異能力と妖と

梅雨編

騒動

―――平年通りならもうすぐ梅雨が明ける。そんなある日の朝、HRの時間に妖騒ぎが
起きた。

「わああ、来るなー！」

「ちょっ、誰か助けてえ！」

「あんたやりなさいよ、私武器置いて来ちゃったし！」

「ばっか俺だって武器持ってねえよ！」

「武器無くても戦える奴いないか？！」

「狗神も日野も神宮も別のクラスだぞ？」

「だから何だってんだよ！誰か呼んでこいよ！！」

　隣のB組に妖が入り込んできたらしく、先程からとても煩い。
　B組に様子を見に行っていた担任の先生が戻って来ると、誠を呼び出した。
　誠は渋々立ち上がると、B組へ向かう。

「え？！狗神お前、それ素手で触れんの？！」

「ちょっ、清水ちゃん？！何でニコニコしながらこっち来るの！！」

「山霧、清水を止めろおおおお！！」

「うわあああん！山野くん助けてええええ！！」

　ワーワー、キャーキャーと隣が更に騒がしくなる。
　何となく既視感を感じ、心当たりを探してみた。・・・ああ、あれだ。小学生の
　とき、教室に出た茶色いあれを虫耐性のある奴が捕まえに行った時もこんな感じ
　だったかもしれない。

「やめろ狗神、お前まで清水に便乗するんじゃねえ！！」

「誰か、誰か日野を呼んでこい！！」

　ああ、どんどん巻き込まれていく・・・。これは一限目遅く始まるやつかな。

「日野が来た！頼む、狗神止めてくれ！！」

「うわあああ！何か増えたああああ！」

「日野やめろ！！燃える！教室が燃える！！」

「日野が駄目なら神宮か？！」

「神宮呼べえええ！」

「駄目だ！今日、神宮さん休みらしい！！」

「じゃあどうしろってんだ！こいつらのストッパーいなきゃもっと大事に
　なるぞ！！」

「こんなの、誰が止められるんだよ！！・・・ああ、あいつなら！」

「ストッパー呼んできます！！」

　その声が聞こえてから数秒後。C組の教室の扉が勢い良く開かれた。

「山霧くん！！ちょっと来てください！！！！」

　・・・・・・うわぁ。