした。
「・・・ボーっとしてたら、負けるよ」
とっさに僕は後ろへ飛び退く。その瞬間、目の前を何かが掠めた気がした。
僕は能力を発動させ、自分の周りに霧を出す。するとぼんやりとだが、晴樹の
輪郭が見えた。
そこに向かって、僕は拳を突き出す。少し掠った感触がした後、目の前の景色が
歪んだ。
「対策早くない?」
晴樹はちょっとムッとした顔でそう言った後、後ろに下がる。
いつの間にか後ろに回り込んでいた山野の攻撃を避け、ちらりと誠を見る。
どうやら誠は清水さんと追いかけっこをしているようで、必死な表情で追いかける
清水さんから、楽しそうに笑いながら逃げていた。
「誠ー、こっち二対一なんだけど」
晴樹と山野の攻撃を避けながら言う。
すると、誠はハッとした顔をして立ち止まった。
「ごめん、終わらせるー」
誠はそう言って、誠を捕まえようとした清水さんの鳩尾を赤黒い炎を纏わせた足で
思いっ切り蹴った。清水さんは吹っ飛び、壁に激突する。
壁がパラパラと崩れていたので、かなりの衝撃だったのだろう。血を吐いて気絶
した清水さんを見て、やり過ぎなんじゃないか?と思う。
他の生徒達も同じことを思っていたようで、ザワザワとしていた。
「誠、くん・・・?」
底冷えするような声が聞こえた。ハッとして晴樹を見ると、無表情で誠を見つめて
いた。
・・・あ、これは、ヤバい。
「しっ、死んでない!死んでないからセーフ!!」
慌ててそう言った誠に、晴樹は殴り掛かる。誠はそれを避けると、晴樹に殴り
掛かった。
無表情のまま晴樹はそれを受け止めると、誠を睨みつけて言った。
「・・・僕の友達に、何てことしてくれたんだ」
「ご、ごめんなさい・・・」
誠は青い顔をすると、晴樹から距離を取る。
攻防が始まった彼らをヒヤヒヤしながら見ていると、同じく二人を眺めていた
山野が言った。
「お前の弟、お前と違って大人しい奴だと思ってたんだがな。・・・お前と違って」
「何で二回も言ったんですか」
僕の言葉に、山野は僕をちらりと見て鼻で笑う。イラっとして山野を睨みつける
と、山野も僕を睨んできた。
暫く睨み合っていると、ドゴンッと音がした。驚いて音のした方を見ると、誠が
床を思いっ切り殴っていた。
顔を上げた誠は、狂気じみた笑みを浮かべていて。大丈夫かなと晴樹の方を見る
と、晴樹は殺気の籠った目で誠を見ていた。
あれヤバいんじゃないか・・・?と、誰かが言う。
隣で、山野の舌打ちが聞こえた。
天狗さんに稽古をつけてもらったり・・・。
気付けば夏休みは終わり、授業が始まった。未だ実践授業は再開されず、合同授業
ばかり行っていた。
ある日の合同授業。今日の相手はB組、晴樹達のクラスだった。
いつも通り代表者決めのゲームが行われ、代表者が発表される。今回は誠がやる気を
出したらしく、C組の代表は僕と誠と笹野くんとなった。
ちらりとB組の方を見ると、代表者を発表している最中だった。晴樹と清水さんが
呼ばれ、あと一人。誰だろうと思っていると、聞きたくない名前が聞こえた。
「最後の代表者は、山野くんです!」
僕が嫌な顔をしていたことに気付いた誠と笹野くんが、苦笑いで僕を見る。
「試合中に喧嘩はしないでくださいね・・・?」
「喧嘩しててもボク止めないからね~」
笹野くんと誠に言われ、僕は無言で頷いた。
―――先生達の合図と共に、試合が始まった。
先手必勝と言わんばかりに、晴樹が能力を発動させ姿を消した。後ろから、カハッと
声が聞こえる。振り向くと、笹野くんが倒れていた。
B組から歓声が上がる。僕と誠が顔を見合わせると、隣から声がした。
「・・・ボーっとしてたら、負けるよ」
とっさに僕は後ろへ飛び退く。その瞬間、目の前を何かが掠めた気がした。
僕は能力を発動させ、自分の周りに霧を出す。するとぼんやりとだが、晴樹の
輪郭が見えた。
そこに向かって、僕は拳を突き出す。少し掠った感触がした後、目の前の景色が
歪んだ。
「対策早くない?」
晴樹はちょっとムッとした顔でそう言った後、後ろに下がる。
いつの間にか後ろに回り込んでいた山野の攻撃を避け、ちらりと誠を見る。
どうやら誠は清水さんと追いかけっこをしているようで、必死な表情で追いかける
清水さんから、楽しそうに笑いながら逃げていた。
「誠ー、こっち二対一なんだけど」
晴樹と山野の攻撃を避けながら言う。
すると、誠はハッとした顔をして立ち止まった。
「ごめん、終わらせるー」
誠はそう言って、誠を捕まえようとした清水さんの鳩尾を赤黒い炎を纏わせた足で
思いっ切り蹴った。清水さんは吹っ飛び、壁に激突する。
壁がパラパラと崩れていたので、かなりの衝撃だったのだろう。血を吐いて気絶
した清水さんを見て、やり過ぎなんじゃないか?と思う。
他の生徒達も同じことを思っていたようで、ザワザワとしていた。
「誠、くん・・・?」
底冷えするような声が聞こえた。ハッとして晴樹を見ると、無表情で誠を見つめて
いた。
・・・あ、これは、ヤバい。
「しっ、死んでない!死んでないからセーフ!!」
慌ててそう言った誠に、晴樹は殴り掛かる。誠はそれを避けると、晴樹に殴り
掛かった。
無表情のまま晴樹はそれを受け止めると、誠を睨みつけて言った。
「・・・僕の友達に、何てことしてくれたんだ」
「ご、ごめんなさい・・・」
誠は青い顔をすると、晴樹から距離を取る。
攻防が始まった彼らをヒヤヒヤしながら見ていると、同じく二人を眺めていた
山野が言った。
「お前の弟、お前と違って大人しい奴だと思ってたんだがな。・・・お前と違って」
「何で二回も言ったんですか」
僕の言葉に、山野は僕をちらりと見て鼻で笑う。イラっとして山野を睨みつける
と、山野も僕を睨んできた。
暫く睨み合っていると、ドゴンッと音がした。驚いて音のした方を見ると、誠が
床を思いっ切り殴っていた。
顔を上げた誠は、狂気じみた笑みを浮かべていて。大丈夫かなと晴樹の方を見る
と、晴樹は殺気の籠った目で誠を見ていた。
あれヤバいんじゃないか・・・?と、誰かが言う。
隣で、山野の舌打ちが聞こえた。
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