異能力と妖と

彩茸

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夏季休暇編

兄弟

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―――次の日の朝、目が覚めるとテント内に和正の姿が無かった。他の人達はまだ
寝ていたため、僕は静かにテントを出る。
キョロキョロと辺りを見回していると、テントの傍でのびをしている和正を見つ
けた。

「おはよう、和正」

「あれ、静也?おはよう」

 早くないか?と首を傾げる和正に、いつも通りだよと返す。

「和正こそ、いつもより早いんじゃないか?」

「何か目が覚めちゃってさ」

 そう言って笑う和正を見て、僕は聞いた。

「和正も一緒に散歩行くか?」

 和正は頷くと、小さくあくびをした。



―――昨日の朝と同じルートで歩く。すると、後ろから声を掛けられた。
振り向くと、そこにはニコニコと笑う照真くんが居た。

「おはようございます!」

「おはようございます、今日も早起きしたんですか?」

 僕が聞くと、照真くんはうん!と頷いた。そして照真くんは和正に抱き着くと、
 えへへと笑う。
 和正は困った顔で笑いながら照真くんの頭を撫でた。

「和正おにーちゃんも、静也おにーちゃんと一緒にお散歩してたの?」

 照真くんの言葉に和正は頷く。すると、照真くんは僕と和正の手を取って走り
 出した。
 僕は行き先が何となく想像できていたので、手を引かれるまま進んで行く。
 和正も、少し困惑した表情を見せながら手を引かれていた。



―――照真くんは、池の前で立ち止まる。池の水面は、太陽に照らされてキラキラと
輝いていた。

「見て!」

 照真くんは、水面を指さしてニッコリと笑う。
 隣で和正が、おお・・・と感嘆の声を上げていた。

「お日様~、お日様~」

 そう言いながら嬉しそうに笑う照真くんに、和正が聞いた。

「お日様、好きなのか?」

 僕と全く同じ質問をしたことに思わず吹き出した。それを気にすることなく、
 照真くんは頷く。

「おれの名前、お日様入ってるから!和正おにーちゃんも、お日様!!」

「ああ、うん・・・そうだな」

 複雑そうな顔の和正に、照真くんは抱き着く。そして、笑顔で言った。

「おれ、お兄ちゃん大好き!」

 和正は目を見開くと、しゃがんで照真くんと目線を合わせる。そして、照真くんを
 ぎゅっと抱きしめて言った。

「俺も、好き」

 心地良い風が頬を撫でる。目の前の兄弟を見て、僕は自然と笑顔になるのだった。
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