異能力と妖と

彩茸

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聖夜祭編

襲撃

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―――ケーキを食べたり、ゲームをしたり。あっという間に時は過ぎ、パーティーは
終わりを迎えようとしていた。

「ケーキも美味しかったけど、このドーナツも美味しいわね」

 彩音がニコニコとしながらドーナツを頬張る。

「えへへ、このドーナツ私が作ったんだよ!」

 彩音の隣で、小学生くらいの女の子がそう言って嬉しそうに笑う。

「・・・ねえ、静くん」

 誠がチョコレートを食べながら、小さな声で僕を呼ぶ。

「どうした?」

「何か・・・嫌なニオイしない?」

「え?」

 誠の言葉に僕が首を傾げると、誠は窓の外を指さして囁くように言った。

「・・・あっちから、何か来る」

 まさかと思い、気配を探る。・・・窓の外から、明らかに気配が
 した。

「何でこんな所に・・・?」

 僕が呟くと、晴樹が鞄からこっそりと二丁の銃を取り出した。よく見ると銃には
 それぞれ桜と紅葉の模様が描かれており、晴樹の武器である退魔の銃だということ
 が分かる。

「え、持ち歩いてんの?!」

 僕が驚いてそう言うと、晴樹は頷く。
 確かに申請は出してあるが、普通持ち歩かないだろ・・・。

「ねえ和くん、今日って機械着けてる?」

 誠がそう言って和正を見る。

「え?いや、持ってはいるけど着けてはないぞ?」

「じゃあ着けて」

「え?わ、分かった」

 和正は何かいるのか?と呟きながら、コンタクトレンズ型の機械を着ける。

「静兄、あれ何?」

 晴樹が機械を指さして聞いてきたので、僕達には必要ない物とだけ答えておいた。

「彩音、山野と笹野くん呼んで来てくれ」

 僕の言葉に彩音は首を傾げつつも、分かったと頷く。

「何かあったんですか?」

 清水さんがそう言いながら僕達に近付いて来たので、僕は小声で言った。

「・・・ここに、妖が向かって来てます。清水さんは戦えますか?」

 清水さんは驚いた顔をした後、少し悩んで言った。

「私、妖見えないんです。一応、父から貰った妖が見える機械の試作品はあるん
 ですが・・・。あれ、中妖怪までしか見えないんですよね」

「・・・大丈夫、この気配は中妖怪だから」

 晴樹がボソッと呟くと、清水さんは顔をパッと明るくさせて言った。

「なら戦えます!これでも私、勝率学年二位なんですよ!」

「学年一位は誰なの?」

 誠がそう聞くと、晴樹が小さく手を挙げた。・・・まあ、そうだろうなとは
 思った。

「静也、呼んで来たわよ!」

 彩音がそう言いながら、山野と笹野くんを連れて戻って来る。

「何かありましたか?」

 笹野くんがそう言った瞬間、部屋の窓がパリンッ!と大きな音を立てて割れた。
 驚いた子供達が逃げ惑う中、山野が声を張り上げて言った。

「落ち着け!!年長者は皆を連れて2階の会議室に避難!は状況に合わせて
 皆を誘導してくれ!」

 山野の声に子供達は頷き、迅速に行動する。

「笹野、お前もあいつらを守ってやれ」

 山野にそう言われた笹野くんは、頷いて子供達の方へと向かった。

「勇人お兄ちゃん達はどうするの?」

 年長者らしき少女が山野に聞くと、山野は僕が見た事のないような優しい笑顔で
 言った。

「ここはオレ達に任せろ!」

 少女は頷き、小さい子供達を連れて部屋を出る。
 ちらりと山野を見ると、苦い顔をしていた。
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