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聖夜祭編
令嬢
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―――時は過ぎ、12月。今日は保護学級のクリスマスパーティーの日だ。
施設へは笹野くんが案内してくれるらしく、僕達は学校が終わるとA組の教室前に
集合した。
「・・・あれ、一人足りないですね?」
笹野くんがそう言って首を傾げる。
「ああ、すみません。あと一人は3年なんですけど・・・ホームルーム終わって
ないんですかね?」
僕がそう言うと、笹野くんは行ってみましょうかと歩き出す。
階段を降りると3年の教室前に人だかりができており、もしやと思う。
「あ、山霧くんのお兄さん!」
人だかりの中からそう言って手を振る清水さんの姿が見えた。清水さんの声に、
何人かが振り返る。
「あ、この前の先輩だ」
「あれ、一緒に居る人私知ってる!あの先輩達もめちゃめちゃ強いんだよ!」
「俺も知ってる!学年首位争いしてる人達だって先生が言ってたぜ?」
「すっげー・・・」
そんな事を話している3年生達の中から、晴樹と清水さんが鞄を持って駆け寄って
来る。
「・・・何で君まで来るの」
「ん~、何となく?」
不機嫌そうな晴樹に笑って答える清水さん。相変わらず度胸のある子だ・・・。
「えっと、清水さんも一緒に行きますか?これから保護学級のクリスマスパーティー
があるんですけど・・・」
笹野くんが清水さんに言うと、清水さんは良いんですか?!と目を輝かせる。
「え、知り合いなのか?」
和正が驚いた顔で言うと、笹野くんと清水さんは頷いた。
「清水さんは保護学級の運営に経済的な協力をしてくださっている清水家のご令嬢
で、彼女のご両親にはとてもお世話になっているんです」
笹野くんの説明に、僕達は驚く。
「お嬢様だったんだ・・・」
「まあ、私は立場とかそこまで気にしていないんですけどね」
誠の言葉に清水さんはそう言って笑うと、晴樹に言った。
「山霧くん、だから友達になろうよ」
「・・・嫌だ。何度断れば諦めるんだよ・・・」
晴樹はそう言うと、僕を見た。こういう事だよと目で訴えているような気がして、
僕は苦笑する。
「時間大丈夫なの?」
ふと彩音が言う。笹野くんは時計を見ると、そろそろ行かないと遅れますねと
言って僕達を見た。
「行きましょうか」
笹野くんの言葉に僕達は頷く。晴樹は清水さんを見て嫌そうな顔をしつつも、
諦めたのか小さく溜息を吐いていた。
施設へは笹野くんが案内してくれるらしく、僕達は学校が終わるとA組の教室前に
集合した。
「・・・あれ、一人足りないですね?」
笹野くんがそう言って首を傾げる。
「ああ、すみません。あと一人は3年なんですけど・・・ホームルーム終わって
ないんですかね?」
僕がそう言うと、笹野くんは行ってみましょうかと歩き出す。
階段を降りると3年の教室前に人だかりができており、もしやと思う。
「あ、山霧くんのお兄さん!」
人だかりの中からそう言って手を振る清水さんの姿が見えた。清水さんの声に、
何人かが振り返る。
「あ、この前の先輩だ」
「あれ、一緒に居る人私知ってる!あの先輩達もめちゃめちゃ強いんだよ!」
「俺も知ってる!学年首位争いしてる人達だって先生が言ってたぜ?」
「すっげー・・・」
そんな事を話している3年生達の中から、晴樹と清水さんが鞄を持って駆け寄って
来る。
「・・・何で君まで来るの」
「ん~、何となく?」
不機嫌そうな晴樹に笑って答える清水さん。相変わらず度胸のある子だ・・・。
「えっと、清水さんも一緒に行きますか?これから保護学級のクリスマスパーティー
があるんですけど・・・」
笹野くんが清水さんに言うと、清水さんは良いんですか?!と目を輝かせる。
「え、知り合いなのか?」
和正が驚いた顔で言うと、笹野くんと清水さんは頷いた。
「清水さんは保護学級の運営に経済的な協力をしてくださっている清水家のご令嬢
で、彼女のご両親にはとてもお世話になっているんです」
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「お嬢様だったんだ・・・」
「まあ、私は立場とかそこまで気にしていないんですけどね」
誠の言葉に清水さんはそう言って笑うと、晴樹に言った。
「山霧くん、だから友達になろうよ」
「・・・嫌だ。何度断れば諦めるんだよ・・・」
晴樹はそう言うと、僕を見た。こういう事だよと目で訴えているような気がして、
僕は苦笑する。
「時間大丈夫なの?」
ふと彩音が言う。笹野くんは時計を見ると、そろそろ行かないと遅れますねと
言って僕達を見た。
「行きましょうか」
笹野くんの言葉に僕達は頷く。晴樹は清水さんを見て嫌そうな顔をしつつも、
諦めたのか小さく溜息を吐いていた。
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