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夏季休暇編
驚愕
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―――コーヒーを飲み終わった僕達は、お礼を言ってテントを出る。
皆の所に戻ろうと歩き出した時、男性に呼び止められた。
「送るよ」
男性はそう言ってニッコリ笑う。ちらりと和正を見ると、和正は無言で頷いた。
歩きながら、男性は僕達に学校のことを聞く。僕達はそれに答え、軽く雑談を
する。
特に話すこともなくなった頃、テントに到着した。
「ああそうだ、連絡先聞いてなかったね」
教えてくれるかな?と男性が和正を見ると、和正はちょっと待っててくださいと
言ってテントへ入っていった。
少しして、携帯を持った和正が戻って来る。男性は和正と連絡先を交換すると、
ありがとうと言って手を振りながら帰っていった。
「・・・静兄、あれ誰?」
男性が去った後、晴樹がテントから顔を覗かせて僕を見る。
「照真くんの父親だよ。あと・・・」
言おうかどうしようか悩んでいると、晴樹が静兄?と首を傾げる。
僕は苦笑いを浮かべ、晴樹に言った。
「父さんの、後輩だった」
「はあ?!」
晴樹と再会してから、ここまで驚いた顔をする晴樹は初めて見た。晴樹の声に
驚いたのか、起きていた人達が僕達を見る。
「え、待って、どういうこと?後輩って、学校の??」
混乱した様子の晴樹を見て、和正が笑う。和正を睨みつけた晴樹に、僕は言った。
「父さん、月陰学園の卒業生だったみたいなんだよ。で、さっきの人が父さんの
二個下の後輩だったらしい」
「え・・・ってことは、お父さん異能力者だったの?」
「まあ、そうなるんじゃないか?」
前に狗神が、父さんは祓い屋まがいのことをしていたと言っていた。それを考える
と、父さんが月陰学園の卒業生だったとしてもあり得ない話ではないように思えて
くる。
ただ、僕は父さんが何の異能力を持っていたかは知らない。使ってる素振りなんて
一度も見せなかったから。
「世間って狭いね・・・」
そう呟いた晴樹に、和正はうんうんと頷いた。
―――朝食を食べ、テントを片付ける。昼前には帰るということで、皆思い思いの
時間を過ごしていた。
僕は初日と同じように、木陰でボーっとする。遠くで和正と晴樹が藍晶と戯れている
のを眺めていると、誠が隣に座った。
「・・・昨日、和くんどうなるかと思ったけど。元気そうで安心したよ」
誠はそう言うと、僕を見る。
「ねえ静くん。昨日の肝試しの時、何があったの?」
「あー、えっと・・・」
正直に話しても良いんだろうか。そう思っていると、誠が言った。
「幽霊の正体、妖だったんでしょ」
「えっ、何で知って・・・?」
誠は無言で自分の鼻を指さす。なるほど、ニオイか。
「まあでも、そんなことで静くんと和くんが驚くはずはないと思うんだけど」
ニヤリと笑った誠に、狗神の面影を感じる。僕は溜息を吐くと、昨晩の出来事を
誠に話した。
誠は僕の話を聞くと、少し驚いた顔をする。そして和正を見ると、あの和くんが
ねえ・・・と呟いた。
「いーなー、兄弟!」
誠はそう言うと、ゴロンと寝転がる。
「弟欲しいのか?」
僕がそう聞くと、誠はうーん・・・と悩む素振りを見せる。
「・・・羨ましいけど、お祖父ちゃんの取り合いになるのは嫌だから、要らない
かな」
そう言ってえへへと笑った誠を見て、そっかと僕は微笑んだ。
皆の所に戻ろうと歩き出した時、男性に呼び止められた。
「送るよ」
男性はそう言ってニッコリ笑う。ちらりと和正を見ると、和正は無言で頷いた。
歩きながら、男性は僕達に学校のことを聞く。僕達はそれに答え、軽く雑談を
する。
特に話すこともなくなった頃、テントに到着した。
「ああそうだ、連絡先聞いてなかったね」
教えてくれるかな?と男性が和正を見ると、和正はちょっと待っててくださいと
言ってテントへ入っていった。
少しして、携帯を持った和正が戻って来る。男性は和正と連絡先を交換すると、
ありがとうと言って手を振りながら帰っていった。
「・・・静兄、あれ誰?」
男性が去った後、晴樹がテントから顔を覗かせて僕を見る。
「照真くんの父親だよ。あと・・・」
言おうかどうしようか悩んでいると、晴樹が静兄?と首を傾げる。
僕は苦笑いを浮かべ、晴樹に言った。
「父さんの、後輩だった」
「はあ?!」
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驚いたのか、起きていた人達が僕達を見る。
「え、待って、どういうこと?後輩って、学校の??」
混乱した様子の晴樹を見て、和正が笑う。和正を睨みつけた晴樹に、僕は言った。
「父さん、月陰学園の卒業生だったみたいなんだよ。で、さっきの人が父さんの
二個下の後輩だったらしい」
「え・・・ってことは、お父さん異能力者だったの?」
「まあ、そうなるんじゃないか?」
前に狗神が、父さんは祓い屋まがいのことをしていたと言っていた。それを考える
と、父さんが月陰学園の卒業生だったとしてもあり得ない話ではないように思えて
くる。
ただ、僕は父さんが何の異能力を持っていたかは知らない。使ってる素振りなんて
一度も見せなかったから。
「世間って狭いね・・・」
そう呟いた晴樹に、和正はうんうんと頷いた。
―――朝食を食べ、テントを片付ける。昼前には帰るということで、皆思い思いの
時間を過ごしていた。
僕は初日と同じように、木陰でボーっとする。遠くで和正と晴樹が藍晶と戯れている
のを眺めていると、誠が隣に座った。
「・・・昨日、和くんどうなるかと思ったけど。元気そうで安心したよ」
誠はそう言うと、僕を見る。
「ねえ静くん。昨日の肝試しの時、何があったの?」
「あー、えっと・・・」
正直に話しても良いんだろうか。そう思っていると、誠が言った。
「幽霊の正体、妖だったんでしょ」
「えっ、何で知って・・・?」
誠は無言で自分の鼻を指さす。なるほど、ニオイか。
「まあでも、そんなことで静くんと和くんが驚くはずはないと思うんだけど」
ニヤリと笑った誠に、狗神の面影を感じる。僕は溜息を吐くと、昨晩の出来事を
誠に話した。
誠は僕の話を聞くと、少し驚いた顔をする。そして和正を見ると、あの和くんが
ねえ・・・と呟いた。
「いーなー、兄弟!」
誠はそう言うと、ゴロンと寝転がる。
「弟欲しいのか?」
僕がそう聞くと、誠はうーん・・・と悩む素振りを見せる。
「・・・羨ましいけど、お祖父ちゃんの取り合いになるのは嫌だから、要らない
かな」
そう言ってえへへと笑った誠を見て、そっかと僕は微笑んだ。
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