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梅雨編
雷鳴
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―――傘を差し、晴樹の能力で出した光を頼りに外を歩く。時折雷鳴が鳴り響き、
誠はその度にビクついていた。
和正は誠が雷が苦手なことを知っていたらしく、誠を自分の傘に入れて寄り添う
ように歩いていた。
「・・・静兄、あれ」
ビニール傘から空を見上げていた晴樹が、ふと立ち止まって空を指さす。
そこを見ると、鳴り響く雷鳴に合わせて龍が空を舞っていた。
「おー、何か楽しそうだな」
和正も空を見上げそう言うと、同じく空を見上げた誠が言った。
「・・・あれ、ボクあの龍知ってるかも」
「誠くん、見たことあるの?」
晴樹の言葉に誠は多分と頷く。
「春休みにさ、ボク和くんと家に帰ったじゃん?その時に遊びに来たんだよ」
「・・・あんなデカいのが?」
「いやいや、その時は人の姿してたよ。帰る時にあの姿になって飛んで行ったの」
首を傾げた僕に誠がそう言うと、和正が龍を見ながら言った。
「遊びに来たあの金髪の人、龍だったのか?いつの間にか帰ってて、その姿見て
なかったんだけど・・・」
「あの時和くん、お祖父ちゃんに機械貸してたでしょ?その間に帰るって言って
帰っていったんだよ」
そうだったのかと和正は納得したような顔をする。
認識できなければ声も聞こえないものなんだなと、改めて思った。
「・・・そういえば、ここって学園の敷地内だよな。妖が入っても大丈夫なのか?」
ふと思い出したように和正は言う。
「随分前に校長先生が、悪意のある妖は近寄りにくくなってるって言ってた
けど・・・」
誠はそう言うと、空を舞う龍に向かって声を張り上げた。
「おはよー!!」
誠の声に気付いたのか、龍はこちらを向く。すると目にも止まらぬ速さで向かって
来て、金髪の女性となって僕達の前にふわりと舞い降りた。
何故か女性は雨に濡れておらず、よく見ると雨が彼女を避けているようだった。
「やあやあ、狗神の孫!こんな所で何をしているんだい?おお、この前見た人間も
居るね!」
中性的な声のその女性は、僕達を見ると首を傾げた。
「おやおや、みーんな狗神の知り合いかな?狗神のニオイがプンプンするよ」
「うん!ボクの友達なんだ~」
誠がそう言って笑うと、女性はそうかそうかと笑みを浮かべる。
「その様子だと、皆ぼくが見えるようだね。ぼくは雷羅、狗神の古くからの友達
だよ!」
そう言って女性・・・雷羅はニコリと笑う。
僕達も自己紹介を済ませると、雷羅は僕と晴樹を見て言った。
「なーんか似てるなって思ってたんだけど・・・。もしかして君達、あの山霧の
親戚?」
「えっと・・・?」
僕と晴樹は首を傾げる。あの山霧って、どの山霧だ。
「あれだよあれ、妖刀と退魔の銃ぶん回して大妖怪蹂躙しまくってた奴!狗神が
負けを認めるくらい強かった山霧!」
雷羅の言葉に、父さんのことだと確信する。
「その山霧は、僕達の父親ですね」
僕がそう言うと、雷羅は目を輝かせた。
「わあ、やっぱり?!ぼくも一回戦ったんだけどさ、あいつ妖より妖してたん
だよね!」
「そんなに強かったの?」
晴樹が聞くと、雷羅はうんうんと頷く。
「いやはや、このぼくが負けるとは思わなかったよね。奇襲でもしない限り、殺せ
ないんじゃないかなあ。・・・そうだ!あいつ今どうしてる?最近見かけない
けど、元気にしてるかい?」
ニコニコしながら僕と晴樹を見る雷羅に、何も言えず俯く。
どうしたの?と雷羅が言うと、和正が口を開いた。
「・・・こいつらの父親、亡くなったんです」
「え・・・・・・?」
有り得ないという顔で、雷羅は僕と晴樹の肩を揺さぶる。
「ど、どういうことだい?病気か?まあ、あいつも人間だからな!」
「・・・違う」
