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夏季休暇編
太陽
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―――夕飯を食べて、皆で雑談して。就寝する頃には日付が変わっていた。
そして朝。目が覚めると、皆はまだ寝ているようだった。
時計を見ると、いつも通りの起床時間。二度寝する気にもならず、僕はこっそりと
テントを出る。
「おおー、早起きさん居た!」
キャンプ場をブラブラと歩いていると、そんな声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこには小さな男の子が。
「おはようございます!」
そう言ってニカッと笑う男の子に、僕も挨拶を返す。すると、男の子は僕の元に
駆け寄って来て言った。
「おにーちゃん何してるの?」
「散歩です。・・・君は?」
「えっとねー、お散歩!早起きしたから!」
ニコニコと笑う男の子に、何となく既視感を覚える。
誰かに似ているような・・・。
「おにーちゃん、一緒にお散歩しよ!」
そう言って男の子は手を差し伸べてくる。躊躇いがちに手を取ると、男の子は
走り出した。
「え、ちょっ、良いんですか?親御さんとかは・・・」
「良いの!おかーさん寝てたし!!」
「は、はあ・・・」
―――男の子は僕を引っ張って、キャンプ場の端にある大きな池へと連れて来た。
「ここね、お日様が当たるとキラキラして綺麗なんだよ!」
お日様~お日様~と楽しそうに笑う男の子に、僕は聞く。
「お日様、好きなんですか?」
男の子はうん!と頷くと言った。
「あのね、おれの名前にもお日様入ってるの!だから、お日様好きなんだ!!」
「名前に?」
「うん!おれ照真!おにーちゃんは?」
「えっと・・・静也、です」
「おお、静也おにーちゃん!名前かっこいいね!!」
「あ、ありがとうございます」
名前をかっこいいなんて言われたのは初めてだ。それにしてもこの子、何処の
テントの子だったんだろう。
日が当たりキラキラと輝く水面を楽しそうに眺める照真くんに、やはり既視感を
覚える。
「そろそろ戻りませんか?親御さんが心配しますよ」
「はーい」
行きと同じように、照真くんと手を繋いで歩く。
照真くんと出会った辺りまで来ると、女性が心配そうな顔でキョロキョロとして
いた。
「あ、おかーさん!!」
そう言って照真くんはその女性に駆け寄る。
「何処行ってたの!心配したのよ?!」
そう言って照真くんを抱きかかえた女性は、僕を見てペコリと頭を下げる。
「あのね、あのおにーちゃんとお散歩してたの!」
ニコニコと笑う照真くんに、女性は困った表情で僕を見る。
「すみません、止めればよかったんですが・・・勢いに、負けてしまって」
「いえいえ、うちの子がご迷惑をお掛けしたようで・・・」
苦笑いを浮かべる僕に女性はそう言うと、巻き込んじゃ駄目でしょ!と照真くんに
言う。
照真くんはごめんなさーいと言いながらも、女性の腕から降りて僕に駆け寄って
来た。
「静也おにーちゃん、おれね、苗字もお日様なんだよ!」
「えっと・・・?」
照真くんはニコッと笑うと、胸を張って言った。
「おれ、日野 照真!5歳!また一緒にお散歩してね、静也おにーちゃん!」
待て待て待て待て。偶然か?偶然であってくれ・・・!
混乱する頭の中から必死に別れの言葉を絞り出し、僕は照真くんと別れる。
フラフラとテントに戻ると、外でのびをしていた和正と目が合った。
「おはよう、静也・・・って、大丈夫か?」
「ああ、うん、おはよう・・・」
僕がテントの中へ入ると、目を覚ましていた晴樹に心配される。
晴樹の隣に座り大きな溜息を吐きながら頭を抱えると、よく分からないけどお疲れ
と頭を撫でられた。
そして朝。目が覚めると、皆はまだ寝ているようだった。
時計を見ると、いつも通りの起床時間。二度寝する気にもならず、僕はこっそりと
テントを出る。
「おおー、早起きさん居た!」
キャンプ場をブラブラと歩いていると、そんな声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこには小さな男の子が。
「おはようございます!」
そう言ってニカッと笑う男の子に、僕も挨拶を返す。すると、男の子は僕の元に
駆け寄って来て言った。
「おにーちゃん何してるの?」
「散歩です。・・・君は?」
「えっとねー、お散歩!早起きしたから!」
ニコニコと笑う男の子に、何となく既視感を覚える。
誰かに似ているような・・・。
「おにーちゃん、一緒にお散歩しよ!」
そう言って男の子は手を差し伸べてくる。躊躇いがちに手を取ると、男の子は
走り出した。
「え、ちょっ、良いんですか?親御さんとかは・・・」
「良いの!おかーさん寝てたし!!」
「は、はあ・・・」
―――男の子は僕を引っ張って、キャンプ場の端にある大きな池へと連れて来た。
「ここね、お日様が当たるとキラキラして綺麗なんだよ!」
お日様~お日様~と楽しそうに笑う男の子に、僕は聞く。
「お日様、好きなんですか?」
男の子はうん!と頷くと言った。
「あのね、おれの名前にもお日様入ってるの!だから、お日様好きなんだ!!」
「名前に?」
「うん!おれ照真!おにーちゃんは?」
「えっと・・・静也、です」
「おお、静也おにーちゃん!名前かっこいいね!!」
「あ、ありがとうございます」
名前をかっこいいなんて言われたのは初めてだ。それにしてもこの子、何処の
テントの子だったんだろう。
日が当たりキラキラと輝く水面を楽しそうに眺める照真くんに、やはり既視感を
覚える。
「そろそろ戻りませんか?親御さんが心配しますよ」
「はーい」
行きと同じように、照真くんと手を繋いで歩く。
照真くんと出会った辺りまで来ると、女性が心配そうな顔でキョロキョロとして
いた。
「あ、おかーさん!!」
そう言って照真くんはその女性に駆け寄る。
「何処行ってたの!心配したのよ?!」
そう言って照真くんを抱きかかえた女性は、僕を見てペコリと頭を下げる。
「あのね、あのおにーちゃんとお散歩してたの!」
ニコニコと笑う照真くんに、女性は困った表情で僕を見る。
「すみません、止めればよかったんですが・・・勢いに、負けてしまって」
「いえいえ、うちの子がご迷惑をお掛けしたようで・・・」
苦笑いを浮かべる僕に女性はそう言うと、巻き込んじゃ駄目でしょ!と照真くんに
言う。
照真くんはごめんなさーいと言いながらも、女性の腕から降りて僕に駆け寄って
来た。
「静也おにーちゃん、おれね、苗字もお日様なんだよ!」
「えっと・・・?」
照真くんはニコッと笑うと、胸を張って言った。
「おれ、日野 照真!5歳!また一緒にお散歩してね、静也おにーちゃん!」
待て待て待て待て。偶然か?偶然であってくれ・・・!
混乱する頭の中から必死に別れの言葉を絞り出し、僕は照真くんと別れる。
フラフラとテントに戻ると、外でのびをしていた和正と目が合った。
「おはよう、静也・・・って、大丈夫か?」
「ああ、うん、おはよう・・・」
僕がテントの中へ入ると、目を覚ましていた晴樹に心配される。
晴樹の隣に座り大きな溜息を吐きながら頭を抱えると、よく分からないけどお疲れ
と頭を撫でられた。
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