晴樹はそう言うと、雷羅を真っ直ぐ見る。
「お父さんは、殺された。・・・二年前、狐の大妖怪に殺されたんだ」
誠はその度にビクついていた。
和正は誠が雷が苦手なことを知っていたらしく、誠を自分の傘に入れて寄り添う
ように歩いていた。
「・・・静兄、あれ」
ビニール傘から空を見上げていた晴樹が、ふと立ち止まって空を指さす。
そこを見ると、鳴り響く雷鳴に合わせて龍が空を舞っていた。
「おー、何か楽しそうだな」
和正も空を見上げそう言うと、同じく空を見上げた誠が言った。
「・・・あれ、ボクあの龍知ってるかも」
「誠くん、見たことあるの?」
晴樹の言葉に誠は多分と頷く。
「春休みにさ、ボク和くんと家に帰ったじゃん?その時に遊びに来たんだよ」
「・・・あんなデカいのが?」
「いやいや、その時は人の姿してたよ。帰る時にあの姿になって飛んで行ったの」
首を傾げた僕に誠がそう言うと、和正が龍を見ながら言った。
「遊びに来たあの金髪の人、龍だったのか?いつの間にか帰ってて、その姿見て
なかったんだけど・・・」
「あの時和くん、お祖父ちゃんに機械貸してたでしょ?その間に帰るって言って
帰っていったんだよ」
そうだったのかと和正は納得したような顔をする。
認識できなければ声も聞こえないものなんだなと、改めて思った。
「・・・そういえば、ここって学園の敷地内だよな。妖が入っても大丈夫なのか?」
ふと思い出したように和正は言う。
「随分前に校長先生が、悪意のある妖は近寄りにくくなってるって言ってた
けど・・・」
誠はそう言うと、空を舞う龍に向かって声を張り上げた。
「おはよー!!」
誠の声に気付いたのか、龍はこちらを向く。すると目にも止まらぬ速さで向かって
来て、金髪の女性となって僕達の前にふわりと舞い降りた。
何故か女性は雨に濡れておらず、よく見ると雨が彼女を避けているようだった。
「やあやあ、狗神の孫!こんな所で何をしているんだい?おお、この前見た人間も
居るね!」
中性的な声のその女性は、僕達を見ると首を傾げた。
「おやおや、みーんな狗神の知り合いかな?狗神のニオイがプンプンするよ」
「うん!ボクの友達なんだ~」
誠がそう言って笑うと、女性はそうかそうかと笑みを浮かべる。
「その様子だと、皆ぼくが見えるようだね。ぼくは雷羅、狗神の古くからの友達
だよ!」
そう言って女性・・・雷羅はニコリと笑う。
僕達も自己紹介を済ませると、雷羅は僕と晴樹を見て言った。
「なーんか似てるなって思ってたんだけど・・・。もしかして君達、あの山霧の
親戚?」
「えっと・・・?」
僕と晴樹は首を傾げる。あの山霧って、どの山霧だ。
「あれだよあれ、妖刀と退魔の銃ぶん回して大妖怪蹂躙しまくってた奴!狗神が
負けを認めるくらい強かった山霧!」
雷羅の言葉に、父さんのことだと確信する。
「その山霧は、僕達の父親ですね」
僕がそう言うと、雷羅は目を輝かせた。
「わあ、やっぱり?!ぼくも一回戦ったんだけどさ、あいつ妖より妖してたん
だよね!」
「そんなに強かったの?」
晴樹が聞くと、雷羅はうんうんと頷く。
「いやはや、このぼくが負けるとは思わなかったよね。奇襲でもしない限り、殺せ
ないんじゃないかなあ。・・・そうだ!あいつ今どうしてる?最近見かけない
けど、元気にしてるかい?」
ニコニコしながら僕と晴樹を見る雷羅に、何も言えず俯く。
どうしたの?と雷羅が言うと、和正が口を開いた。
「・・・こいつらの父親、亡くなったんです」
「え・・・・・・?」
有り得ないという顔で、雷羅は僕と晴樹の肩を揺さぶる。
「ど、どういうことだい?病気か?まあ、あいつも人間だからな!」
「・・・違う」
晴樹はそう言うと、雷羅を真っ直ぐ見る。
「お父さんは、殺された。・・・二年前、狐の大妖怪に殺されたんだ」
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